Wordの使い方を説明する前に、まず、レポートや論文の構成要素について考えます。 表紙、目次、見出し、段落、図、表、参考文献などが思いつきます。 これらの中で、基本となるのが見出しと段落です。
見出し とは、「第1章 はじめに」や「1.1 問題設定」のような部分です。
見出しには階層(レベル)があります。 最も大きな単位の見出しは「章」です。 次に大きな単位の見出しは「節」です。 その次に大きな単位の見出しは「小節」ですが、Wordでは「項」となっています。 Wordにおける見出しの階層は以下の表のとおりです。
レベル | 見出し | 階層 |
---|---|---|
レベル 1 | 見出し 1 | 章 |
レベル 2 | 見出し 2 | 節 |
レベル 3 | 見出し 3 | 項 |
段落 は、字下げ(インデント)のことではありません。 字下げから始まり改行で終わる、文の並びが段落です。
なお、「長文を読みやすくするために段落に区切る」という考え方は正しくありません。 「ひとつの段落で、ひとつのことを言う」と考えて、段落に区切るべきです。
Wordでは、一文字ずつフォントを変更したり、一行ずつ行間を変えたりできます。 それとは別に、「すべての見出しをMS ゴシックにする」や、「すべての段落の行間を1.5行にする」といった規則を設定することもできます。 このようなことを行うには、Wordの スタイル を利用します。
Wordを起動して、リボンの「ホーム」をクリックすると、右側に「標準」、「見出し 1」、「見出し 2」などの、スタイルのアイコンが並びます。 「段落」というスタイルはありませんが、普通は「標準」で代用します。
それぞれのスタイルには、あらかじめフォントや行間などの規則が設定されています。 文字列をドラッグして、スタイルのアイコンをクリックすると、その文字列にそのスタイルが適用されます。
スタイルの設定は、スタイルのアイコンを右クリックして「変更」をクリックすると、変更できます。 スタイルの設定の変更は、そのスタイルを利用するときに行えばいいですが、「標準」スタイルは最初にやったほうがいいです。 なぜなら、「標準」スタイルは他のスタイルの元になるからです。
レポートや論文で、「本文はMS 明朝」、「見出しはMS ゴシック」などと指定されることがあります。 Office 2013までは、本文=段落=標準がデフォルト(初期設定)ではMS 明朝なので、何もしなくてよかったのですが、Office 2016からは、本文=段落=標準がデフォルトでは游明朝なので、スタイルの設定を変更する必要があります。
構成要素 | Office 2013 | Office 2016 |
---|---|---|
見出し(英数字) | Arial | 游ゴシック Light |
本文(英数字) | Century | 游明朝 |
見出し(日本語) | MS ゴシック | 游ゴシック Light |
本文(日本語) | MS 明朝 | 游明朝 |
リボンの「ホーム」をクリックし、「標準」を右クリックし、「変更」をクリックすると、「スタイルの変更」ウィンドウが開きます。
「書式」ボタンをクリックし、「フォント」をクリックすると、「フォント」ウィンドウが開きます。
「日本語用のフォント」を「MS 明朝」、「英数字用のフォント」を「Century」に変更します。 「OK」ボタンで「フォント」ウィンドウと「スタイルの変更」ウィンドウを閉じます。 これで、本文=段落=標準のフォントがMS 明朝になります。
なお、見出しのフォントをMS ゴシックにするのは、見出しを入力してからにします。
Wordには、見出しを管理する機能があります。 それを使うと、
ことができます。
短いレポートを書いているうちは、見出しの字の大きさを規則的に変えることや、見出しを追加、削除した後で番号を振り直すことは、手作業でもできます。 しかし、卒業論文レベル(例えば100ページ)になると、修正箇所は膨大な量になり、見出しの字の大きさがバラバラになったり、見出し番号が重複するなど、失敗する可能性が高まります。 そうならないためにも、Wordの見出し管理機能を利用しましょう。
