いくつかの整数を1行1行出力するとき、先頭にスペースを入れて、整数を右揃えにすると分かりやすくなります。 また、いくつかの実数を1行1行出力するとき、小数点以下の桁数を統一し、小数点を揃えると分かりやすいです。 このような、出力に関する規則を、 書式 ( format )または フォーマット とよびます。
Javaには、書式を指定する方法がいくつかありますが、ここで紹介するのは、文
System.out.printf(書式, 式);
です。 これで、「 式 」の値を指定された「 書式 」で出力します。
書式の書き方は、最初はパーセント(
%
)、最後は整数なら
d
、実数なら
f
です。
その間に字数を書きますが、ただの数なら全字数(入りきらない場合は、はみ出す)となり、小数点の後の数なら小数点以下の桁数となります。
また、
0
を書くと、先頭にスペースを入れる代わりに
0
を入れます。
コンマ(
,
)を書くと、3桁ごとにコンマを入れます。
System.out.printf(
...
);
は、最後に改行をしませんので、改行したければ
System.out.println();
を実行してください。
/* 1*/ class FormatTest { // 書式のテスト /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ System.out.printf("%.2f", 1.2345); // 実数を小数点以下2桁で出力 /* 4*/ System.out.println(); /* 5*/ System.out.printf("%8.2f", 1.2345); // 実数を全8字、小数点以下2桁で出力 /* 6*/ System.out.println(); /* 7*/ System.out.printf("%8d", 100); // 整数を全8字で出力 /* 8*/ System.out.println(); /* 9*/ System.out.printf("%08d", 100); // 整数を全8字で出力、先頭に0を入れる /* 10*/ System.out.println(); /* 11*/ System.out.printf("%,8d", 10000); // 整数を全8字で出力、コンマを入れる /* 12*/ System.out.println(); /* 13*/ } /* 14*/ }
1.23 1.23 100 00000100 10,000 Completed with exit code: 0
注意: コンソールで等幅でないフォントが使われていると、右揃えや小数点揃えのプログラムを作っても、うまく揃いません。 オンライン・コンパイラーcodiva.ioでは、MacとFirefoxの組合せが等幅でないフォントになっています。
以前、変数に格納されたデータは変更可能であると説明しました。 変数 x にデータ100を格納した後で、101を格納すると、100は上書きされ、 x の値は101になるという話でした。 この仕組みを利用すると、変数の値を増加させることができます。
/* 1*/ class IncreaseTest { // 増加のテスト /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int x = 100; /* 4*/ x = x + 1; // 1増加 /* 5*/ System.out.println(x); /* 6*/ } /* 7*/ }
101 Completed with exit code: 0
このプログラムは、いったん変数 x にデータ100を格納した後、それを1増加させるものです。 4行目は、変数 x に、変数 x の値に1を足したものを格納する代入文です。 x と x +1が等しいと言っているわけではありません。 このイメージは次の図のようになります。
変数の値を1増加させることはよく行われるので、省略形が用意されています。
x = x + 1;
の場合なら、
x++;
と書けます。 変数 y の値を1減少させる、
y = y - 1;
という代入文も、
y--;
と省略できます。
1増加や1減少させるのでなく、いくらか増加やいくらか減少させるための省略形もあります。 以下の表を参照してください。
代入文 | 省略形 |
---|---|
変数
=
変数
+
式
;
|
変数
+=
式
;
|
変数
=
変数
-
式
;
|
変数
-=
式
;
|
変数
=
変数
*
式
;
|
変数
*=
式
;
|
変数
=
変数
/
式
;
|
変数
/=
式
;
|
変数
=
変数
%
式
;
|
変数
%=
式
;
|
以下のプログラムでは、変数 x の値を10増加させて、1増加させています。
/* 1*/ class IncreaseTest2 { // 増加のテスト2 /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int x = 100; /* 4*/ System.out.println(x); /* 5*/ x += 10; // 10増加 /* 6*/ System.out.println(x); /* 7*/ x++; // 1増加 /* 8*/ System.out.println(x); /* 9*/ } /* 10*/ }
100 110 111 Completed with exit code: 0
前々回と前回では、条件文を使って、条件が成り立てば何かを実行するというプログラムを書きました。 Javaではこの他に、何かを繰返し実行するというプログラムも書けます。 何かを繰り返す文を、 繰返し文 ( iteration statement )または ループ文 ( loop statement )と呼びます。
