シラバス情報

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シラバス情報

  1. 科目概要:数理生物学の基本的考え方や方法について理解することを目標とする。数理生物学は、数理モデルの構築、解析、計算機シミュレーションなどによって生命現象を研究する分野である。講義内容は、動植物の行動、分布、個体数変動、種間関係、生物群集・生態系の挙動、進化過程などのマクロ生物学の分野、および生物個体内部で起きる生化学的反応の分子機構、個体発生の機構、神経ネットワークの機能などのミクロ生物学の分野から取り上げる。
  2. 題目:生物学の諸現象の数理モデルをコンピュータシミュレーションを通して理解を深める
  3. 内容:生物学,生態学,生理学,生命科学,生理学,疫学,ニューラルネットワーク,遺伝学,行動学,における数理モデルをコンピュータシミュレーションをとおして考える。授業ではプログラムを配布するので,そのプログラムを実際に動かして遊んでみる。プログラムの実行を楽しむことが重要である。そこから現象に対する認識が生まれる。楽しんで実行しているうちに,シミュレーション結果から何がわかるのかが見えてくる。結果を見ながら参加者全員で議論し理解を深めたい。
  4. 到達目標:数理生物学の代表的なモデルを理解することを目標とする。これらの分野で用いられるさまざまな概念を理解するためにコンピュータを利用する。授業ではシミュレーションプログラムを実際に走らせてみて,その現象を理解することをめざすこととしたい。プログラムを配布するので,そのプログラムを走らせて取り上げたモデルに親しんでもらいたい。履修にあたってはプログラミングの知識は一切必要ない。コンピュータにアレルギーがなければそれで十分である。簡単な数式からは想像もできないような複雑な出力に驚き,楽しんでもらえれば授業の目標は達成したことになる。
  5. スケジュール:
    1. 自己複製オートマトオンと人工生命
    2. 個体成長とカオス
    3. ロトカ=ヴォルテラ方程式
    4. 進化ゲーム
    5. 淘汰方程式
    6. 性戦略
    7. 共存の原理
    8. 形態形成のモデル
    9. 疫学データの数理
    10. 遺伝的アルゴリズム
    11. パーセプトロン
    12. 自己組織化アルゴリズム
    13. 相互結合型のニューラルネットワーク
    14. 単純再帰型ニューラルネットワーク
    15. まとめ
  6. 教室外の学習方法:配布されたプログラムで遊んでみることが重要である。自習時間に是非プログラムを走らせて欲しい。その結果を眺めて楽しむ時間を多く作って欲しい。
  7. テキスト:特に指定しない。必要な文献はその都度指示する。
  8. 参考書:
    • ウィリアム・パウンドストーン/有澤誠訳. (1990). ライフゲイムの宇宙. 日本評論社.
    • カール・シグムンド/冨田勝監訳. (1996). 数学でみた生命と進化. 講談社ブルーバックス.
    • ドーキンス著 中島,遠藤,遠藤,疋田訳. (2004). 盲目の時計職人. 早川書房.
    • ノーバック著,竹内,佐藤,巌佐,中岡訳. (2008). 進化のダイナミクス. 共立出版.
    • バージェス, & ボリー著,垣田,大町訳. (1990). 微分方程式で数学モデルを作ろう. 日本評論社.
    • ホッフバウアー, & ジグムント/竹内康宏,佐藤一憲,宮崎倫子訳. (1998). 進化ゲームと微分方程式. 現代数学社.
    • 伊庭斉志. (1994). 遺伝的アルゴリズムの基礎. オーム社.
    • 伊庭斉志. (2002). 遺伝的アルゴリズムと進化のメカニズム. 岩波書店.
    • 甘利俊一, 重定南奈子, 石井一成, 太皷地武, & 弓場美裕. (1993). 岩波講座応用数学 生命・生物化学の数理. 岩波書店.
    • 巌佐庸. (1990). 数理生物学入門. 共立出版.
    • 巌佐庸. (2008). 生命の数理. 共立出版.
    • 佐藤總夫. (1984). 自然の数理と社会の数理I,II. 日本評論社.
    • 生天目章. (2004). ゲーム理論と進化ダイナミクス. 森北出版.
    • 梅原嘉介, & 小川敬治. (2007). 進化ゲームと遺伝的アルゴリズム. 工学社.
    • 伊庭斉志. (1999). 進化論的計算の方法. 東京大学出版会.
    • 石原秀樹, & 金井雅之. (2002). 進化的意思決定. 朝倉書店.
    • 三宮信夫, 喜多一, 玉置久, & 岩本貴司. (1998).遺伝アルゴリズムと最適化. 朝倉書店.
  9. 成績評価方法:配布されたプログラムを実行した結果をまとめてレポートにする。レポートでは,複雑な現象をどのようにモデル化したのか,モデルの振る舞いから何が読み取れるのかについて考察すること。プログラムの実行結果を読むことができているのかを評価する。
  10. 成績評価基準:シミュレートしている現象を正しく理解できているかどうかが評価基準となる。シミュレーションの結果得られたデータからどのようなことが言えるのかを考える力がついていればよい。モデルの特徴を正しくとらえ,モデルとシミュレーション結果との関係を正しく読むことができれば基準を満たしていると言える。
  11. 備考:プログラムは原則として教員が作成したものを用いる。情報処理教室のコンピュータで実習するのでMacintoshで動作するものであるが,自宅のWindowsPCでも動作させることができる。興味があればソースコードを配布して便宜を図りたい。