見出しの例は以下のとおりです。
それでは、紙と鉛筆を使って見出しを考え、見出しが完成したとします。 ここでパソコンに向かい、Wordを起動し、新規文書のウィンドウを開き、見出しを一行ずつ入力します。 この段階では、「第1章」のような番号は入れませんし、字を大きくしたりもしません。 目次を作っているようにも見えますが、目次ではなく、見出しの一覧です。
見出しを入力したら、次に、見出しに「章」、「節」、「項」の階層を設定します。 これは、リボンの「見出し 1」、「見出し 2」、「見出し 3」をクリックしてもできますが、Wordのアウトラインを利用すると効率的です。
アウトライン とは、階層をインデント(字下げ)で表した表示形式です。 リボンの「表示」をクリックし、「アウトライン」ボタンをクリックしてください。
アウトライン・モードですべての見出しを選択し、「見出し 1 に変更」ボタンをクリックします。 すると、すべての見出しがレベル 1(章見出し)になります。
レベルを上げたり下げたりするには、リボンの矢印ボタンを利用します。 矢印ボタンは左から順に「見出し 1 に変更」、「レベル上げ」、「レベル下げ」、「標準文字列」です。 矢印ボタンを利用して、見出しをレベル 2(節見出し)やレベル 3(項見出し)にしてください。 キーボードなら、tabキーでレベル下げ、shift+tabキーでレベル上げができます。
リボンの上三角ボタンや下三角ボタンで見出しを移動したり、プラス・ボタンやマイナス・ボタンで見出しの展開や折りたたみができます。 展開や折りたたみは、見出しの左のアイコンのダブルクリックでもできます。
本当に見出しの階層が設定されたかを確認するために、「アウトライン表示を閉じる」ボタンをクリックして、印刷レイアウトに切り替えてください。 見出しをクリックすると、リボンの「見出し 1」、「見出し 2」、「見出し 3」が設定済みであることが分かります。 なお、印刷レイアウトで見出しの先頭に点が表示されますが、これらの点は目印であり、印刷はされません。
続いて、見出しのスタイルを変更します。 ここでは、次のように設定します。
レベル | 見出し | 日本語フォント | 英数字フォント | サイズ | インデント(左) | 間隔(前後) |
---|---|---|---|---|---|---|
レベル 1 | 見出し 1 | MS ゴシック | Arial | 16ポイント | 0字 | 0行 |
レベル 2 | 見出し 2 | MS ゴシック | Arial | 14ポイント | 0字 | 0行 |
レベル 3 | 見出し 3 | MS ゴシック | Arial | 12ポイント | 0字 | 0行 |
カーソルをレベル1の見出しに移動し、リボンの「ホーム」をクリックし、「見出し 1」アイコンを右クリックし、「変更」をクリックすると、「スタイルの変更」ウィンドウが開きます。
日本語用のフォントと英数字用のフォントを設定するには、左下の「書式」をクリックし、「フォント」をクリックして、「フォント」ウィンドウを開きます。
日本語用のフォントを「MS ゴシック」、英数字用のフォントを「Arial」、サイズを「16」に変更します。
インデントや間隔を設定するには、左下の「書式」をクリックし、「段落」をクリックして、「段落」ウィンドウを開きます。
「段落」ウィンドウで、見出しのインデントや間隔が設定できます。
「見出し 2」や「見出し 3」でも、同じようにスタイルを設定してください。
最後に、見出しに番号を振ります。 ここでは、次のように番号を設定します。
レベル | 見出し | 番号 |
---|---|---|
レベル 1 | 見出し 1 | 第1章 |
レベル 2 | 見出し 2 | 1.1 |
レベル 3 | 見出し 3 | 1.1.1 |
カーソルを1行目に移動し、リボンの「ホーム」をクリックし、「アウトライン」ボタンをクリックし、「リスト ライブラリ」の中の「第1章、第1節、第1項」をクリックします。
