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情報処理技法(リテラシ)II 第5回

目次
索引

レポートや論文の構成(2)

引用の考え方

レポートや論文を作成するときは、しばしば引用が行われます。 引用は、他人の書いた書籍や論文の一部を、出典を明記したうえで、自分のレポートや論文に載せることです。 出典を明記しなければ、剽窃(盗用)になってしまいます。

ここでは、引用について、

の第7章「「他者の言葉」で書く」の内容を紹介します。

引用は、まず、先行研究を紹介するときに行われます。 どんなに独創的なレポートや論文であっても、先行研究は存在します。 引用によって、先行研究を明確にします。

また、理論を展開するときにも、引用が行われます。 他人の書いた書籍や論文を事実として引用し、それを根拠にして理論を展開するわけです。

引用する内容は、自分が書く内容と似ている場合もありますし、反対の場合もあります。 似ている内容を引用すると、自分の内容を補強できます。 反対の内容を引用すると、自分と対立する内容を紹介できます。

引用の書式

引用の出典を明記するとき、引用が1か所しかなければ、そこに書籍や論文の文献情報(とページ番号)を書けばいいでしょう。 一般的には、引用は複数か所ありますので、そこには文献番号(とページ番号)のみを書き、本文の後に「参考文献」という見出しを設けて、そこに文献情報をまとめて書きます。

文献番号の書き方は、専門分野によって違います。 例えば、

などが使われます。 これらの文献番号を、

のように文末に書いたり、

のように文中に書いたりします。

引用には、直接引用と間接引用があります。

直接引用は、他人が書いた書籍や論文から、一字一句そのまま書き写すことです。 引用部分は、括弧で囲んだり、上下左右に余白を入れるなどして、自分が書いた部分と明確に区別できるようにする必要があります。 文献番号は、引用部分の最後に書きます。

間接引用は、他人が書いた書籍や論文を要約するなどして、必ずしもそのままではなく書くことです。 この場合、文末や文中に文献番号をしっかり書いて、引用であることが分かるようにします。

参考文献の書式

引用したり参考にした書籍や論文は、本文の後に、参考文献として文献情報をまとめて書きます。 もし、文献番号が[番号]形式なら、文献番号と文献情報を書きます。 文献番号が(名字, 西暦)形式なら、文献情報のみ書きます。

文献番号と同様に、文献情報の書き方も、専門分野によって違います。 ここでは、よくある書式を、資料の種類ごとに示します。

書籍
著者名『タイトル』出版社, 出版年.
論文
著者名: タイトル「雑誌名」何巻, 何号, ページ番号, 出版年.
新聞記事
著者名: タイトル, 新聞名, 掲載日, 何面.
ウェブページ
著者名: タイトル, サイト名, URL, 参照日.

ワード(2)

相互参照とは

Wordの操作については、

に書いてある方法を紹介します。

レポートや論文では、いくつかの図が使われます。 それらの図には図番号が振られます。 図番号は、「図1」、「図2」のような連番形式や、「図1.1」、「図1.2」のような「章番号.連番」形式が使われます。 そして、本文では図を図番号で参照し、「写真は図1.1のとおり」のように書きます。

レポートや論文では、図だけでなく表も使われます。 図番号と同じように、表には「表1」や「表1.1」のような表番号が振られます。 図番号と表番号をまとめて図表番号とよびます。

図表を追加、削除したときは、図表番号を振り直さなくてはいけません。 さらに、本文中の図表番号も修正する必要があります。 Wordの「図表番号の挿入」機能を利用すると、図表番号を自動的に振り直せます。 また、Wordの「相互参照」機能を利用すると、本文中の図表番号を自動的に変えられます。

Wordの「相互参照」機能は、見出し番号でも使えます。 つまり、本文に「詳細は第2章で説明する」などと書いた後で、見出しを追加、削除した場合、この「第2章」が直接入力したものならば修正しなくてはいけませんが、「相互参照」機能で入力したものならば、自動的に変えられます。

図表番号が「図2.1」や「表2.1」のような「章番号.連番」形式でも、Wordの「図表番号の挿入」機能と「相互参照」機能を利用していれば、後で見出しを追加、削除して章番号が変わっても、この「2」の部分を自動的に変えられます。

例えば、以下のようなWord文書を作成したとします。

相互参照(1)
相互参照(1)

もし、本文中の図表番号や見出し番号が直接入力したものならば、「はじめに」という章見出しを文書の最初に追加しても、本文中の図表番号や見出し番号はそのままなので、修正しなくてはいけません。

