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情報処理技法(リテラシ)I 第10回

目次
索引

表計算(1)

表計算とは

表計算 spreadsheet ) とは、表の形式でデータ入力やデータ処理を行うことです。 表計算の機能を持つソフトウェアを、表計算ソフトと呼びます。

表計算ソフトを利用すると、まず、データを表の形式でまとめられます。 データの位置を揃えたり、罫線を引いたりして、自由に表が作成できます。 そして、数式を入力すると、その数式が自動的に計算されます。 計算は、加減乗除だけではなく、広い範囲の集計も行えます。 さらに、集計データからグラフが作成できます。 グラフの種類を選択するだけで、棒グラフや折れ線グラフなどが描けます。

表計算ソフトには色々なものがありますが、現在はMicrosoft社の Excel が最も使われています。 なお、この授業ではMac用のExcelを利用しますが、使い方はWindows用のExcelとだいたい同じです。

なお、Excelは、バージョン2007以降、ファイル形式を変更しました。 新しいExcelのファイルと古いExcelのファイルは、ファイルの拡張子で区別します。 新しいExcelは.xlsxで、古いExcelは.xlsです。 東京女子大学のMacのExcel(バージョン2011)で作成したファイルを、古いExcelで開く可能性がある場合は、ファイルを保存するときに、「フォーマット」メニューを「Excelブック(.xlsx)」から「Excel 97-2004ブック(.xls)」に変更してください。

表の作成手順

Excelで表を作成するときの手順は、おおむね次の通りです。

  1. 新規にウィンドウを開く。
  2. ファイル名を決定する。
  3. データを入力する。
  4. 数式を入力する。
  5. 表の体裁を整える。
  6. Word文書に貼り付けたり、紙に印刷したりする。

Excelの起動

Excelを起動するには、DockのFinderアイコンをクリックし、サイドバーの「アプリケーション」をクリックし、「Microsoft Office 2011」→「Microsoft Excel」とダブルクリックします。

Excelを起動すると、新規ブックのウィンドウが一つ開きます。 ウィンドウを増やすには、メニューバーで「ファイル」→「新規作成」とクリックします。 または、ツールバーの「新規作成」ボタンをクリックしてもよいです。

Excelを起動すると、ブック・ウィンドウの上側にツールバーとリボンが表示されます。 ツールバーとリボンでは、基本的な操作が行えます。 一般的な操作については、メニューバーを利用します。 したがって、基本操作については、メニューバーでもツールバーとリボンでもできるわけです。 この授業では、主にツールバーとリボンを利用することにしす。 なお、リボンが表示されていない場合は、メニューバーで「表示」→「リボン」とクリックしてください。

Excelの使用中に、操作ミスでデータが消滅してしまっても、慌てることはありません。 メニューバーで「編集」→「元に戻す」をクリックすると、たいていは元に戻ります。 または、ツールバーの「元に戻す」ボタンをクリックしてもよいです。

Excelを終了するには、メニューバーで「Excel」→「Excelを終了」とクリックします。

ファイル名の決定

Excelのような複雑なアプリケーションは、時々、操作中に動かなくなることがあります。 こうなると、アプリケーションを強制終了させるしかないのですが、保存していないデータはたいていは消滅します。 表を作成するときは、最初にファイル名を決定し、作成中は小まめに保存するようにしてください。

新規ブックのファイル名を決定するには、メニューバーで「ファイル」→「名前を付けて保存」とクリックします。 すると、ウィンドウが開くので、「名前」欄の右の三角ボタンを数回クリックして詳細表示にし、「フォーマット」欄を「Excelブック(.xlsx)」または「Excel 97-2004ブック(.xls)」にし、保存先のフォルダを選択し、「名前」欄にファイル名(〜.xlsxまたは〜.xls)を入力し、「保存」をクリックします。

