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情報処理技法(リテラシ)II 第2回

目次
索引

資料の重要性

前回、アカデミック・ライティングについて説明したとき、資料の役割を3種類紹介しました。

このように、資料は、レポート作成や論文作成で、なくてはならないものです。 適切な資料を効率的に探すことができれば、レポートや論文を書くことに集中できます。

「適当なキーワードで検索すれば、資料なんて、すぐに集まる。」と思うかもしれません。 しかし、インターネット上の情報は、貴重なものもありますが、いい加減なものも多いです。

例えば、フリー百科事典「Wikipedia」の場合、英語のページはよく書けているのに、日本語のページは書きかけで放置されていることがあります。 そういう中途半端な情報を元にレポートや論文を書いても、説得力はありません。

資料の種類

レポート作成や論文作成に役立つ資料は、次のようなものです。

新聞については、縮刷版というものがあります。 これは、過去の新聞の紙面を縮小印刷して製本したり、PDFファイルにしてDVDに記録したものです。 多くの図書館で利用可能で、数十年分の新聞記事が閲覧できます。

論文雑誌とは、学会などが定期的に発行する雑誌で、研究者が投稿した論文が掲載されているものです。 論文雑誌は、普通、書店では売っていません。 大学などの図書館で閲覧できます。 特に研究レベルでは、論文雑誌が重要になります。

データベースとは、特定の研究分野に関するデータの検索などが行えるシステムです。 誰でも無料で利用できるものもあれば、大学が契約していて、大学のパソコンだけから利用できるものもあります。

資料の収集

ここでは、資料の収集について、

の第6章「情報を調べる」の内容を紹介します。 なお、この本は、複数の大学教授によって、レポートや論文の書き方について書かれたものです。

まず、「書くこと」と「調べること」は、並行して行われますが、ライティングのそれぞれの段階で、情報の調べ方に違いがあります。 情報を調べることを「情報探索」とよび、「情報探索サイクル」という言葉を使うと、情報探索サイクルには次の3段階があるのです。

(1) ライティングを始める前に行う情報探索

(2) ライティングの途中で行う情報探索

(3) ライティングの終わりに行う情報探索

この3段階は、文献[1]のp.84からの引用です。

ライティングを始める前の情報探索では、目的の分野だけでなく、周辺分野を色々眺めてみるという「手当たり次第方式」がよいでしょう。 図書館では、探している本と似た分野の本が近くに並んでいるので、それらを拾い読みしたほうがよいということです。 それによって、目的の分野と周辺分野の関係性が見えてきます。

ライティングの途中の情報探索では、「先行研究」を確認することが重要になります。 これから書こうとしている分野で、過去にどのような研究がされたか、本や論文を探します。 そして、その最後に書いてある参考文献を見ると、資料となる本や論文の一覧が載っています。 それらの本や論文を集めると、その最後にも参考文献が載っています。 参考文献の参考文献の…と繰り返せば、必要な資料が効率よく集められます。 これを「芋づる方式」とよびます。

ライティングの終わりの情報探索では、必要な資料をすべてそろえることです。 十分に資料が集まったと思って、レポートや論文を書き進めてみても、最初から思い通りには書けないものです。 何度か、レポートや論文を構成し直すことになります。 その度に、一度集めた資料を読み直したり、足りない資料を集めたりします。 最終的に、レポートや論文の構成が決定し、そのときに資料がすべてそろうのです。

図書館の利用

レポート作成や論文作成で、必要な資料を集めるには、図書館に行く必要があります。 まず、一般的な図書館の利用法について説明します。

図書館の書籍の並べ方(配架といいます)は、NDC(日本十進分類法)に従っていることが多いです。 以下は、NDCの最も大きな分類です。

NDC(日本十進分類法)
分類記号 分野
0 総記
1 哲学・宗教
2 歴史・地理
3 社会科学
4 自然科学
5 技術
6 産業
7 芸術
8 言語
9 文学

ただし、専門図書館では、独自の配架方式を採用している場合があります。 また、雑誌の配架は、NDCと関係なく、雑誌名の五十音順やアルファベット順になっていたりします。

図書館には司書とよばれる人がいます。 司書は情報探索のプロです。 図書館でうまく資料が探せないときは、司書に相談してみてください。

うまく資料が見つかったら、次に、借りるかコピーするかです。 普通、書籍は借りられますが、リファレンス類、新聞縮刷版、一般雑誌、論文雑誌は借りられません。 図書館の職員に依頼すると、(著作権の範囲内で)実費でコピーしてもらえます。

東京女子大学図書館

次に、東京女子大学図書館についてです。 東京女子大学のホームページ( http://www.twcu.ac.jp/ )を開き、「図書館・各種センター」→「図書館」→「東京女子大学図書館」とクリックすると、図書館のトップページ( http://library.twcu.ac.jp/ )が開きます。

図書館のトップページは、蔵書検索データベースOPACを利用するのに便利ですが、「トップページ」をクリックすると戻れるので、OPACは後回しにして、「図書館総合案内」→「フロアガイド」とクリックすると、フロアガイドのページ( http://library.twcu.ac.jp/floor/ )が開きます。

フロアガイドを見ると、書籍については地階、2階、3階に、NDCに従って配架されているのが分かります。 また、リファレンス類や新聞縮刷版、雑誌バックナンバーは地階にあり、最近の新聞と雑誌は1階にあることも分かります。 1階のカウンターに行けば、文献探索の質問を受け付けてくれることや、新聞・雑誌は貸出不可であることも分かります。

