プレゼンテーション ( presentation )とは、資料を示しながら他人に何かを説明することです。 また、そのときの資料もプレゼンテーションと呼ぶことがあります。
プレゼンテーションの身近な例として、テレビの情報番組があげられます。 キャスターは、要点をまとめた厚紙(フリップ)を数枚用意していて、一枚ずつ取り出しながら説明をします。 大学においては、研究発表などがプレゼンテーションと言えます。 発表者は、資料をOHPシートに印刷しておいたり、パソコンを液晶プロジェクタに接続したりして、資料をスクリーンに投影しながら説明をします。
プレゼンテーション資料はワープロ文書と似ていますが、いくつかの違いがあります。 まず、プレゼンテーション資料は一枚一枚の独立性が高いです。 ワープロ文書のように文章がページをまたぐことは、ほとんどありません。 次に、プレゼンテーション資料では、文章は少なく、箇条書きや図表が多用されます。 あくまでも、説明への理解を助けるための資料だというわけです。 最後に、プレゼンテーション資料では、アニメーションなどの効果を利用することがあります。 例えば、Q&A形式で説明をするとき、答えの部分を最初は隠しておき、後で表示させることなどです。
プレゼンテーション資料を作成・表示・印刷するソフトウェアを、プレゼンテーション・ソフトと呼びます。 プレゼンテーション・ソフトには色々なものがありますが、現在はMicrosoft社の PowerPoint が最も使われています。 なお、この授業ではMac用のPowerPointを利用しますが、使い方はWindows用のPowerPointとだいたい同じです。
PowerPointでプレゼンテーション資料を作成するときの手順は、おおむね次の通りです。
PowerPointを起動するには、DockのFinderのアイコンをクリックし、サイドバーの「アプリケーション」をクリックし、「Microsoft PowerPoint」をダブルクリックします。
PowerPointを起動すると、新規プレゼンテーションのウィンドウが一つ開きます。 ウィンドウを増やすには、メニューバーで「ファイル」→「新規作成」とクリックします。 または、ツールバーの「ファイル」ボタンをクリックしてもよいです。
PowerPointを起動すると、プレゼンテーション・ウィンドウの上側にツールバーとリボンが表示されます。 ツールバーとリボンでは、基本的な操作が行えます。 一般的な操作については、メニューバーを利用します。 したがって、基本操作については、ツールバーとリボンでもできますし、メニューバーでもできるわけです。 この授業では、主にツールバーとリボンを利用することにします。 なお、リボンが表示されていない場合は、メニューバーで「表示」→「リボン」とクリックしてください。
PowerPointを終了するには、メニューバーで「PowerPoint」→「PowerPointを終了」とクリックします。
今日は、プレゼンテーション資料のサンプルとして、「リテラシI」の公式サイトの「情報の発表」→「PowerPointサンプル」にある、迷惑メールについてのプレゼンテーション資料を取り上げ、同じものをPowerPointで作ることにします。 ただし、普通の箇条書きはコピー・アンド・ペーストして、時間の無駄にならないようにします。
PowerPointのような複雑なアプリケーションは、時々、操作中に動かなくなることがあります。 こうなると、アプリケーションを強制終了させるしかないのですが、保存していない資料はたいていは消滅します。 プレゼンテーション資料を作成するときは、最初にファイル名を決定し、作成中は小まめに保存するようにしてください。
今回は、「迷惑メール.pptx」というファイル名にして、デスクトップに保存することにします。
新規プレゼンテーションのファイル名を決定するには、メニューバーで「ファイル」→「名前を付けて保存」とクリックします。 すると、ウィンドウが開くので、「名前」欄にファイル名(〜.pptx)を入力し、その右の三角ボタンを数回クリックして詳細表示にし、保存先のフォルダを選択し、「保存」ボタンをクリックします。 その際、「保存」ウィンドウの「ファイル形式」メニューに注目してください。