相互参照(2)
相互参照(2)

しかし、Wordの「図表番号の挿入」機能と「相互参照」機能を利用していれば、本文中の図表番号や見出し番号を自動的に変えられます。

相互参照(3)
相互参照(3)

図表番号

それでは、実際にやってみましょう。 まず、文字だけ入力します。 ここで、「(図)」、「(表)」、「(章)」は、後で図表番号や見出し番号を入れるという目印です。

相互参照の作成(1)
相互参照の作成(1)

次に、アウトライン・モードにし、「見出し 1 に変更」ボタンと「標準文字列」ボタンで、章見出しと本文に分けます。

相互参照の作成(2)
相互参照の作成(2)

印刷レイアウトに戻すと、見出しの左には点が表示されますが、本文には表示されません。

相互参照の作成(3)
相互参照の作成(3)

今日は、見出しのスタイルは設定しません。

カーソルを1行目に移動し、リボンの「ホーム」をクリックし、「アウトライン」ボタンをクリックし、「リスト ライブラリ」の中の「第1章、第1節、第1項」をクリックします。

相互参照の作成(4)
相互参照の作成(4)

見出し番号が振られたら、再び「アウトライン」ボタンをクリックし、「新しいアウトラインの定義」をクリックして、「アウトライン」ウィンドウを開きます。

相互参照の作成(5)
相互参照の作成(5)

ここで、「オプション」ボタンをクリックしてください。 前回は、「番号書式」の「第1章」の後に全角スペースを追加し、「番号に続く空白の扱い」を「タブ文字」から「なし」に変更しましたが、今回は、全角スペースを追加せず、「タブ文字」のままにします。 なぜなら、番号書式に全角スペースを入れてしまうと、相互参照のときに全角スペースが入ってしまうからです。

文字の部分ができたので、次に、図表を追加します。 図表については、次のExcelファイルをダウンロードしてください。 このExcelファイルは、年齢構造のそれぞれの都道府県1位をまとめたものです。

lit2_05_data.xlsx

そして、ExcelファイルからWordファイルにコピー・アンド・ペーストします。

相互参照の作成(6)
相互参照の作成(6)

一般的に、図番号は図の下に書きます。

Wordの図を右クリックし、「図表番号の挿入」をクリックすると、「図表番号」ウィンドウが開きます。

相互参照の作成(7)
相互参照の作成(7)

「図表番号」ウィンドウの「ラベル」メニューで「図」を選択します。 (もし「図」がなければ、「新しいラベル」ボタン(Windowsの場合は「ラベル名」ボタン)をクリックすると、「新しいラベル名」ウィンドウが開くので、「図」と入力して「OK」をクリックします。)

相互参照の作成(8)
相互参照の作成(8)

「図表番号」ウィンドウの「位置」メニューで「選択した項目の下」を選択します。

相互参照の作成(9)
相互参照の作成(9)

「書式」ボタン(Windowsの場合は「番号付け」ボタン)をクリックすると、「図表番号の書式」ウィンドウが開きます。 「書式」メニューで全角の数字を選択し、「章番号を含める」チェックボックスをオンにし、「章タイトルのスタイル」を「見出し 1」にし、「区切り文字」を「.(ピリオド)」にして、「OK」ボタンをクリックします。

相互参照の作成(10)
相互参照の作成(10)

「図表番号」ウィンドウの「図表番号」が「図 2.1」であることを確認して、「OK」ボタンをクリックします。

相互参照の作成(11)
相互参照の作成(11)

すると、図の下に「図 2.1」が追加されるので、番号の次にキャプション(説明文)を入力します。

相互参照の作成(12)
相互参照の作成(12)

図を右クリックし「文字列の折り返し」→「上下」とクリックします。

相互参照の作成(13)
相互参照の作成(13)

すると、図を横に移動できるので、中央に揃えます。 図番号とキャプションは、「中央揃え」ボタンで中央に揃えます。

他の図についても、同じように操作してください。 その際、「図表番号」ウィンドウの「図表番号」に「図 2.2」や「図 2.3」と表示されていれば、「OK」ボタンをクリックするだけでよいです。

一般的に、表番号は表の上に書きます。

Wordの表の中にマウスカーソルを入れ、出てきた左上の四角を右クリックし、「図表番号を挿入」をクリックすると、「図表番号」ウィンドウが開きます。

相互参照の作成(14)
相互参照の作成(14)

