最後の授業で、タイピングの試験を行います。 心配な人は、今から練習しておいてください。
「リテラシI」の公式サイトに、タイピングソフトへのリンクがあります。 タイピングソフトを開いたら、「実力アップコース」の「短文」の「ローマ字」をクリックし、「元気が出る言葉」、「健康のことわざ」、「数のある言葉」のいずれかをクリックしてください。 スコア100未満でタイピングは0点、スコア300以上でタイピングは満点と評価する予定です。
表計算 ( spreadsheet )とは、表の形式でデータ入力やデータ処理を行うことです。 表計算の機能を持つソフトウェアを、表計算ソフトと呼びます。
表計算ソフトを利用すると、まず、データを表の形式でまとめられます。 データの位置を揃えたり、罫線を引いたりして、自由に表が作成できます。 そして、数式を入力すると、その数式が自動的に計算されます。 計算は、加減乗除だけではなく、広い範囲の集計も行えます。 さらに、集計データからグラフが作成できます。 グラフの種類を選択するだけで、棒グラフや折れ線グラフなどが描けます。
表計算ソフトには色々なものがありますが、現在はMicrosoft社の Excel が最も使われています。 なお、この授業ではMac用のExcelを利用しますが、使い方はWindows用のExcelとだいたい同じです。
Excelで表を作成するときの手順は、おおむね次の通りです。
Excelを起動するには、DockのFinderのアイコンをクリックし、サイドバーの「アプリケーション」をクリックし、「Microsoft Excel」をダブルクリックします。
Excelを起動すると、新規ブックのウィンドウが一つ開きます。 ウィンドウを増やすには、メニューバーで「ファイル」→「新規作成」とクリックします。 または、ツールバーの「ファイル」ボタンをクリックしてもよいです。
Excelを起動すると、ブック・ウィンドウの上側にツールバーとリボンが表示されます。 ツールバーとリボンでは、基本的な操作が行えます。 一般的な操作については、メニューバーを利用します。 したがって、基本操作については、ツールバーとリボンでもできますし、メニューバーでもできるわけです。 この授業では、主にツールバーとリボンを利用することにします。 なお、リボンが表示されていない場合は、メニューバーで「表示」→「リボン」とクリックしてください。
Excelを終了するには、メニューバーで「Excel」→「Excelを終了」とクリックします。
Excelのような複雑なアプリケーションは、時々、操作中に動かなくなることがあります。 こうなると、アプリケーションを強制終了させるしかないのですが、保存していないデータはたいていは消滅します。 表を作成するときは、最初にファイル名を決定し、作成中は小まめに保存するようにしてください。
今回は、「架空の買い物リスト.xlsx」というファイル名にして、デスクトップに保存することにします。
新規ブックのファイル名を決定するには、メニューバーで「ファイル」→「名前を付けて保存」とクリックします。 すると、ウィンドウが開くので、「名前」欄にファイル名(〜.xlsx)を入力し、その右の三角ボタンを数回クリックして詳細表示にし、保存先のフォルダを選択し、「保存」ボタンをクリックします。 その際、「保存」ウィンドウの「ファイル形式」メニューに注目してください。
Excelは、バージョン2007以降、ファイル形式を変更しました。 新しいExcelのファイルと古いExcelのファイルは、ファイルの拡張子で区別します。 新しいExcelは.xlsxで、古いExcelは.xlsです。 東京女子大学のMacのExcel(バージョン2016)で作成したファイルを、古いExcelで開く可能性がある場合は、ファイルを保存するときに、「ファイル形式」メニューを「Excelブック(.xlsx)」から「Excel 97-2004ブック(.xls)」に変更してください。
ファイル名を決定した後にブックを保存するには、メニューバーで「ファイル」→「保存」とクリックします。 または、ツールバーの「保存」ボタンをクリックしてもよいです。
Excelでは、データが入力できる一つ一つの長方形を セル ( cell )と呼びます。 セルが横に並んでいる部分を 行 ( row )と呼び、セルが縦に並んでいる部分を 列 ( column )と呼びます。 セルが縦横に並んでいる領域を シート ( sheet )と呼びます。 利用者は、シートの一部に表を作成します。 一枚のシートに複数の表を作ることも可能です。
Excelでは、一つのウィンドウに複数のシートがまとめられます。 このシートのまとまりを、 ブック ( book )と呼びます。 ウィンドウの下側のタブをクリックすると、シートが切り替えられます。 ファイルへの保存は、ブック単位で行われます。
ここでは、例として、次のような架空の買い物リストを作成します。
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A | B | C | D |
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1 | 品名 | 単価 | 数量 | 金額 |
2 | 切手 | ¥82 | 60 | ¥4,920 |
3 | 官製はがき | ¥62 | 60 | ¥3,720 |
4 | 封筒(10枚入り) | ¥150 | 6 | ¥900 |
5 | 合計 | ¥9,540 |