今回は、「架空の買い物リスト.xlsx」というファイル名にして、デスクトップに保存します。

ファイル名を決定した後にブックを保存するには、メニューバーで「ファイル」→「保存」とクリックします。 または、ツールバーの「保存」ボタンをクリックしてもよいです。

ウィンドウを閉じた後に保存したファイルを開くには、メニューバーで「ファイル」→「開く」とクリックします。 または、ツールバーの「開く」ボタンをクリックしてもよいです。 すると「開く」ウィンドウが開くので、開くファイルを選択し、「開く」をクリックします。 なお、Finderのウィンドウのファイルのアイコンをダブルクリックしても、ファイルは開けます。

シートの構成

Excelでは、データが入力できる一つ一つの長方形を セル cell ) と呼びます。 セルが横に並んでいる部分を row ) と呼び、セルが縦に並んでいる部分を column ) と呼びます。 セルが縦横に並んでいる領域を シート sheet ) と呼びます。 利用者は、シートの一部に表を作成します。 一枚のシートに複数の表を作ることも可能です。

Excelでは、一つのウィンドウに複数のシートがまとめられます。 このシートのまとまりを、 ブック book ) と呼びます。 ウィンドウの下側のタブをクリックすると、シートが切り替えられます。 ファイルへの保存は、ブック単位で行われます。

データの入力

ここでは、例として、次のような架空の買い物リストを作成します。

架空の買い物リスト(1)
品名 単価 数量 金額
切手 ¥80 60 ¥4,800
官製はがき ¥50 60 ¥3,000
封筒(10枚入り) ¥150 6 ¥900
合計 ¥8,700

セルにデータを入力するには、そのセルをダブルクリックします。 そして、カーソルが現れたら、データを入力します。 入力は、returnキーで確定し、escキーで取り消されます。 すでにデータが入力されているセルをダブルクリックすると、そのデータが編集できます。

なお、セルをダブルクリックする手間を省き、tabキーとreturnキーで能率よく入力する方法もあります。 また、セルの中で改行するには、optionキーとcontrolキーを押しながらreturnキーを押して離します。

上記の例のデータを入力すると、以下のようになります。

架空の買い物リスト(2)
品名 単価 数量 金額
切手 80 60
官製はがき 50 60
封筒(10枚入り) 150 6
合計


行や列をシートに挿入したり、行や列をシートから削除することもできます。 そのためには、まず、対象となる行や列を選択します。 行を選択するには、シートの左側の行番号をクリックします。 列を選択するには、シートの上側の列記号をクリックします。 行や列を挿入するには、行や列を選択してからリボンの「ホーム」をクリックし、「セル」項目の「挿入」をクリックします。 行や列を削除するには、行や列を選択してからリボンの「ホーム」をクリックし、「セル」項目の「削除」をクリックします。

例えば、行1を挿入→列Aを挿入→行1を削除→列Aを削除、とやってみてください。

カット、コピー、ペーストについては、だいたい今まで通りです。 コピー元を指定するには、セルをクリックするか、行番号や列記号をクリックするか、セルの範囲をドラッグします。 コピーされた範囲は点線で囲まれますが、これはescキーで消えます。 ペーストはペースト先をクリックしてから行いますが、もし、セルの範囲をドラッグしてからペーストすると、データが繰り返しペーストされます。 なお、カットは移動の意味になり、データはすぐには消えません。 データを消すには、リボンの「ホーム」をクリックし、「編集」項目で「クリア」→「すべて」とクリックします。

例えば、セルB2からC4までを別の場所にコピーし、コピー先をさらに別の場所に移動し、最後に移動先を消去してみてください。

数式とは

シートの上側の列記号A, B, C, ... と、シートの左側の行番号1, 2, 3, ... に注目してください。 これは、セルの位置を示しています。 つまり、左上のセルはA1という位置、その右のセルはB1という位置です。 このA1やB1のことを、セルの 参照 reference ) と呼びます。

