レポートや論文を作成するときは、しばしば引用が行われます。 引用は、他人の書いた書籍や論文の一部を、出典を明記したうえで、自分のレポートや論文に載せることです。 出典を明記しなければ、剽窃(盗用)になってしまいます。
ここでは、引用について、
の第7章「「他者の言葉」で書く」の内容を紹介します。
引用は、まず、先行研究を紹介するときに行われます。 どんなに独創的なレポートや論文であっても、先行研究は存在します。 引用によって、先行研究を明確にします。
また、理論を展開するときにも、引用が行われます。 他人の書いた書籍や論文を事実として引用し、それを根拠にして理論を展開するわけです。
引用する内容は、自分が書く内容と似ている場合もありますし、反対の場合もあります。 似ている内容を引用すると、自分の内容を補強できます。 反対の内容を引用すると、自分と対立する内容を紹介できます。
引用の出典を明記するとき、引用が1か所しかなければ、そこに書籍や論文の文献情報(とページ番号)を書けばいいでしょう。 一般的には、引用は複数か所ありますので、そこには文献番号(とページ番号)のみを書き、本文の後に「参考文献」という見出しを設けて、そこに文献情報をまとめて書きます。
文献番号の書き方は、専門分野によって違います。 例えば、
などが使われます。 これらの文献番号を、
のように文末に書いたり、
のように文中に書いたりします。
引用には、直接引用と間接引用があります。
直接引用は、他人が書いた書籍や論文から、一字一句そのまま書き写すことです。 引用部分は、括弧で囲んだり、上下左右に余白を入れるなどして、自分が書いた部分と明確に区別できるようにする必要があります。 文献番号は、引用部分の最後に書きます。
間接引用は、他人が書いた書籍や論文を要約するなどして、必ずしもそのままではなく書くことです。 この場合、文末や文中に文献番号をしっかり書いて、引用であることが分かるようにします。
引用したり参考にした書籍や論文は、本文の後に、参考文献として文献情報をまとめて書きます。 もし、文献番号が[番号]形式なら、文献番号と文献情報を書きます。 文献番号が(名字, 西暦)形式なら、文献情報のみ書きます。
文献番号と同様に、文献情報の書き方も、専門分野によって違います。 ここでは、よくある書式を、資料の種類ごとに示します。
Wordの操作については、
に書いてある方法を紹介します。
レポートや論文では、いくつかの図が使われます。 それらの図には図番号が振られます。 図番号は、「図1」、「図2」のような連番形式や、「図1.1」、「図1.2」のような「章番号.連番」形式が使われます。 そして、本文では図を図番号で参照し、「写真は図1.1のとおり」のように書きます。
レポートや論文では、図だけでなく表も使われます。 図番号と同じように、表には「表1」や「表1.1」のような表番号が振られます。 図番号と表番号をまとめて図表番号とよびます。
図表を追加、削除したときは、図表番号を振り直さなくてはいけません。 さらに、本文中の図表番号も修正する必要があります。 Wordの「図表番号の挿入」機能を利用すると、図表番号を自動的に振り直せます。 また、Wordの「相互参照」機能を利用すると、本文中の図表番号を自動的に変えられます。
Wordの「相互参照」機能は、見出し番号でも使えます。 つまり、本文に「詳細は第2章で説明する」などと書いた後で、見出しを追加、削除した場合、この「第2章」が直接入力したものならば修正しなくてはいけませんが、「相互参照」機能で入力したものならば、自動的に変えられます。
図表番号が「図2.1」や「表2.1」のような「章番号.連番」形式でも、Wordの「図表番号の挿入」機能と「相互参照」機能を利用していれば、後で見出しを追加、削除して章番号が変わっても、この「2」の部分を自動的に変えられます。
例えば、以下のようなWord文書を作成したとします。
もし、本文中の図表番号や見出し番号が直接入力したものならば、「はじめに」という章見出しを文書の最初に追加しても、本文中の図表番号や見出し番号はそのままなので、修正しなくてはいけません。
しかし、Wordの「図表番号の挿入」機能と「相互参照」機能を利用していれば、本文中の図表番号や見出し番号を自動的に変えられます。
それでは、実際にやってみましょう。 まず、文字だけ入力します。 ここで、「(図)」、「(表)」、「(章)」は、後で図表番号や見出し番号を入れるという目印です。
次に、アウトライン・モードにし、「見出し 1 に変更」ボタンと「標準文字列」ボタンで、章見出しと本文に分けます。
印刷レイアウトに戻すと、見出しの左には点が表示されますが、本文には表示されません。
今日は、見出しのスタイルは設定しません。
カーソルを1行目に移動し、リボンの「ホーム」をクリックし、「アウトライン」ボタンをクリックし、「リスト ライブラリ」の中の「第1章、第1節、第1項」をクリックします。