すると、レベル1の見出しに章番号、レベル2の見出しに節番号、レベル3の見出しに項番号が、自動的に振られます。
これでもよいのですが、節番号は「1.1」形式、項番号は「1.1.1」形式にしたいです。 また、番号のインデントはなくしたいです。
カーソルをレベル1の見出しに移動し、リボンの「ホーム」をクリックし、「アウトライン」ボタンをクリックし、「新しいアウトラインの定義」をクリックします。 すると、「新しいアウトラインの定義」ウィンドウが開きます。
「左インデントからの距離」と「インデント位置」を0mmにします。
カーソルをレベル2の見出しに移動し、「アウトライン」ボタンをクリックし、「新しいアウトラインの定義」をクリックして、「新しいアウトラインの定義」ウィンドウを開きます。 「番号書式」の「第1節」の先頭にカーソルを移動し、「次のレベルの番号を含める」メニューの「レベル1」を選択すると、「1第1節」となります。 (数字の背景が灰色なのは、変化するという意味です。) 半角ドットを追加し、「第」と「節」を削除します。 「左インデントからの距離」と「インデント位置」を0mmにします。 すると、レベル2の見出しの番号が「1.1」形式になり、番号のインデントがなくなります。
もし、アウトラインの設定がうまく適用されなければ、番号上で右クリックし、「自動的に番号を振る」をクリックしてください。 すると、設定が適用されます。
カーソルをレベル3の見出しに移動し、「アウトライン」ボタンをクリックし、「新しいアウトラインの定義」をクリックして、「新しいアウトラインの定義」ウィンドウを開きます。 「番号書式」の「第1項」の先頭にカーソルを移動し、「次のレベルの番号を含める」メニューの「レベル1」を選択し、続けて「レベル2」を選択すると、「11第1項」となります。 半角ドットを追加し、「第」と「項」を削除します。 「左インデントからの距離」と「インデント位置」を0mmにします。 すると、レベル3の見出しの番号が「1.1.1」形式になり、番号のインデントがなくなります。
もし、アウトラインの設定がうまく適用されなければ、番号上で右クリックし、「自動的に番号を振る」をクリックしてください。 すると、設定が適用されます。
これで、見出しが完成しました。
見出しに変化があれば、見出しの番号が自動的に変更されます。 例えば、「先行研究」をレベル1に変更してみましょう。 「先行研究」をドラッグし、リボンの「ホーム」をクリックし、「見出し1」をクリックします。 すると、「先行研究」が章見出しになり、それ以降の番号が自動的に変わります。
[見出し番号自動化]日本三大祭りや新御三家など、三大何々や何々御三家とよばれるテーマを1つ探してください。 そして、例にならって、見出しだけのWord文書を作成してください。 見出しのスタイルは、授業でやったように操作して、同じレベルは同じスタイルになるようにしてください。 見出しの番号も、授業でやったように操作して、自動的に振ってください。
レベル | 見出し | 日本語フォント | 英数字フォント | サイズ | インデント(左) | 間隔(前後) |
---|---|---|---|---|---|---|
レベル 1 | 見出し 1 | MS ゴシック | Arial | 14ポイント | 0字 | 0.5行 |
レベル 2 | 見出し 2 | MS ゴシック | Arial | 12ポイント | 0字 | 0.5行 |
レベル 3 | 見出し 3 | MS ゴシック | Arial | 11ポイント | 0字 | 0.5行 |
レベル | 見出し | 番号 |
---|---|---|
レベル 1 | 見出し 1 | 1 |
レベル 2 | 見出し 2 | 1-1 |
レベル 3 | 見出し 3 | 1-1-1 |
今日の演習7の答案(Wordファイル)をメールで提出してください。 差出人は学内のメール・アドレス(学生番号@cis.twcu.ac.jp)とし、宛先はkonishi@cis.twcu.ac.jpとします。 メールの本文には、学生番号、氏名、科目名、授業日(11月6日)を明記してください。