Cygwinは,WindowsパソコンにUNIX環境を構築するための無料のソフトウェアパッケージです.Cygwinをインストールすると,UNIXでよく使うコマンドやソフトウェアをWindowsでも利用できるようになります.gccなどのコンパイラも含まれているので,プログラミング言語Cの授業と同じことが家のWindowsパソコンでもできます.
家のパソコンでCの勉強をしたいという学生さんが何人かいるので,Cygwinを初めとするいくつかの方法を書きます.
家のパソコンから大学のネットワークにログインして,家にいながらにして大学のコンピュータを使う方法です.ADSLやケーブルテレビなどの常時接続環境を持っている人に適しています.(ネットワークにつなぐたびに電話をかける接続環境の人は長時間使うと電話代がかさむし,他の人が電話をつかえないという文句が出ると思います.)
この方法の詳細は,「利用の手引き」の2002年度版ならば,「17章外部ネットワークとの接続」に書いてあります.アナログ電話でネットワーク接続している人は17.2.1章から読んでください.ADSLなどでインターネットに常時接続されている人は,17.2.2章から読めばよいです.これらの設定をした後,大学のネットワークにログインしたいときは,17.3.3.1章「Windowsでのsshの利用」に従えば,大学の情報教室で端末エミュレータを立ち上げたのと同じ環境になります.
端末エミュレータ上ではXEmacsと端末エミュレータのshellを同時に使うことが出来ません.XEmacsのメニューも使えませんので,利用の手引きを参考にして,キー操作でコマンドを入力する必要があります.
というわけで,初心者向けの作業ではないですが,作ったファイルは大学でも使えますし,大学でやり残した作業の続きを家で継続することも出来ます.
自宅のパソコンに,Borland社が無償配布しているコンパイラーをインストールして,自宅のパソコンで勉強する方法です.大学で使っているコンパイラとは違うものですが,授業で扱っている範囲なら違いはわからないはずです.
まず,「Borland C++ Compiler 5.5」の無償ダウンロードサービスを利用して,自宅のパソコンにコンパイラーをダウンロードします.9MB近い容量があるので,アナログ電話(モデム)でネットワークにつないでいる人は,ダウンロードに最低でも20分(回線状態が悪ければ1時間以上)程度かかります.ADSLなどの速い回線でつながっている人にダウンロードしてもらって,CD-Rに焼いてもらうのがよいと思います.パソコンの設定方法なども,ダウンロードしたパッケージの中に書いてあるはずです.
本や雑誌の付録CDにこのコンパイラーが収録されていることもあります.
Cygwinという名前のUnix環境を自宅のパソコンにインストールして,自宅のパソコンで勉強する方法です.大学で使っているコンパイラ(gcc)と同じ物を使えるというメリットがあります.Unixコマンドも使えるので,Unixの勉強にもなります.
「Cygwin環境の構築」に詳しい説明がありますが,Setup.exeで起動するインストーラでパッケージの一覧が表示されたときに,「Devel」というカテゴリーの中の「gcc」が選択されていることを確認してください.Cygwinも巨大なパッケージなので,アナログ電話(モデム)でネットワークにつないでいる人はダウンロードするのが大変だと思います.
大きな本屋さんに行けば,「Cygwinを使おう―Windows上で実現されるUNIX環境」(2000円)とか,「Cygwin―Windowsで使えるUNIX環境」(2800円)とかいう本も売っています.2冊ともCDが付録としてついてくるので,ダウンロードしなくても,このCDからインストールできます.
付録CDにCygwinが収録されている本を買ってきて,本に従ってインストール・設定するのが,初心者には簡単だと思うので,「Cygwinを使おう―Windows上で実現されるUNIX環境」(2000円)の付属CDを使ってCygwinをWindowsパソコンにインストールする方法をまとめます.
以下,本の2章を参考にしながら,インストールと設定の方法を書きます.CDからインストールする方法は,本の付録250ページから詳しく書いてあります.
(今回は日本語化する必要はないので,3章は無視します.)Cygwinのインストールに成功すると,デスクトップアイコンやメニューにCygwinが追加されているはずです.それを選択すると,Cygwinのコンソール(端末エミュレータ,ターミナル)が起動します.このコンソールの中では,UNIXのコマンドが使えます.
4章に,このコンソールの使い方が書いてあります.この辺は大学の端末エミュレータやシェルとほとんど同じ感覚で使えます.
Cのコンパイルをしたければ,gccコマンドが使えます.メモ帳などのWindows用のテキストエディタでソースファイルを作り,そのソースファイルをgccでコンパイルすれば実行ファイルの出来上がりです.