見出し番号が振られたら、再び「アウトライン」ボタンをクリックし、「新しいアウトラインの定義」をクリックして、「アウトライン」ウィンドウを開きます。
ここで、「オプション」ボタンをクリックしてください。 前回は、「番号書式」の「第1章」の後に全角スペースを追加し、「番号に続く空白の扱い」を「タブ文字」から「なし」に変更しましたが、今回は、全角スペースを追加せず、「タブ文字」のままにします。 なぜなら、番号書式に全角スペースを入れてしまうと、相互参照のときに全角スペースが入ってしまうからです。
文字の部分ができたので、次に、図表を追加します。 図表については、次のExcelファイルをダウンロードしてください。 このExcelファイルは、年齢構造のそれぞれの都道府県1位をまとめたものです。
そして、ExcelファイルからWordファイルにコピー・アンド・ペーストします。
一般的に、図番号は図の下に書きます。
Wordの図を右クリックし、「図表番号の挿入」をクリックすると、「図表番号」ウィンドウが開きます。
「図表番号」ウィンドウの「ラベル」メニューで「図」を選択します。 (もし「図」がなければ、「新しいラベル」ボタン(Windowsの場合は「ラベル名」ボタン)をクリックすると、「新しいラベル名」ウィンドウが開くので、「図」と入力して「OK」をクリックします。)
「図表番号」ウィンドウの「位置」メニューで「選択した項目の下」を選択します。
「書式」ボタン(Windowsの場合は「番号付け」ボタン)をクリックすると、「図表番号の書式」ウィンドウが開きます。 「書式」メニューで全角の数字を選択し、「章番号を含める」チェックボックスをオンにし、「章タイトルのスタイル」を「見出し 1」にし、「区切り文字」を「.(ピリオド)」にして、「OK」ボタンをクリックします。
「図表番号」ウィンドウの「図表番号」が「図 2.1」であることを確認して、「OK」ボタンをクリックします。
すると、図の下に「図 2.1」が追加されるので、番号の次にキャプション(説明文)を入力します。
図を右クリックし「文字列の折り返し」→「上下」とクリックします。
すると、図を横に移動できるので、中央に揃えます。 図番号とキャプションは、「中央揃え」ボタンで中央に揃えます。
他の図についても、同じように操作してください。 その際、「図表番号」ウィンドウの「図表番号」に「図 2.2」や「図 2.3」と表示されていれば、「OK」ボタンをクリックするだけでよいです。
一般的に、表番号は表の上に書きます。
Wordの表の中にマウスカーソルを入れ、出てきた左上の四角を右クリックし、「図表番号を挿入」をクリックすると、「図表番号」ウィンドウが開きます。
「図表番号」ウィンドウの「ラベル」メニューで「表」を選択します。 (もし「表」がなければ、「新しいラベル」ボタン(Windowsの場合は「ラベル名」ボタン)をクリックすると、「新しいラベル名」ウィンドウが開くので、「表」と入力して「OK」をクリックします。)
「図表番号」ウィンドウの「位置」メニューで「選択した項目の上」を選択します。
「書式」ボタン(Windowsの場合は「番号付け」ボタン)をクリックすると、「図表番号の書式」ウィンドウが開きます。 「書式」メニューで全角の数字を選択し、「章番号を含める」チェックボックスをオンにし、「章タイトルのスタイル」を「見出し 1」にし、「区切り文字」を「.(ピリオド)」にして、「OK」ボタンをクリックします。
「図表番号」ウィンドウの「図表番号」が「表 2.1」であることを確認して、「OK」ボタンをクリックします。
すると、表の上に「表 2.1」が追加されるので、番号の次にキャプション(説明文)を入力します。
表の左上の四角を右クリックし、「表のプロパティ」をクリックすると、「表のプロパティ」ウィンドウが開きます。 「表」タブをクリックし、「配置」を「中央揃え」にし、「文字列の折り返し」を「なし」にします。
すると、表が中央に揃います。 表番号とキャプションは、「中央揃え」ボタンで中央に揃えます。
図表番号を振ったので、最後に「相互参照」機能を使って、図表番号や見出し番号を本文に入れます。
「(図)」、「(表)」、「(章)」のいずれかにカーソルを移動し、リボンの「参照設定」(Windowsの場合は「参考資料」)をクリックし、「相互参照」をクリックすると、「相互参照」ウィンドウが開きます。 「参照する項目」メニューで「図」、「表」、「見出し」のどれかを選択し、「相互参照の文字列」メニューで、「図」や「表」の場合は「番号とラベルのみ」、「見出し」の場合は「見出し番号」を選択し、「ハイパーリンクとして挿入する」チェックボックスをオンにし、「図表番号の参照先」欄で参照先をクリックし、「挿入」ボタンをクリックします。
これで、本文中に図表番号と見出し番号が入りました。
相互参照が本当に機能するかを確かめるために、「はじめに」という章見出しを文書の最初に追加します。
