多くの学科・専攻では、卒業論文を提出した後で、その内容を研究発表しなくてはいけません。 実際、卒業論文を読むのは指導教員だけで、他の教員は卒業論文の内容が分かりません。 研究発表を聞くことで、教員全員が卒業論文の内容を理解するのです。
たとえ、卒業論文がうまく書けたとしても、研究発表で失敗してしまうと、指導教員以外の教員は「この学生を卒業させていいのか?」と思ってしまいます。 そうならないためにも、卒業論文だけでなく、研究発表も十分に準備をするべきです。
学科・専攻によっては、卒業論文だけでなく、授業のレポートでも研究発表を求められることがあります。 大学生活では、レポート作成や論文作成と同じくらい、研究発表は重要なのです。
Wordでレポートや論文を作成するときは、1ページ目から順番に書くのではなく、まず見出しを固めてから文章を書いたほうがよいと説明しました。 PowerPointでスライドを作成するときも、1枚目から順番に作るのではなく、まずスライド・タイトルを全部決め、それから箇条書きや図表を作成すると、うまくいきます。 スライド・タイトルができた段階で、スライドの全体像が見えるからです。
ただ、多くの場合は、自分がWordで書いたレポートや論文をもとにして、そこから取捨選択してPowerPointのスライドにします。 そこで、この授業では、文字だけが入力されたWord文書やPDF文書を、効率的にPowerPointのスライドにする方法を紹介します。 (総務省統計局の文書を利用するのは練習のためで、剽窃を勧めているわけではありません。)
PowerPointでスライドを作成するときは、最初にスライドのテーマを決定します。 PowerPointには、数十種類のテーマが用意されていますので、内容にあったものを選びます。 ここでは、白いテーマのままにします。
テーマを決めたらスライドを作成してもいいですが、ここでは、スライド・マスターを設定します。 スライド・マスター を設定すると、すべてのスライドについて、スライド・タイトルや箇条書きのフォントや字の大きが設定できます。 1枚1枚のスライドのフォントや字の大きを変更してもいいですが、スライド・マスターを利用すると、自動的に統一感のあるスライドが作成できるのです。
ここでは、最近の(Office 2016以降の)游ゴシックではなく、伝統的な(Office 2013以前の)MS ゴシックを使うことにします。
それでは、PowerPointを起動し、リボンの「表示」をクリックし、「スライドマスター」をクリックします。 すると、左側に数枚のスライドが表示されます。
上から順に、
です。 基本的に、2番目の「タイトル スライド レイアウト」と、3番目の「タイトルとコンテンツ レイアウト」のみ設定します。
リボンの「ホーム」をクリックし、左側の「タイトル スライド レイアウト」(上から2番目)をクリックします。 右側のスライドの「マスタータイトルの書式設定」をドラッグし、リボンでフォントを「MS ゴシック」にし、字の大きさを「60」にします。 これで、タイトル・スライドのタイトルのフォントが設定されます。 同じように、「マスターサブタイトルの書式設定」をドラッグし、リボンでフォントを「MS ゴシック」にし、字の大きさを「36」にします。 これで、タイトル・スライドのサブタイトルのフォントが設定されます。
左側の「タイトルとコンテンツ レイアウト」(上から3番目)をクリックします。 右側のスライドの「マスタータイトルの書式設定」をドラッグし、リボンのフォントを「MS ゴシック」にし、字の大きさを「48」にします。 これで、「タイトルとコンテンツ」スライドのタイトルのフォントが設定されます。 同じように、「マスターテキストの書式設定」をドラッグし、リボンでフォントを「MS ゴシック」にし、字の大きさを「36」にします。 これで、「タイトルとコンテンツ」スライドの箇条書きのフォントが設定されます。
スライド・マスターの設定が終わったら、リボンの「スライドマスター」をクリックし、「マスター表示を閉じる」をクリックします。
PowerPointのスライドにするWord文書の例として、国勢調査の報告書から抜粋したものを利用します。 以下のファイルをダウンロードしてください。