PowerPointは、バージョン2007以降、ファイル形式を変更しました。 新しいPowerPointのファイルと古いPowerPointのファイルは、ファイルの拡張子で区別します。 新しいPowerPointは.pptxで、古いPowerPointは.pptです。 東京女子大学のMacのPowerPoint(バージョン2016)で作成したファイルを、古いPowerPointで開く可能性がある場合は、ファイルを保存するときに、「ファイル形式」メニューを「PowerPointプレゼンテーション(.pptx)」から「PowerPoint 97-2003プレゼンテーション(.ppt)」に変更してください。
ファイル名を決定した後にプレゼンテーションを保存するには、メニューバーで「ファイル」→「保存」とクリックします。 または、ツールバーの「保存」ボタンをクリックしてもよいです。
ファイル名を決定したら、次に、スライドのテーマを決定します。 テーマを決定すると、スライドの背景だけでなく、文字の色なども決まります。 PowerPointには数多くのテーマが用意されているので、その中から内容にふさわしいものを選択します。
スライドのテーマを決定するには、リボンの「デザイン」をクリックします。 すると、色々なテーマが表示されるので、使用するテーマのアイコンをクリックします。
テーマを決定したら、次に、タイトルのスライドを作成します。 このスライドには、プレゼンテーションのタイトルの他に、発表する日付けや発表者の名前なども書きます。
新規のプレゼンテーションなら、最初にタイトルのスライドが用意されます。 この「クリックしてタイトルを入力」と書いている部分をクリックして、タイトルを入力します。 「クリックしてサブタイトルを入力」の部分には、日付や名前などを入力します。
今回は、タイトルの部分に「平日と休日の迷惑メール数の変遷」と入力してください。 また、サブタイトルの部分に、サンプルとまったく同じか、今日の日付と自分の学生番号と名前を入力してください。
PowerPointの使用中に、操作ミスで資料が消滅してしまっても、慌てることはありません。 メニューバーで「編集」→「元に戻す」とクリックすると、たいていは元に戻ります。 元に戻しすぎたときは、「編集」→「やり直し」とクリックします。 ツールバーの「元に戻す」ボタンや「やり直し」ボタンをクリックしてもできます。
PowerPointでは、文字のフォントはテーマに応じて自動的に決まります。 そのフォントを変更するには、リボンの「ホーム」をクリックします。 フォント関係の各種ボタンで、フォントの種類、サイズ、色などが変更できます。
フォントと同様、文字列の位置揃えもテーマに応じて自動的に決まります。 その位置揃えを変更するにも、リボンの「ホーム」をクリックします。 段落関係の各種ボタンで、文字列の位置揃えや行間などが変更できます。
スライドの各要素についても、大きさと位置はテーマに応じて自動的に決まります。 その大きさや位置を変更するには、まず、その要素をクリックします。 すると、四角印や丸印の付いた枠が表示されるので、四角印か丸印をドラッグすると大きさが変えられるし、枠をドラッグすると移動ができます。
ここでは、練習として、タイトルやサブタイトルのフォントや位置などを多少変えてみてください。
タイトルのスライドを作成したら、次に、本文のスライドを作成します。 本文のスライドは、一番上にタイトルを書き、その下は箇条書きというレイアウトが基本です。 PowerPointには、箇条書き以外にも、表や画像など、いろいろなレイアウトが用意されています。
スライドを挿入するには、リボンの「ホーム」をクリックし、「新しいスライド」の三角ボタンをクリックします。 色々なレイアウトが表示されるので、挿入するレイアウトのアイコンをクリックします。 スライドのレイアウトを変更するには、「レイアウト」をクリックし、レイアウトのアイコンをクリックします。 「タイトルとコンテンツ」スライドを選択すれば、箇条書き、表、画像などのスライドが作成できます。
表示するスライドを切り替えるには、左端のスライドのアイコンか番号をクリックします。 左側のスライド表示とアウトライン表示を切り替えるには、リボンの「表示」をクリックし、「標準」や「アウトライン表示」をクリックします。