数式 formula ) とは、セルの参照や数値を、プラスやマイナスで結合したり、関数を適用したりして得られる表現のことです。 ここで、足し算はプラス(+)、引き算はマイナス(-)ですが、掛け算はアスタリスク(*), 割り算はスラッシュ(/)を使います。

Excelにはいろいろな関数が用意されています。 以下は、基本的な関数の適用例です。

SUM(A1:C4)
セルA1からセルC4までのデータの合計
AVERAGE(A1:C4)
セルA1からセルC4までのデータの平均
COUNT(A1:C4)
セルA1からセルC4までのデータの個数
MAX(A1:C4)
セルA1からセルC4までのデータの最大値
MIN(A1:C4)
セルA1からセルC4までのデータの最小値

セルに数式を入力すると、セルにはその計算結果が表示されます。 この計算結果は、そのセルを参照することによって、他のセルの数式の計算で利用できます。 表計算では、一つ一つのセルの数式を計算することによって、全体としてまとまったデータ処理を行うのです。

数式は、参照するデータが変更されると、自動的に再計算されます。 この機能は、表計算がテンプレートとして使えることを意味します。 つまり、数式が入力されたExcelファイルを用意しておけば、それにデータを入力するだけで表が完成するのです。

例えば、テストの度に成績表を作成する教員を考えます。 この教員は、あらかじめ合計点や平均点を計算する数式をシートに入力しておき、テストの回数分コピーしておきます。 テストが終わったら、生徒の得点をシートに入力するだけで、自動的に合計点や平均点が計算され、成績表が完成するというわけです。

数式の入力

実際にセルに数式を入力するには、データと区別するために、イコール(=)を入力してから数式を入力します。

入力した数式を確認するには、数式バーを使います。 メニューバーで「表示」→「数式バー」とクリックしてください。

上記の例では、試しに、セルD2に=80*60と入力してみます。 すると、セルD2に4800と表示され、セルD2をクリックすると、数式バーに=80*60と表示されます。

ただ、数値を入力してしまうと、セルB2やC2が変更されても再計算できません。 そこで、セルD2に=B2*C2と入力します。 セルD2には同じく4800と表示されますが、数式バーには=B2*C2と表示されます。

ここで、切手を100枚に変更したとして、セルC2を100に変更すると、セルD2は再計算されて8000になります。 確認できたら、セルC2を60に戻しておいてください。

架空の買い物リスト(3)
品名 単価 数量 金額
切手 80 60 4800(数式は=B2*C2)
官製はがき 50 60
封筒(10枚入り) 150 6
合計


数式のセルをコピーすると、計算結果ではなく、数式がコピーされます。 しかも、数式中のセルの参照は、コピー元での位置関係を保存するように変更されます。 このメカニズムをうまく利用することが、表計算のポイントになります。

上記の例では、セルD2をセルD3とD4にコピーします。 すると、セルD3の数式はB3*C3となり、セルD4の数式はB4*C4となります。 コピー元のセルD2の数式=B2*C2は、「二つ左と一つ左の積」という意味としてコピーされたのです。

架空の買い物リスト(4)
品名 単価 数量 金額
切手 80 60 4800(数式は=B2*C2)
官製はがき 50 60 3000(数式は=B3*C3)
封筒(10枚入り) 150 6 900(数式は=B4*C4)
合計


最後に合計を計算します。 セルD5に=D2+D3+D4と入力してもできますが、ここでは関数を利用して、=SUM(D2:D4)と入力します。

架空の買い物リスト(5)
品名 単価 数量 金額
切手 80 60 4800(数式は=B2*C2)
官製はがき 50 60 3000(数式は=B3*C3)
封筒(10枚入り) 150 6 900(数式は=B4*C4)
合計

8700(数式は=SUM(D2:D4))

