ワープロ ( word processor ) とは、人が読む文書を作成・編集・印刷する機械のことです。 ワープロの機能を持つアプリケーションを、ワープロ・ソフトと呼びます。
ワープロは文書を清書する機械であると考えられがちですが、より重要なのは、ワープロを使うと文書が編集できることです。 ワープロでは、文章を順番に入力する必要はありません。 思いついた文章を次々と入力し、それらを移動・削除しながら文書を作り上げることができます。 また、できあがった文書の加筆・訂正も簡単です。
さらに、ワープロでは、字の大きさや色を変えたり、図や表を埋め込むこともできます。 ワープロを使えば、報告書や手紙だけでなく、チラシやポスターも書けるのです。
ワープロ・ソフトには色々なものがありますが、現在はMicrosoft社のWordが最も使われています。 なお、この授業ではMac用のWordを利用しますが、使い方はWindows用のWordとだいたい同じです。
なお、Wordは、バージョン2007以降、ファイル形式を変更しました。 新しいWordのファイルと古いWordのファイルは、ファイルの拡張子で区別します。 新しいWordは.docxで、古いWordは.docです。 東京女子大学のMacのWord(バージョン2008)で作成したファイルを、古いWordで開く可能性がある場合は、ファイルを保存するときに、「フォーマット」メニューを「Word文書(.docx)」から「Word 97-2004文書(.doc)」に変更してください。
授業では、すでにWordの最低限の使い方は説明しました。 ここでは、まだ触れていない基本的な内容を紹介します。
まず、Wordを起動すると、新規文書のウィンドウが一つ開きます。 ウィンドウを増やすには、メニューバーで「ファイル」→「新規作成」とクリックします。 または、ツールバーの「新規作成」ボタンをクリックしてもよいです。 Dockのアイコンを何度クリックしても、ウィンドウは増えません。
Wordを起動すると、文書ウィンドウの上側にツールバーなどが表示され、書式パレットなどのウィンドウも開きます。 ツールバーや書式パレットでは、基本的な操作が行えます。 一般的な操作については、メニューバーを利用します。 したがって、基本操作については、メニューバーでもツールバーでも書式パレットでもできるわけです。 この授業では、主に書式パレットを利用することにします。 なお、書式パレットが表示されていない場合は、メニューバーで「表示」→「書式パレット」とクリックしてください。
Wordの使用中に、操作ミスで文章が消滅してしまっても、慌てることはありません。 メニューバーで「編集」→「元に戻す」とクリックすると、たいていは元に戻ります。 または、ツールバーの「元に戻す」ボタンをクリックしてもよいです。
ただし、Wordのような複雑なアプリケーションは、時々、操作中に動かなくなることがあります。 こうなると、アプリケーションを強制終了させるしかないのですが、保存していない文章はたいていは消滅します。 文書を作成するときは、最初にファイル名を決定し、作成中は小まめに保存するようにしてください。
画面に表示したり紙に印刷したりする文字の種類を、 フォント ( font ) と呼びます。 日本語のフォントには、明朝体やゴシック体などがあります。 英語のフォントには、TimesやCourierなどがあります。 文字の大きさ、太さ、傾きなども、フォントの要素です。
文字列のフォントを変更するには、まず、その文字列をドラッグします。 次に、書式パレットの「フォント」をクリックして詳細表示にします。 最後に、「名前」を変更します。
「名前」の代わりに「サイズ」を変更すると、文字の大きさが変わります。 また、「B」をクリックすると太字になり、「I」をクリックすると斜体になります。 「U」をクリックすると下線が引かれます。
普通、文章は左端から書き始めますが、部分的に文字列を中央に揃えることがあります。 このとき、スペースをたくさん入力して揃えるのは正しくありません。
文字列を中央に揃えるには、まず、その文字列をドラッグします。 次に、書式パレットの「配置と間隔」をクリックして詳細表示にします。 最後に「横位置」の中央揃えのボタンをクリックします。
中央揃えボタンの代わりに右揃えボタンをクリックすると、右に揃います。
本などでは、全体はいくつかの章に分かれ、それぞれの章はいくつかの節に分かれ、それぞれの節はいくつかの小節に分かれます。 レポートなどでは、普通は章は設けませんが、節や小節は使われます。 章や節の最初にある、「第1章 宇宙の仕組み」や「1.1 太陽系」のような部分を、 見出し ( heading ) と呼びます。
見出しは目立つように書かれますが、そのスタイルを自分で決め、文書全体で統一するのは面倒です。 あらかじめ用意されているスタイルを利用すれば、簡単にスタイルを統一できます。
ここで、最も大きな文書単位(章や節)の見出しをレベル1の見出し、次に大きな文書単位の見出しをレベル2の見出し、…と呼びます。
文字列をレベル1の見出しにするには、まず、その文字列をドラッグします。 次に、書式パレットの「スタイル」をクリックして詳細表示にします。 最後に、「見出し1」をクリックします。
「見出し1」の代わりに「見出し2」をクリックすると、レベル2の見出しになります。 「標準」をクリックすると、見出しではなくなります。
なお、見出しの左端には四角の印が表示されますが、これは印刷されません。
ワープロ・ソフトでは右端で自動的に改行されるので、returnキーは段落の終わりに使うことは、以前説明しました。 Wordでは、段落ごとに行間を広げたり、余白を設けたりできます。
段落の行間を広げるには、まず、その段落をドラッグします。 次に、書式パレットの「配置と間隔」をクリックして詳細表示にします。 最後に、「行間」欄のボタンをクリックします。