何かを繰り返す場合、繰返しの回数が分かっている場合と、分かっていない場合があります。 何回繰返すか分かっている場合は、 for文 ( for statement )を使います。 分かっていない場合は、while文を使います。 (while文は次回説明します。)
以下のプログラムは、10回OKと出力します。
/* 1*/ class ForTest { // for文のテスト /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int i; /* 4*/ for (i = 0; i < 10; i++) { // 10回繰り返す /* 5*/ System.out.println("OK"); /* 6*/ } /* 7*/ } /* 8*/ }
OK OK OK OK OK OK OK OK OK OK Completed with exit code: 0
for文の典型的な形式は以下のとおりです。
int i; ... for (i = 0; i < 回数; i++) { 文; ... }
このfor文で、「 回数 」回「 文 」 ... が実行されます。 なお、for文を使う前に、変数 i を宣言しておきます。 この i は、 ループ変数 ( loop variable )と呼ばれます。
for文の実行の流れは以下のとおりです。
さて、プログラムForTestがなぜ10回繰り返すのか、不思議だと思います。 この謎は、ループ変数を表示してみれば解決します。
/* 1*/ class ForTest2 { // for文のテスト2 /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int i; /* 4*/ for (i = 0; i < 10; i++) { // 0から9まで /* 5*/ System.out.println(i); /* 6*/ } /* 7*/ } /* 8*/ }
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 Completed with exit code: 0
ループ変数が0から9まで変化するので、10回だというわけです。 なので、あとはループ変数が変化する仕組みを理解すれば、完全解決します。
for文の一般的な形式は以下のとおりです。
for (初期化; 条件; 更新) { 文; ... }
このfor文で、まず「 初期化 」が実行されます。 そして、「 条件 」が成り立っている間、「 文 」 ... と「 更新 」が繰返し実行されます。
for文の「 初期化 」、「 条件 」、「 更新 」を書き換えれば、別のパターンの繰返しもできます。 例えば、ループ変数を1から10まで変化させたければ、ループ変数は初期化で1, 条件で10以下とします。
/* 1*/ class ForTest3 { // for文のテスト3 /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int i; /* 4*/ for (i = 1; i <= 10; i++) { // 1から10まで /* 5*/ System.out.println(i); /* 6*/ } /* 7*/ } /* 8*/ }
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Completed with exit code: 0
10回繰り返すために、ループ変数を0から9まで変化させるfor文と、1から10まで変化させるfor文を紹介しました。 どちらがよいでしょうか。 1から10のほうが分かりやすいかもしれませんが、コンピュータの世界では「0番目」を積極的に使うので、0から9のほうがよいです。
さて、for文を使って
と出力するには、どうすればよいでしょうか。 普通にやるなら、数式を使います。 つまり、ループ変数を0から9まで変化させ、それを10倍します。
/* 1*/ class LoopVariableTest { // ループ変数のテスト /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int i; /* 4*/ for (i = 0; i < 10; i++) { /* 5*/ System.out.println(10 * i); // ループ変数の10倍 /* 6*/ } /* 7*/ } /* 8*/ }
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 Completed with exit code: 0
for文の「
更新
」を書き換えるという方法もあります。
つまり、
i++
で1増加させるのではなく、
i += 10
で10増加させるのです。
/* 1*/ class LoopVariableTest2 { // ループ変数のテスト2 /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int i; /* 4*/ for (i = 0; i < 100; i += 10) { // 10ずつ増加 /* 5*/ System.out.println(i); /* 6*/ } /* 7*/ } /* 8*/ }
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 Completed with exit code: 0