フォントの変更

データと数式の入力が終わったら、表の体裁を整えます。

データのフォントを変更するには、まず、セルをクリックするか、セルの範囲をドラッグします。 そして、リボンの「ホーム」をクリックし、「フォント」項目のフォントの名前の三角ボタンをクリックし、フォントを選択します。

フォントの名前の三角ボタンの代わりに、サイズの三角ボタンをクリックすると、文字の大きさが変えられます。 また、「B」をクリックすると太字になり、「I」をクリックすると斜体になります。 「U」をクリックすると下線が引かれます。

上記の例では、表の見出しと「合計」を太字にします。

架空の買い物リスト(6)
品名 単価 数量 金額
切手 80 60 4800
官製はがき 50 60 3000
封筒(10枚入り) 150 6 900
合計

8700

データの表示形式

データ80を表示するとき、80円の場合と80個の場合とでは、適切な表示の仕方は異なります。 データの表示の仕方を、表示形式と呼びます。

データの表示形式を変更するには、まず、セルをクリックするか、セルの範囲をドラッグします。 そして、リボンの「ホーム」をクリックし、「数値」項目の表示形式の名前の三角ボタンをクリックし、表示形式を選択します。

上記の例では、円が付くデータの表示形式を「通貨」に変更します。

架空の買い物リスト(7)
品名 単価 数量 金額
切手 ¥80 60 ¥4,800
官製はがき ¥50 60 ¥3,000
封筒(10枚入り) ¥150 6 ¥900
合計

¥8,700

データの位置揃え

セルの大きさを変更するには、シートの上側の列記号やシートの左側の行番号の境界線をドラッグします。

データをセルの中央に揃えるには、まず、セルをクリックするか、セルの範囲をドラッグします。 そして、リボンの「ホーム」をクリックし、「配置」項目の中央揃えボタンをクリックします。

セルの範囲は、一つの(大きな)セルにまとめることができます。 これを、セルの結合と言います。

セルを結合するには、まず、セルの範囲をドラッグします。 そして、リボンの「ホーム」をクリックし、「配置」項目の「セル結合」をクリックします。

上記の例では、表の見出しを中央揃えにし、「合計」のセルを結合します。

架空の買い物リスト(8)
品名 単価 数量 金額
切手 ¥80 60 ¥4,800
官製はがき ¥50 60 ¥3,000
封筒(10枚入り) ¥150 6 ¥900
合計 ¥8,700

表の罫線

画面上は、シートに薄く罫線が引かれていますが、この罫線は印刷されません。 表に罫線を引くには、まず、セルをクリックするか、セルの範囲をドラッグします。 そして、リボンの「ホーム」をクリックし、「フォント」項目の罫線ボタンをクリックし、罫線の種類を選択します。

シートの印刷

シートが完成したら、必要に応じて、紙に印刷します。 メニューバーで「ファイル」→「プリント」とクリックします。 すると、「プリント」ウィンドウが開くので、「プリント」ボタンをクリックします。

ヘルプの利用

Excelについて分からないことがあるときは、ヘルプを利用してください。 メニューバーで「ヘルプ」→「Excelヘルプ」とクリックします。


演習10

以下の表は、架空の会社の社員構成をまとめたものです。 このデータをExcelシートに入力してから、空欄に数式を入力して、合計を計算してください。

架空の会社の社員構成
年齢 男性 女性 合計
10代 0 3
20代 4 5
30代 9 6
40代 8 2
50代 7 0
60代 1 0
合計


余力のある人は、文字の色や背景色などを利用して、表を読みやすくしてください。


レポート課題

今日の演習10の答案(Excelファイル)をメールで提出してください。 差出人は学内のメール・アドレス(k13x1001@cis.twcu.ac.jpなど)とし、宛先はkonishi@cis.twcu.ac.jpとします。 メールの本文には、学生番号、氏名、科目名、授業日(6月19日)を明記してください。


参考文献


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2013年6月19日更新
小西 善二郎 <konishi@cis.twcu.ac.jp>
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