「図表番号」ウィンドウの「ラベル」メニューで「表」を選択します。 (もし「表」がなければ、「新しいラベル」ボタン(Windowsの場合は「ラベル名」ボタン)をクリックすると、「新しいラベル名」ウィンドウが開くので、「表」と入力して「OK」をクリックします。)

相互参照の作成(15)
相互参照の作成(15)

「図表番号」ウィンドウの「位置」メニューで「選択した項目の上」を選択します。

相互参照の作成(16)
相互参照の作成(16)

「書式」ボタン(Windowsの場合は「番号付け」ボタン)をクリックすると、「図表番号の書式」ウィンドウが開きます。 「書式」メニューで全角の数字を選択し、「章番号を含める」チェックボックスをオンにし、「章タイトルのスタイル」を「見出し 1」にし、「区切り文字」を「.(ピリオド)」にして、「OK」ボタンをクリックします。

相互参照の作成(17)
相互参照の作成(17)

「図表番号」ウィンドウの「図表番号」が「表 2.1」であることを確認して、「OK」ボタンをクリックします。

相互参照の作成(18)
相互参照の作成(18)

すると、表の上に「表 2.1」が追加されるので、番号の次にキャプション(説明文)を入力します。

相互参照の作成(19)
相互参照の作成(19)

表の左上の四角を右クリックし、「表のプロパティ」をクリックすると、「表のプロパティ」ウィンドウが開きます。 「表」タブをクリックし、「配置」を「中央揃え」にし、「文字列の折り返し」を「なし」にします。

相互参照の作成(20)
相互参照の作成(20)

すると、表が中央に揃います。 表番号とキャプションは、「中央揃え」ボタンで中央に揃えます。

相互参照

図表番号を振ったので、最後に「相互参照」機能を使って、図表番号や見出し番号を本文に入れます。

「(図)」、「(表)」、「(章)」のいずれかにカーソルを移動し、リボンの「参照設定」(Windowsの場合は「参考資料」)をクリックし、「相互参照」をクリックすると、「相互参照」ウィンドウが開きます。 「参照する項目」メニューで「図」、「表」、「見出し」のどれかを選択し、「相互参照の文字列」メニューで、「図」や「表」の場合は「番号とラベルのみ」、「見出し」の場合は「見出し番号」を選択し、「ハイパーリンクとして挿入する」チェックボックスをオンにし、「図表番号の参照先」欄で参照先をクリックし、「挿入」ボタンをクリックします。

相互参照の作成(21)
相互参照の作成(21)
相互参照の作成(22)
相互参照の作成(22)

これで、本文中に図表番号と見出し番号が入りました。

相互参照(1)
相互参照(1)

相互参照が本当に機能するかを確かめるために、「はじめに」という章見出しを文書の最初に追加します。

相互参照の作成(23)
相互参照の作成(23)

そして、メニューバーで「編集」→「すべてを選択」とクリックし、(Windowsの場合は、リボンの「ホーム」→「選択」→「すべて選択」とクリックし、)右クリックして「フィールド更新」をクリックしてください。 すると、図表番号と見出し番号が自動的に変わります。

相互参照(3)
相互参照(3)

なお、テキスト・ボックスの中などは、自動的に変わらない場合があります。 そのときは、個別に右クリックして「フィールド更新」をクリックしてください。

参考文献の作成

「参考文献」はレベル 1 の見出しになっていますが、見出し番号はいりません。

参考文献の作成(1)
参考文献の作成(1)

「参考文献」をドラッグし、リボンの「ホーム」→「アウトライン」→「なし」とクリックすると、見出し番号が消えます。

参考文献の作成(2)
参考文献の作成(2)
参考文献(1)
参考文献(1)

Wordには参考文献の管理機能があります。 リボンの「参照設定」(Windowsの場合は「参考資料」)をクリックし、

  1. 「スタイル」で文献のスタイルを決定
  2. 「引用文献」(Windowsの場合は「資料文献の管理」)で文献を登録
  3. 「引用文献の挿入」で文献番号を挿入
  4. 「文献目録」で参考文献を作成

の順番で使います。 ただし、レポート作成のレベルでは大げさかもしれません。 とりあえず、手作業で行ってください。

ページ番号の設定

仕上げとして、目次と表紙を作成しましょう。 その前に問題になるのが、ページ番号です。 実は、Wordのページ番号は複雑な規則に従っています。

例えば、次のような卒業論文を想定します。

この場合は、次のように操作します。

  1. 仮のページ番号を振る。
  2. 表紙と目次の間にセクション区切りを入れる。
  3. 目次と本文の間にセクション区切りを入れる。
  4. 目次のページ番号を、前のセクションと同じ設定にしない。
  5. 本文のページ番号を、前のセクションと同じ設定にしない。
  6. 表紙のページ番号を削除する。
  7. 目次のページ番号を、継続でなく、i, ii, ... にする。
  8. 本文のページ番号を、継続でなく、1, 2, ... にする。

