脳は 個以上の神経単位(ニューロン neuron)から成り立っている。
このニューロンが脳の情報処理における基本単位である。
複数のニューロンが結合してニューラルネットワークが形成されている。
個々のニューロンは、単純な処理しか行なわないが、脳はこのニューロンが相互 に結合された並列処理システムであると捕えることができる。
神経回路網を構成しているのはこのニューロンで、
ニューロンの内部と外部とでは ,
イオンなどの働きにより電位差がある。
通常、内部電位は外部よりも低い。外部を 0 としたときの内部の電位を
膜電位 という。入力信号が無いときの膜電位を静止膜電位 とって
約 -70 mV ぐらいである。
情報は樹状突起から電気信号の形でニューロンに伝達され、すべての樹状突起か らの電気信号が加え合わされる。樹状突起からやってくる外部電気信号の影響で 膜電位が -55mV を越えると約 1 msec の間膜電位が急激に高くなる。 このことをニューロンが興奮した(あるいは発火した)という。
ニューロンは膜電位が -55mV より高くなればの興奮し、そうでなければ興奮 しない。この意味で -55mV 付近を閾値という。
一旦興奮したニューロンはしばらくは興奮することができない(不応期)。
Hodgkin, Huxley 方程式 (Hodgkin and Huxley, 1952) は以上のようなニューロンの振る舞いを記述する方程式。
ニューロンの興奮(1 msec だけなのでパルス puls と呼ぶことがある)は軸索を とおって他のニューロンに伝達される。 軸索を通る興奮の伝達速度は 100 m/s くらいである。
ニューロンからニューロンへ情報が伝達される部分をシナプス synapse と呼ぶ。 興奮がシナプスに到達するたびにある種の化学物質を放出する。 この化学物質は受けて側の膜電位をわずかに変化させる。
化学物質の種類によって、膜電位を高めるように作用する場合(興奮性の シナプス 結合)と逆に低めるように作用する場合(抑制性のシナプス結合) とがある。
送り手のシナプスの興奮が興奮的に働くか抑制的に働くかは、送り手の側の細胞 の種類によって異なることが知られている(Dale の法則)。
シナプスに興奮が到達すると 0.3 msec 程度の時間遅れの後シナプス結合部の膜 電位がわずかに変化する。1つのシナプスが生成する膜電位の変化は 0.1 mV か ら 30 mV ぐらいのものまで様々なシナプス結合が存在する。
一つのニューロンには多いもので数万個のシナプス結合が存在する。多数の軸索 にシナプス結合を通して興奮(あるいは抑制)が伝えられると細胞体を伝わる途中 で重なり合う。すべての膜電位の変化の総和によってニューロンの膜電位の変化 が決定される。すべてのシナプス結合の和のことを空間加算という。ある シナプスによって膜電位が変化し、その変化が減衰する前に次の興奮が伝達され れば、まだ残っている直前の電位変化に加え合わされて膜電位の変化が起きる。 このことを時間加算という。
樹状突起を介したニューロン間の結合の強さは、 しばしば変化することが知られている(学習)。
心理学との関連で言えば、