そして、メニューバーで「編集」→「すべてを選択」とクリックし、(Windowsの場合は、リボンの「ホーム」→「選択」→「すべて選択」とクリックし、)右クリックして「フィールド更新」をクリックしてください。 すると、図表番号と見出し番号が自動的に変わります。
なお、テキスト・ボックスの中などは、自動的に変わらない場合があります。 そのときは、個別に右クリックして「フィールド更新」をクリックしてください。
「参考文献」はレベル 1 の見出しになっていますが、見出し番号はいりません。
「参考文献」をドラッグし、リボンの「ホーム」→「アウトライン」→「なし」とクリックすると、見出し番号が消えます。
Wordには参考文献の管理機能があります。 リボンの「参照設定」(Windowsの場合は「参考資料」)をクリックし、
の順番で使います。 ただし、レポート作成のレベルでは大げさかもしれません。 とりあえず、手作業で行ってください。
仕上げとして、目次と表紙を作成しましょう。 その前に問題になるのが、ページ番号です。 実は、Wordのページ番号は複雑な規則に従っています。
例えば、次のような卒業論文を想定します。
この場合は、次のように操作します。
ここでは、今日のWordファイルで練習します。
リボンの「挿入」をクリックし、「ページ番号」ボタンをクリックし、「ページ番号」(Windowsの場合は「ページの下部」など)をクリックすると、「ページ番号」ウィンドウ(Windowsの場合はページ番号の候補)が表示されるので、ページ番号を選びます。
ページ番号を入れると、ページ番号にカーソルがありますが、本文欄を数回クリックすると、本文欄にカーソルが戻ります。 文書の最初に、「(表紙)」と「(目次)」という仮の行を追加します。
「(表紙)」の直後にカーソルを移動し、リボンの「レイアウト」(Windowsの場合は「ページレイアウト」)をクリックし、「改ページ」(Windowsの場合は「区切り」)をクリックして、「次のページから開始」をクリックしてください。 すると、セクション区切りが入ります。
「(目次)」の直後でも同じように操作して、セクション区切りを入れます。
目次のページのページ番号(2)をダブルクリックすると、リボンの「前と同じヘッダー/フッター」がオンになっているので、クリックしてオフにします。
本文のページのページ番号(3)でも同じように操作して、「前と同じヘッダー/フッター」をオフにしてください。
表紙のページのページ番号(1)を数回クリックして選択された状態にし、deleteキーで削除します。
目次のページのページ番号(2)をダブルクリックし、リボンで「ページ番号」→「ページ番号の書式設定」とクリックし(Windowsの場合はページ番号を右クリックし、「ページ番号の書式設定」をクリックし)、「ページ番号の書式」ウィンドウの「番号書式」を「i, ii, iii」にし、「開始番号」ラジオボタンをクリックし、開始番号を「i」にします。
本文のページのページ番号(3)でも同じようにして「ページ番号の書式」ウィンドウを開き、「番号書式」を「1, 2, 3」にし、「開始番号」ラジオボタンをクリックし、開始番号を「1」にします。
これで、卒業論文のようなページ番号になります。
見出しの設定を正しく行っていれば、目次は自動的に作成できます。 「(目次)」を削除し、リボンの「参照設定」(Windowsの場合は「参考資料」)をクリックし、「目次」ボタンをクリックすると、目次の候補が表示されます。
目次の候補をクリックすると、目次が作成されます。
目次を作成した後で、見出しを変更したりページ番号が変わった場合は、「目次の更新」を行います。 リボンの「参照設定」(Windowsの場合は「参考資料」)をクリックし、「目次の更新」ボタンをクリックすると、「目次の更新」ウィンドウが開くので、「目次をすべて更新する」ラジオボタンをクリックしてください。
表紙の作成については、特別な操作はありません。 「(表紙)」を削除して、表紙を作成してください。
[相互参照]外務省のトップページ( https://www.mofa.go.jp/ )を開き、「Japanese」→「国・地域」とクリックすると、世界各国の国旗や基礎データ(面積や人口など)が閲覧できます。 そこで、今興味がある2か国を選び、それらの国の国旗をWordの図として貼り付けてください。 また、興味がある2種類の基礎データを選び、それらの基礎データが比較できるようにWordの表にまとめてください。 最後に、Wordの「図表番号の挿入」機能と「相互参照」機能を利用して、例のようなWord文書を作成してください。
今日の演習5の答案(Wordファイル)をメールで提出してください。 差出人は学内のメール・アドレス(学生番号@cis.twcu.ac.jp)とし、宛先はkonishi@cis.twcu.ac.jpとします。 メールの本文には、学生番号、氏名、科目名、授業日(10月24日)を明記してください。