セルにデータを入力するには、そのセルをダブルクリックします。 そして、カーソルが現れたら、データを入力します。 入力は、returnキーで確定し、escキーで取り消されます。 すでにデータが入力されているセルをダブルクリックすると、そのデータが編集できます。
Excelの使用中に、操作ミスでデータが消滅してしまっても、慌てることはありません。 メニューバーで「編集」→「元に戻す」とクリックすると、たいていは元に戻ります。 元に戻しすぎたときは、「編集」→「やり直し」とクリックします。 ツールバーの「元に戻す」ボタンや「やり直し」ボタンをクリックしてもできます。
それでは、左上のセル(A1)に「品名」と入力し、「元に戻す」と「やり直し」を試してみてください。
なお、データを入力するときに、セルをダブルクリックする手間を省き、tabキーとreturnキーで能率よく入力する方法もあります。 また、セルの中で改行するには、optionキーとcontrolキーを押しながらreturnキーを押して離します。
上記の例のデータを入力すると、以下のようになります。
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A | B | C | D |
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1 | 品名 | 単価 | 数量 | 金額 |
2 | 切手 | 82 | 60 |
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3 | 官製はがき | 62 | 60 |
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4 | 封筒(10枚入り) | 150 | 6 |
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5 | 合計 |
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行や列をシートに挿入したり、行や列をシートから削除することもできます。 そのためには、まず、対象となる行や列を選択します。 行を選択するには、シートの左側の行番号をクリックします。 列を選択するには、シートの上側の列記号をクリックします。 行や列を挿入するには、行や列を選択してからリボンの「ホーム」をクリックし、「挿入」ボタンをクリックします。 行や列を削除するには、行や列を選択してからリボンの「ホーム」をクリックし、「削除」ボタンをクリックします。
例えば、行1を挿入→列Aを挿入→行1を削除→列Aを削除、とやってみてください。
カット、コピー、ペーストについては、だいたい今まで通りです。 コピー元を指定するには、セルをクリックするか、行番号や列記号をクリックするか、セルの範囲をドラッグします。 コピーされた範囲は点線で囲まれますが、これはescキーで消えます。 ペーストはペースト先をクリックしてから行いますが、もし、セルの範囲をドラッグしてからペーストすると、データが繰り返しペーストされます。 なお、カットは移動の意味になり、データはすぐには消えません。 データを消すには、リボンの「ホーム」をクリックし、「クリア」→「すべてクリア」とクリックします。
例えば、セルB2からC4までを別の場所にコピー・アンド・ペーストし、ペースト先をさらに別の場所にカット・アンド・ペーストし、最後にペースト先を消去してみてください。
シートの上側の列記号A, B, C, ... と、シートの左側の行番号1, 2, 3, ... に注目してください。 これは、セルの位置を示しています。 つまり、左上のセルはA1という位置、その右のセルはB1という位置です。 このA1やB1のことを、セルの 参照 ( reference )と呼びます。
数式 ( formula )とは、セルの参照や数値を、プラスやマイナスで結合したり、関数を適用したりして得られる表現のことです。 ここで、足し算はプラス(+)、引き算はマイナス(-)ですが、掛け算はアスタリスク(*), 割り算はスラッシュ(/)を使います。
Excelにはいろいろな関数が用意されています。 以下は、基本的な関数の適用例です。
セルに数式を入力すると、セルにはその計算結果が表示されます。 この計算結果は、そのセルを参照することによって、他のセルの数式の計算で利用できます。 表計算では、一つ一つのセルの数式を計算することによって、全体としてまとまったデータ処理を行うのです。
数式は、参照するデータが変更されると、自動的に再計算されます。 この機能は、表計算がテンプレートとして使えることを意味します。 つまり、数式が入力されたExcelファイルを用意しておけば、それにデータを入力するだけで表が完成するのです。
例えば、テストの度に成績表を作成する教員を考えます。 この教員は、あらかじめ合計点や平均点を計算する数式をシートに入力しておき、テストの回数分コピーしておきます。 テストが終わったら、生徒の得点をシートに入力するだけで、自動的に合計点や平均点が計算され、成績表が完成するというわけです。
実際にセルに数式を入力するには、データと区別するために、イコール(=)を入力してから数式を入力します。
入力した数式を確認するには、数式バーを使います。 メニューバーで「表示」→「数式バー」とクリックしてください。
上記の例では、試しに、セルD2に=82*60と入力してみます。 すると、セルD2に4920と表示され、セルD2をクリックすると、数式バーに=82*60と表示されます。