スライドは、1枚1枚順番に作成してもよいのですが、それだとプレゼンテーションを全体的に把握することが難しいです。 全体的に把握するには、タイトルのみ入力したスライドを全部用意し、スライドを適切な順番に並び替えた後、箇条書きなどを入力すると、うまくいきます。
それでは、挿入したスライドに文字を入力します。 ほとんどのレイアウトでは、上側に「クリックしてタイトルを入力」と表示されます。 そこには、そのスライドのタイトルを入力します。 今回の場合は「迷惑メールの社会問題化」です。
続いて、「タイトルとコンテンツ」スライドを次々と挿入し、以下の順番で(3番目以降の)タイトルのみ次々と入力してください。
PowerPointでは、スライドの順番を入れ替えたり、スライドをコピーしたりできます。 この操作は、ウィンドウを標準表示にしていても可能ですが、スライド一覧表示にすると分かりやすくできます。
リボンの「表示」をクリックし、「スライド一覧」をクリックすると、スライドの一覧が表示されます。 ここで、スライドをドラッグ・アンド・ドロップすると、スライドの順番が入れ替わります。 また、カット、コピー、ペーストは、スライドに対して行われます。 標準表示に戻すには、リボンの「表示」をクリックし、「標準」をクリックします。
例えば、タイトルのスライドと次のスライドを入れ替えてみてください。 (もう一度入れ替えて、元に戻してください。) また、タイトルのスライドをコピーしてみてください。 (コピーしたスライドは、削除してください。)
「タイトルとコンテンツ」スライドの場合、「テキストを入力」と表示されるので、そこをクリックすると、箇条書きが入力できます。 returnキーで次の項目が入力できます。 強制改行は、shift+returnキーです。
スライドでは、箇条書きの中でさらに箇条書きを行うことがあります。 この箇条書きの中へ入る回数を、箇条書きのレベルと呼びます。 箇条書きのレベルを変えるには、リボンの「ホーム」をクリックし、インデント・ボタンをクリックします。
箇条書きの左に付く記号・番号を変えるには、リボンの「ホーム」をクリックし、箇条書きボタンか段落番号ボタンの三角ボタンをクリックします。 順番に意味がないときは記号、順番に意味があるときは番号にします。
今回は、箇条書きについては、コピー・アンド・ペーストしてください。 その際、箇条書きの記号は、サンプルと違っていても構いません。
スライドの基本は箇条書きですが、画像のスライドも利用できます。 あらかじめ、棒グラフのスクリーン・ショットを撮っておいてください。 (commandキーとshiftキーを押しながら4キーを押す。)
「タイトルとコンテンツ」スライドを挿入したら、画像のアイコンをクリックしてください。 すると、「図の選択」ウィンドウが開くので、ファイルを選択してから「挿入」をクリックしてください。
なお、画像を削除するには、deleteキーまたはカットで行います。
画像と同様、表のスライドも利用できます。
「タイトルとコンテンツ」スライドを挿入したら、表のアイコンをクリックしてください。 すると、「表の挿入」ウィンドウが開くので、列数と行数を入力してから「挿入」をクリックしてください。
罫線をドラッグすると、罫線が移動できます。 また、リボンの「テーブルデザイン」をクリックすると、罫線を引いたり、種類や太さを変えたりできます。
なお、表を削除するには、deleteキーまたはカットで行います。
表はサンプルにはないので、以下の例を最後に追加してください。
項目 | 数値 |
---|---|
項目1 | 数値1 |
項目2 | 数値2 |
項目3 | 数値3 |
項目4 | 数値4 |
アニメーション ( animation )とは、スライドの要素が動くことです。 アニメーションは、パソコンを使ってプレゼンテーションを行う場合に意味があります。
PowerPointでは、様々なアニメーションが設定できます。 ここでは、例として、箇条書きの項目が順次表示されるというアニメーションを設定します。
アニメーションを設定するには、まず、リボンの「アニメーション」をクリックします。 そして、アニメーションを設定する要素をクリックし、「アピール」をクリックします。
アニメーションを簡単に確認するには、リボンの「アニメーション」をクリックし、「プレビュー」ボタンをクリックします。 アニメーションを正確に確認するには、リボンの「スライドショー」をクリックし、「現在のスライドから再生」をクリックします。 スライドショーでは、必要に応じてマウスをクリックします。