このWord文書の元になる報告書は、次の方法で開けます。 総務省統計局のホームページ( https://www.stat.go.jp/ )を開き、「統計データ」→「分野別一覧」→「国勢調査」→「平成27年国勢調査(調査の概要や結果はこちら)」→「調査の結果」とクリックすると、国勢調査の報告書へのリンクがまとめられています。( https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/kekka.html ) 人口等基本集計結果の「要約」をクリックすると、「平成27年国勢調査人口等基本集計結果要約」という報告書が表示されます。
Wordの原稿(文字だけ)をドラッグし、右クリックして「コピー」をクリックします。
PowerPointのリボンの「表示」をクリックし、「アウトライン表示」をクリックして、左側に アウトライン (文字だけ)が表示されるようにします。
アウトライン領域をクリックし、Enterキーを2回押して、3枚目にカーソルがある状態にします。 (カーソルが現れない場合は、右側のスライド領域をクリックしてから、左側のアウトライン領域をクリックしてください。)
リボンの「ホーム」をクリックし、「貼り付け」ボタンの下の三角をクリックして、「形式を選択して貼り付け」をクリックして、「書式なしテキスト」を選択します。 (これで、原稿全体が3枚目のタイトルになります。)
3枚目の原稿の先頭をクリックしてカーソルを移動し、Tabキーを押します。 または、原稿全体をドラッグし、右クリックして「レベル下げ」をクリックします。 (これで、原稿全体が2枚目の箇条書きになります。)
スライド・タイトルにしたい行の先頭で、Shiftキーを押しながらTabキーを押すと、スライド・タイトルになります。 または、行をドラッグし、右クリックして「レベル上げ」をクリックします。
余計な文字や空白を削除します。
アウトライン領域では、Tabキーを押すとレベルが下がります。 つまり、スライド・タイトル→箇条書き→箇条書きの箇条書きと変化します。 Shiftキーを押しながらTabキーを押すと、レベルが上がります。 つまり、箇条書きの箇条書き→箇条書き→スライド・タイトルと変化します。
アウトライン領域では、スライド・タイトルでEnterキーを押すと、新しいスライドが挿入されます。 また、箇条書きでEnterキーを押すと、新しい項目が挿入されます。
箇条書きが多くて数枚に分割したい場合は、スライド・タイトルの右でEnterキーを押します。 そして、新しいスライド・タイトルを入力し、スライド・タイトルをドラッグし、下にドラッグします。
箇条書きが少なくて1枚にまとめたい場合は、スライド・タイトルを削除すればよいです。
リボンの「表示」をクリックし、「標準」をクリックすると、左側がスライドの縮小表示になります。
[アウトライン]スライド・マスターとアウトラインを利用して、効率的にPDF文書をPowerPointのスライドにしてください。 PDF文書は、総務省統計局の平成18年(2006年)以降の家計調査年報のp.3からp.5に載っている、「平成xx年の家計をめぐる事象」または「20xx年の家計をめぐる主な動き」とします。
総務省統計局のホームページ( https://www.stat.go.jp/ )を開き、「統計データ」→「分野別一覧」→「家計調査」→「調査の結果」→「結果の解説」とクリックすると、毎年の年報へのリンクがまとめられています。( https://www.stat.go.jp/data/kakei/gaikyo/ ) 平成18年(2006年)以降で興味のある年をクリックし、「家計収支の概要」をクリックすると、PDFファイルが表示されます。 このPDFファイルのp.3からp.5に、「平成xx年の家計をめぐる事象」または「20xx年の家計をめぐる主な動き」が載っていますので、この原稿を授業で説明した方法でPowerPointのスライドにします。 (総務省統計局の文書を利用するのは練習のためで、剽窃を勧めているわけではありません。)
今日の演習10の答案(PowerPointファイル)をメールで提出してください。 差出人は大学発行のメール・アドレス(学生番号@cis.twcu.ac.jp)とし、宛先はkonishi@cis.twcu.ac.jpとします。 メールの本文には、学生番号、氏名、科目名、授業日(2限は12月1日、3限は12月8日)を明記してください。