特殊な段落として、 引用 ( quotation ) があります。 引用は他人が書いた文章なので、自分が書く文章と区別する必要があります。 引用を示す一つの方法は、上下左右に余白を設けることです。
段落の上下左右に余白を設けるには、まず、その段落をドラッグします。 次に、書式パレットの「配置と間隔」をクリックして詳細表示にします。 最後に、「段落の間隔」欄の「段落前」と「段落後」を例えば1にし、「インデント」欄の「左」と「右」を例えば2にします。
いくつかの項目を列挙する場合、それらを 箇条書き ( list ) にすると読みやすくなります。 箇条書きには、番号付きのものと記号付きのものがあります。 順番に意味がある場合は番号を付けます。 順番に意味がない場合は記号を付けます。
箇条書きを入力するには、まず、書式パレットの「箇条書きと段落番号」をクリックして詳細表示にします。 そして、「種類」欄の記号付きボタンか番号付きボタンをクリックします。 番号や記号は「スタイル」メニューで変更できます。
項目を入力し、returnキーを押して離すと、次の項目が入力できます。 もう項目がない場合は、deleteキーを押して離します。 項目の途中で改行する場合は、shiftキーを押しながらreturnキーを押して離します。
なお、箇条書きの全体をドラッグしてから「種類」欄のクリックしているボタンを再びクリックすると、標準の文章になります。 逆に、標準の文章をドラッグしてから「種類」欄の記号付きボタンか番号付きボタンをクリックすると、箇条書きになります。
用紙の余白については、あらかじめ適切な長さが設けられますが、変更することもできます。 書式パレットの「文書の余白」をクリックして詳細表示にし、「余白」欄の「左」、「右」、「上」、「下」を変更してください。
1行の文字数や1ページの行数など、より細かな設定が必要な場合は、メニューバーで「書式」→「文書のレイアウト」とクリックしてください。
Word文書にページ数を挿入するには、メニューバーで「挿入」→「ページ番号」とクリックします。 「ページ番号」ウィンドウが開くので、位置などを設定し、「OK」をクリックします。
ページ数を削除するには、ページ数を数回ダブルクリックしてページ数が選択されてから、deleteキーを押して離します。
Word文書に図を挿入するには、画像ファイルを埋め込む方法と、Wordで図形を描く方法があります。
最初は、画像ファイルについてです。 一般的に、画像ファイルを用意するには、
などの方法があります。
Word文書に画像ファイルを挿入するには、次のようにします。
画像の大きさを変えるには、画像をクリックし、画像の枠に四角印や丸印が付いてから、四角印か丸印をドラッグします。
画像を移動するには、多少注意が必要です。 まず、画像をクリックし、画像の枠に四角印や丸印を付けます。 縦方向の移動だけなら、ドラッグでできます。 縦横に移動するなら、書式パレットの「文字列の折り返し」をクリックして詳細表示にし、「折り返しの種類」メニューを「行内」から「上下」に変更します。 そして、画像を目的の位置までドラッグします。
なお、画像を削除するには、deleteキーでも消せますし、カットでも消せます。
ここで、画像の左右に注目します。 「折り返しの種類」メニューが「行内」のままなら、画像の左右には一行だけ文章が書けます。 「折り返しの種類」メニューを「上下」に変更すると、画像の左右には文章は書けません。 画像の左右に、画像の高さと同じだけ文章が書けるようにするには、次のようにします。
まず、画像をクリックし、画像の枠に四角印や丸印を付けます。 次に、書式パレットの「文字列の折り返し」をクリックして詳細表示にし、「折り返しの種類」メニューを「四角」にします。 最後に、「左右の折り返し」メニューを「左側」や「右側」などにします。
画像ファイルの次は、Wordで図形を描きます。
まず、メニューバーで「表示」→「ツールバー」→「図形描画」とクリックします。 すると、図形描画用のツールバーが表示されます。
それぞれのボタンの意味は、次の通りです。
図形を移動するには、図形をクリックしてからドラッグします。 図形の大きさを変えるには、図形をクリックし、図形の枠に四角印や丸印が付いてから、四角印か丸印をドラッグします。
図形を削除するには、deleteキーでも消せますし、カットでも消せます。
○-----○-----○-----○-----○-----○-----○-----○-----○ 太陽 水星 金星 地球 火星 木星 土星 天王星 海王星
Word文書に表を挿入するには、メニューバーで「罫線」→「挿入」→「表」とクリックします。 すると、「表の挿入」ウィンドウが開くので、「列数」と「行数」を適切な値にし、「OK」をクリックします。
表を移動するには、表の中にマウスカーソルを置き、少し待ち、表の左上に現れる四角をドラッグします。 表の全体の大きさを変えるには、表の中にマウスカーソルを置き、少し待ち、表の右下に現れる四角をドラッグします。 表のセルの大きさを変えるには、表の罫線にマウスカーソルを置き、マウスカーソルの形が変わったらドラッグします。
表を削除するには、deleteキーでも消せますし、カットでも消せます。 その際に、表の中にマウスカーソルを置き、少し待ち、表の左上に現れる四角をクリックすると、表の全体が選択できます。
惑星 | 衛星 |
---|---|
水星 | なし |
金星 | なし |
地球 | 1 |
火星 | 2 |
挿入した表の罫線は、点線や二重線にすることができます。 また、色や太さも変えられます。
まず、表の中にマウスカーソルを置き、少し待ち、表の左上に現れる四角をクリックします。 次に、書式パレットの「罫線と網かけ」をクリックして詳細表示にします。 最後に、「罫線の種類」、「線の色」、「線の太さ」を変更します。
Wordについて分からないことがあるときは、ヘルプを利用してください。 メニューバーで「ヘルプ」→「Wordヘルプ」とクリックします。