ただ、数値を入力してしまうと、セルB2やC2が変更されても再計算できません。 そこで、セルD2に=B2*C2と入力します。 セルD2には同じく4920と表示されますが、数式バーには=B2*C2と表示されます。
ここで、切手を100枚に変更したとして、セルC2を100に変更すると、セルD2は再計算されて8200になります。 確認できたら、セルC2を60に戻しておいてください。
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A | B | C | D |
---|---|---|---|---|
1 | 品名 | 単価 | 数量 | 金額 |
2 | 切手 | 82 | 60 | 4920(数式は=B2*C2) |
3 | 官製はがき | 62 | 60 |
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4 | 封筒(10枚入り) | 150 | 6 |
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5 | 合計 |
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数式のセルをコピー・アンド・ペーストすると、計算結果ではなく、数式がペーストされます。 しかも、数式中のセルの参照は、コピー元での位置関係を保存するように、自動的に変わります。 このメカニズムをうまく利用することが、表計算のポイントになります。
上記の例では、セルD2をセルD3とD4にコピー・アンド・ペーストします。 すると、セルD3の数式は=B3*C3となり、セルD4の数式は=B4*C4となります。 コピー元のセルD2の数式=B2*C2は、「二つ左と一つ左の積」という意味としてペーストされたのです。
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A | B | C | D |
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1 | 品名 | 単価 | 数量 | 金額 |
2 | 切手 | 82 | 60 | 4920(数式は=B2*C2) |
3 | 官製はがき | 62 | 60 | 3720(数式は=B3*C3) |
4 | 封筒(10枚入り) | 150 | 6 | 900(数式は=B4*C4) |
5 | 合計 |
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最後に合計を計算します。 セルD5に=D2+D3+D4と入力してもできますが、ここでは関数を利用して、=SUM(D2:D4)と入力します。
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A | B | C | D |
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1 | 品名 | 単価 | 数量 | 金額 |
2 | 切手 | 82 | 60 | 4920(数式は=B2*C2) |
3 | 官製はがき | 62 | 60 | 3720(数式は=B3*C3) |
4 | 封筒(10枚入り) | 150 | 6 | 900(数式は=B4*C4) |
5 | 合計 |
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9540(数式は=SUM(D2:D4)) |
データと数式の入力が終わったら、表の体裁を整えます。
データのフォントを変更するには、まず、セルをクリックするか、セルの範囲をドラッグします。 そして、リボンの「ホーム」をクリックし、フォントの名前の三角ボタンをクリックし、フォントを選択します。
フォントの名前の三角ボタンの代わりに、サイズの三角ボタンをクリックすると、文字の大きさが変えられます。 また、「B」をクリックすると太字になり、「I」をクリックすると斜体になります。 「U」をクリックすると下線が引かれます。
上記の例では、表の見出しと「合計」を太字にします。
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A | B | C | D |
---|---|---|---|---|
1 | 品名 | 単価 | 数量 | 金額 |
2 | 切手 | 82 | 60 | 4920 |
3 | 官製はがき | 62 | 60 | 3720 |
4 | 封筒(10枚入り) | 150 | 6 | 900 |
5 | 合計 |
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9540 |
データ80を表示するとき、80円の場合と80個の場合とでは、適切な表示の仕方は異なります。 データの表示の仕方を、表示形式と呼びます。
データの表示形式を変更するには、まず、セルをクリックするか、セルの範囲をドラッグします。 そして、リボンの「ホーム」をクリックし、表示形式の名前の三角ボタンをクリックし、表示形式を選択します。
上記の例では、円が付くデータの表示形式を「通貨」に変更します。
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A | B | C | D |
---|---|---|---|---|
1 | 品名 | 単価 | 数量 | 金額 |
2 | 切手 | ¥82 | 60 | ¥4,920 |
3 | 官製はがき | ¥62 | 60 | ¥3,720 |