なお、アニメーションを取り消すには、リボンの「アニメーション」をクリックし、「アニメーションウィンドウ」をクリックし、アニメーションの項目をクリックしてからバツ印ボタンをクリックします。
プレゼンテーションをOHPや書画カメラで行う場合、スライドが完成したら印刷をします。 印刷するには、メニューバーで「ファイル」→「プリント」とクリックします。 すると、「プリント」ウィンドウが開くので、「プリント」ボタンをクリックします。
プレゼンテーションを行う際に、聞く人にスライドの縮小版を手渡すのが親切です。 この場合は、「プリント」ウィンドウの「詳細を表示」ボタンをクリックして詳細表示にし、「レイアウト」を「配布資料」にします。
OHPや書画カメラでプレゼンテーションを行う場合は、スライドを一枚一枚投影します。
パソコンでプレゼンテーションを行う場合は、パソコンを液晶プロジェクタや大型ディスプレーに接続し、PowerPointファイルを開きます。 そして、リボンの「スライドショー」をクリックし、「最初から再生」をクリックすると、スライドが全画面表示になります。 後は、マウスをクリックすると、次のスライドが表示されます。 前のスライドに戻ったり、途中のスライドに移動したりする場合は、マウスを右クリックします。
以下は、プレゼンテーション資料を作成するときの注意点です。
スライドは、聞く人が即座に理解できるものでなければなりません。 だらだら書いたり、ぎっしり書いたのでは、聞く人はスライドに気を取られ、話を聞かなくなります。 また、1枚のスライドを説明するのに、普通は1分程度の時間がかかります。 何枚もスライドを用意すると、結局、時間オーバーになってしまいます。
プレゼンテーションを実行する際の注意点は次の通りです。
普通のプレゼンテーションは、何時何分から何時何分までと時間が決まっています。 時間オーバーは主催者のみならず、出席者の皆に迷惑をかけます。 また、スクリーンの方ばかり見ていると、聞いている人に背を向けて話すことになります。 聞いている人に話しかけるような態度をとってください。 だらだらした話は、「結局、何を言いたいの?」と思われてしまいます。 事前に十分に練習をするようにしてください。
PowerPointについて分からないことがあるときは、ヘルプを利用してください。 メニューバーで「ヘルプ」→「PowerPointヘルプ」とクリックします。
PowerPointプレゼンテーションには、Excelの表やグラフが挿入できます。 PowerPointプレゼンテーションに表を挿入するだけなら、PowerPointの機能だけで可能です。 Excelの表を挿入する利点は、Excelでデータを集計し、その結果をそのまま利用できることです。
Excelの表をPowerPointプレゼンテーションに挿入するには、次のようにします。
それでは、前回作成したExcelファイル「迷惑メール.xlsx」を開き、PowerPointプレゼンテーションの最後にExcelの表を追加してください。
挿入された表は、Excelの表をPowerPointの表に変換したものです。 したがって、表の移動などは、PowerPointの操作で行います。 (必要に応じて、表と文字を大きくしてください。)
なお、表の上にはキャプションを付けたほうがよいです。 リボンの「ホーム」をクリックし、「テキストボックス」→「横書きテキストボックス」とクリックし、テキストボックスを挿入したい範囲をドラッグし、「表1: 平日の迷惑メールの件数」や「表2: 休日の迷惑メールの件数」と入力してください。
ExcelのグラフをPowerPointプレゼンテーションに挿入するには、次のようにします。
それでは、PowerPointプレゼンテーションのグラフ(画像)を削除し、Excelのグラフを挿入してください。
挿入されたグラフは、PowerPointでは図のように扱われます。 したがって、グラフの移動などは、PowerPointの操作で行います。 (必要に応じて、グラフと文字を大きくしてください。)
なお、図の下にはキャプションを付けたほうがよいです。 テキストボックスで「図1: 平日の迷惑メールの件数」や「図2: 休日の迷惑メールの件数」と書いてください。