データベースの利用

「資料の探し方」→「テーマ別データベース検索」とクリックすると、テーマ別データベース検索のページ( http://library.twcu.ac.jp/found/dbsearch/ )が開きます。 (このページは、トップページの「データベース検索」をクリックしても開きます。)

テーマ別データベース検索を見ると、それぞれの専門分野で、文献検索や研究データの検索ができることが分かります。 この授業では、

の3種類のデータベースを使ってみます。 なお、「資料の探し方」→「資料の探し方ナビ」とクリックすると、資料の探し方ナビのページ( http://library.twcu.ac.jp/found/find/ )が開きますので、データベースの使い方が確認できます。

東京女子大学図書館OPAC( https://opac.library.twcu.ac.jp/opac/opac_search/ )は、学内の書籍や雑誌を探す検索システムです。 キーワードで検索する「簡易検索」と、著者名やタイトルなどで検索する「詳細検索」があります。 図書館のトップページから使えるようになっています。

ここで、調べたいことの例をあげます。

例1 仏像を修復したという新聞記事を読んだが、仏像を修復していいのか。

例2 地球温暖化はデマだというテレビ番組を見たが、最近の異常気象は何なのか。

例3 都内の大学の定員を減らすというニュースを聞いたが、過疎化対策になるのか。

仏像の修復について調べる場合、まず、OPACの入力欄に「仏像 修復」と入力して「簡易検索」をクリックします。 すると、キーワードにヒットする書籍が一覧表示されます。 タイトルをクリックすると、

などが表示されます。 「検索結果一覧に戻る」をクリックすると、一覧表示に戻ります。

キーワード検索で、うまく検索できない場合は、キーワードを変えてみます。 「仏像 修復」の検索結果を見ていると、「文化財 修復」のほうがよさそうです。 キーワードの入力欄を「文化財 修復」に変更して「検索」をクリックすると、文化財修復を論じている書籍が数件見つかります。

地球温暖化について調べる場合、「地球温暖化 異常気象」で検索すると、「地球温暖化だから異常気象だ」という内容の書籍ばかり表示されます。 そこで、「地球温暖化」と「異常気象」を別々に検索すると、そうではない内容の書籍が数件見つかります。

過疎化対策について調べる場合、「過疎化対策」で検索すると、何も表示されません。 「過疎」なら表示されるので、検索結果を見ていると、「地方創生」というキーワードに気づきます。 実際、「地方創生」で検索すると、過疎化対策を論じている書籍が数件見つかります。

東京女子大学図書館OPACの「詳細検索」は、次のようなときに利用します。

ここでは、書籍のデータベースとしてCiNii Booksを利用し、OPACの「詳細検索」で、その書籍が学内にあるかを確かめます。 また、論文のデータベースとしてCiNii Articlesを利用し、OPACの「詳細検索」で、その雑誌が学内にあるかを確かめます。

CiNii Books( https://ci.nii.ac.jp/books/ )(CiNiiはサイニィと読みます)は、国立情報学研究所が提供する、書籍のデータベースです。

図書館のトップページから「資料の探し方」→「テーマ別データベース検索」とクリックするか、一般の検索エンジンで「cinii」と検索して、「大学図書館の本を探す」をクリックしてください。

使い方はOPACと大体同じで、キーワード入力欄にキーワードを入力して「検索」をクリックします。 違いは、検索結果のタイトルをクリックすると、所蔵している大学図書館が一覧表示されるところです。

その一覧から「東京女子大学図書館」を探してもいいですが、ここでは著者名をメモし、OPACの「詳細検索」をやってみます。 図書館のトップページを開き、OPACの「詳細検索」をクリックしてください。 そして、最初の入力欄に著者名を入力し、「著者名に左の語句を含む」を選択して「検索」をクリックしてください。 もし学内にその書籍があれば、検索結果に表示されます。

CiNii Articles( https://ci.nii.ac.jp/ )は、国立情報学研究所が提供する、論文のデータベースです。

図書館のトップページから「資料の探し方」→「テーマ別データベース検索」とクリックするか、一般の検索エンジンで「cinii」と検索して、「日本の論文を探す」をクリックしてください。

使い方はOPACと大体同じで、キーワード入力欄にキーワードを入力して「検索」をクリックします。 違いは、検索結果が論文一覧になっていて、タイトルをクリックすると(あれば)概要が表示されるところです。

論文一覧には雑誌名が書いてありますが、その雑誌が学内にあるとは限りません。 そこで、雑誌名をメモし、OPACの「詳細検索」をやってみます。 図書館のトップページを開き、OPACの「詳細検索」をクリックしてください。 そして、最初の入力欄に雑誌名を入力し、「書名に左の語句を含む」を選択して「検索」をクリックしてください。 もし学内にその雑誌があれば、検索結果に表示されます。

もし、他の大学図書館にある書籍や論文を閲覧したければ、本学の図書館のカウンターに相談してください。 その大学図書館を利用するための紹介状を書いてくれたり、その大学図書館から取り寄せたりしてくれます。


演習2

[文献リスト作成]あなたが今調べてみたいこと(社会問題、先端技術、有名人など)に関するキーワードを考え、OPACやCiNii Books, CiNii Articlesで書籍や論文を探し、文献リストを作成してください。


レポート課題

今日の演習2の答案(メール本文かWordファイル)をメールで提出してください。 差出人は学内のメール・アドレス(学生番号@cis.twcu.ac.jp)とし、宛先はkonishi@cis.twcu.ac.jpとします。 メールの本文には、学生番号、氏名、科目名、授業日(10月3日)を明記してください。


参考文献


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2018年10月3日更新
小西 善二郎 <konishi@cis.twcu.ac.jp>
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