ここでは、今日のWordファイルで練習します。

リボンの「挿入」をクリックし、「ページ番号」ボタンをクリックし、「ページ番号」(Windowsの場合は「ページの下部」など)をクリックすると、「ページ番号」ウィンドウ(Windowsの場合はページ番号の候補)が表示されるので、ページ番号を選びます。

目次の作成(1)
目次の作成(1)

ページ番号を入れると、ページ番号にカーソルがありますが、本文欄を数回クリックすると、本文欄にカーソルが戻ります。 文書の最初に、「(表紙)」と「(目次)」という仮の行を追加します。

目次の作成(2)
目次の作成(2)

「(表紙)」の直後にカーソルを移動し、リボンの「レイアウト」(Windowsの場合は「ページレイアウト」)をクリックし、「改ページ」(Windowsの場合は「区切り」)をクリックして、「次のページから開始」をクリックしてください。 すると、セクション区切りが入ります。

目次の作成(3)
目次の作成(3)

「(目次)」の直後でも同じように操作して、セクション区切りを入れます。

目次のページのページ番号(2)をダブルクリックすると、リボンの「前と同じヘッダー/フッター」がオンになっているので、クリックしてオフにします。

目次の作成(4)
目次の作成(4)

本文のページのページ番号(3)でも同じように操作して、「前と同じヘッダー/フッター」をオフにしてください。

表紙のページのページ番号(1)を数回クリックして選択された状態にし、deleteキーで削除します。

目次のページのページ番号(2)をダブルクリックし、リボンで「ページ番号」→「ページ番号の書式設定」とクリックし(Windowsの場合はページ番号を右クリックし、「ページ番号の書式設定」をクリックし)、「ページ番号の書式」ウィンドウの「番号書式」を「i, ii, iii」にし、「開始番号」ラジオボタンをクリックし、開始番号を「i」にします。

本文のページのページ番号(3)でも同じようにして「ページ番号の書式」ウィンドウを開き、「番号書式」を「1, 2, 3」にし、「開始番号」ラジオボタンをクリックし、開始番号を「1」にします。

目次の作成(5)
目次の作成(5)

これで、卒業論文のようなページ番号になります。

目次と表紙の作成

見出しの設定を正しく行っていれば、目次は自動的に作成できます。 「(目次)」を削除し、リボンの「参照設定」(Windowsの場合は「参考資料」)をクリックし、「目次」ボタンをクリックすると、目次の候補が表示されます。

目次の作成(6)
目次の作成(6)

目次の候補をクリックすると、目次が作成されます。

目次(1)
目次(1)

目次を作成した後で、見出しを変更したりページ番号が変わった場合は、「目次の更新」を行います。 リボンの「参照設定」(Windowsの場合は「参考資料」)をクリックし、「目次の更新」ボタンをクリックすると、「目次の更新」ウィンドウが開くので、「目次をすべて更新する」ラジオボタンをクリックしてください。

目次の作成(7)
目次の作成(7)

表紙の作成については、特別な操作はありません。 「(表紙)」を削除して、表紙を作成してください。


演習5

[相互参照]外務省のトップページ( https://www.mofa.go.jp/ )を開き、「Japanese」→「国・地域」とクリックすると、世界各国の国旗や基礎データ(面積や人口など)が閲覧できます。 そこで、今興味がある2か国を選び、それらの国の国旗をWordの図として貼り付けてください。 また、興味がある2種類の基礎データを選び、それらの基礎データが比較できるようにWordの表にまとめてください。 最後に、Wordの「図表番号の挿入」機能と「相互参照」機能を利用して、例のようなWord文書を作成してください。

相互参照(4)
相互参照(4)

レポート課題

今日の演習5の答案(Wordファイル)をメールで提出してください。 差出人は学内のメール・アドレス(学生番号@cis.twcu.ac.jp)とし、宛先はkonishi@cis.twcu.ac.jpとします。 メールの本文には、学生番号、氏名、科目名、授業日(10月24日)を明記してください。


参考文献


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2018年10月24日更新
小西 善二郎 <konishi@cis.twcu.ac.jp>
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