4 | 封筒(10枚入り) | ¥150 | 6 | ¥900 |
5 | 合計 |
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¥9,540 |
セルの大きさを変更するには、シートの上側の列記号やシートの左側の行番号の境界線をドラッグします。
データをセルの中央に揃えるには、まず、セルをクリックするか、セルの範囲をドラッグします。 そして、リボンの「ホーム」をクリックし、中央揃えボタンをクリックします。
セルの範囲は、一つの(大きな)セルにまとめることができます。 これを、セルの結合と言います。
セルを結合するには、まず、セルの範囲をドラッグします。 そして、リボンの「ホーム」をクリックし、「セルを結合して中央揃え」をクリックします。
上記の例では、表の見出しを中央揃えにし、「合計」のセルを結合します。
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A | B | C | D |
---|---|---|---|---|
1 | 品名 | 単価 | 数量 | 金額 |
2 | 切手 | ¥82 | 60 | ¥4,920 |
3 | 官製はがき | ¥62 | 60 | ¥3,720 |
4 | 封筒(10枚入り) | ¥150 | 6 | ¥900 |
5 | 合計 | ¥9,540 |
画面上は、シートに薄く罫線が引かれていますが、この罫線は印刷されません。 表に罫線を引くには、まず、セルをクリックするか、セルの範囲をドラッグします。 そして、リボンの「ホーム」をクリックし、罫線ボタンをクリックし、罫線の種類を選択します。
シートが完成したら、必要に応じて、紙に印刷します。 メニューバーで「ファイル」→「プリント」とクリックします。 すると、「プリント」ウィンドウが開くので、「プリント」ボタンをクリックします。
Excelについて分からないことがあるときは、ヘルプを利用してください。 メニューバーで「ヘルプ」→「Excelヘルプ」とクリックします。
Excelの代表的な機能の一つに、グラフの作成があげられます。 グラフの種類を選択するだけで、データからグラフが作成されます。 Excelには、棒グラフや折れ線グラフなど、様々なグラフが用意されています。 また、グラフの軸や目盛りなどについて、詳細な設定が可能です。
ここでは例として、前回コピー・アンド・ペーストした迷惑メールの棒グラフを、Excelで作成します。
平日 | 迷惑メール |
---|---|
平日(1) | 27 |
平日(2) | 23 |
平日(3) | 21 |
平日(4) | 31 |
休日 | 迷惑メール |
---|---|
休日(1) | 29 |
休日(2) | 21 |
休日(3) | 24 |
休日(4) | 18 |
それでは、Excelのウィンドウを増やし、「迷惑メール.xlsx」というファイル名でデスクトップに保存し、データを入力してください。 2種類のデータは、縦に並べても、横に並べてもよいです。 後で表をコピー・アンド・ペーストするので、表に罫線を付けてください。
グラフを作成するには、まず、データの範囲をドラッグします。 そして、リボンの「挿入」をクリックします。 すると、グラフの種類のアイコンが表示されるので、その中から「縦棒」→「集合縦棒」とクリックします。 すると、棒グラフが表示されます。
グラフの大きさを変えるには、グラフの余白をクリックして、グラフの枠に四角印が付いてから、四角印をドラッグします。 グラフを移動するには、グラフの枠をドラッグします。
グラフの要素についても、大きさを変えたり移動したりできます。 グラフの要素をクリックして、要素の枠に四角印や丸印がついてから、四角印か丸印をドラッグすると大きさが変えられます。 要素をドラッグすると移動できます。 グラフの要素を削除するには、クリックしてdeleteキーか、右クリックしてカットです。
ここでは、グラフタイトルをクリックし、移動してみてから、削除してください。
グラフに凡例を追加するには、リボンの「グラフのデザイン」をクリックし、「グラフ要素を追加」→「凡例」→「右」とクリックします。
なお、グラフを削除するには、deleteキーまたはカットで行います。
Word文書には、Excelの表やグラフが挿入できます。 Word文書に表を挿入するだけなら、Wordの機能だけで可能です。 Excelの表を挿入する利点は、Excelでデータを集計し、その結果をそのまま利用できることです。
Excelの表をWord文書に挿入するには、次のようにします。
それでは、前回作成したWordファイル「迷惑メール.docx」を開き、Word文書の最後にExcelの表を追加してください。
挿入された表は、Excelの表をWordの表に変換したものです。 したがって、表の移動などは、Wordの操作で行います。
なお、表の上にはキャプションを付けたほうがよいです。 表の上に「表1: 平日の迷惑メールの件数」や「表2: 休日の迷惑メールの件数」と書いてください。
ExcelのグラフをWord文書に挿入するには、次のようにします。
それでは、Word文書のグラフ(画像)を削除し、Excelのグラフを挿入してください。
挿入されたグラフは、Wordでは図のように扱われます。 したがって、グラフの移動などは、Wordの操作で行います。
なお、図の下にはキャプションを付けたほうがよいです。 図の下に「図1: 平日の迷惑メールの件数」や「図2: 休日の迷惑メールの件数」と書いてください。