これが実数になると注意が必要です。 for文を使って
と出力する場合、数式を使う(ループ変数を0.1倍する)なら、特に問題は起きません。
/* 1*/ class LoopVariableTest3 { // ループ変数のテスト3 /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int i; /* 4*/ for (i = 0; i < 10; i++) { /* 5*/ System.out.println(0.1 * i); // ループ変数の0.1倍 /* 6*/ } /* 7*/ } /* 8*/ }
0.0 0.1 0.2 0.30000000000000004 0.4 0.5 0.6000000000000001 0.7000000000000001 0.8 0.9 Completed with exit code: 0
ところが、for文の「 更新 」を書き換える方法だと、11回繰り返すという間違いを犯します。 プログラムでは、「 更新 」で0.1増加させるために、ループ変数を実数型にしています。 プログラムを実行すると、繰返しのたびに実数の誤差が蓄積していき、11回目で成り立たなくなるはずの「 条件 」が成り立ってしまうのです。
/* 1*/ class LoopVariableTest4 { // ループ変数のテスト4 /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ double d; // 実数型のループ変数 /* 4*/ for (d = 0.0; d < 1.0; d += 0.1) { // 0.1ずつ増加 /* 5*/ System.out.println(d); // 11回繰り返してしまう /* 6*/ } /* 7*/ } /* 8*/ }
0.0
0.1
0.2
0.30000000000000004
0.4
0.5
0.6
0.7
0.7999999999999999
0.8999999999999999
0.9999999999999999 // 余分な出力
Completed with exit code: 0
この間違いの教訓は、
ループ変数は整数型に限る。実数型にしてはいけない。
ということです。 ループ変数は、慣習的に i , j , k などが使われます。 この i は、整数(integer)の頭文字です。
繰返し文の使用例として、はじめに1+2+...+100の計算を行います。
この問題は、レジの計算をまねることで解決できます。 つまり、それまでの合計を表す変数 sum を用意して、初期値を0とします。 そして、 sum の値を 1増やし、2増やし、…と繰り返し、100増やした時点の sum の値が答になるわけです。 したがって、
sum += 1; // i = 1 sum += 2; // i = 2 ... sum += 100; // i = 100
と同じことをfor文で表します。
プログラムは次の通りです。
/* 1*/ class Summation100 { // 合計100 /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int i, sum = 0; /* 4*/ for (i = 1; i <= 100; i++) { // 100回繰り返す /* 5*/ sum += i; /* 6*/ } /* 7*/ System.out.println(sum); /* 8*/ } /* 9*/ }
5050 Completed with exit code: 0
次の例では、1×2×…×10の計算を行います。
合計の計算と同じように考え、変数 product の値を1倍し、2倍し、…と繰り返し、10倍すれば計算できます。 したがって、
product *= 1; // i = 1 product *= 2; // i = 2 ... product *= 10; // i = 10
と同じことをfor文で表します。 ただし、 product の初期値は1とします。
プログラムは次の通りです。
/* 1*/ class Product10 { // 積10 /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int i, product = 1; /* 4*/ for (i = 1; i <= 10; i++) { // 10回繰り返す /* 5*/ product *= i; /* 6*/ } /* 7*/ System.out.println(product); /* 8*/ } /* 9*/ }
3628800 Completed with exit code: 0
最後の例として、カ氏温度セ氏温度対応表を作ります。
カ氏(華氏、Fahrenheit)温度とは、アメリカで使われる温度で、塩を入れた氷水の温度を0度、人間の体温を96度とするものです。 記号では、°Fと表されます。
セ氏(摂氏、Celsius)温度とは、日本で使われる温度で、水が凍る温度を0度、水が沸騰する温度を100度とするものです。 記号では、°Cと表されます。
カ氏 f 度とセ氏 c 度の変換公式は以下のとおりです。
アメリカの天気予報で「明日の気温は80度です。」と言われても、日本の感覚ではピンときません。 そこで、カ氏温度とセ氏温度の対応表を作成し、アメリカの天気予報を理解できるようにします。
プログラムでは、カ氏0.0度からカ氏90.0度まで、10.0度刻みで変換公式に当てはめ、セ氏温度を求めています。 出力では書式を利用し、小数点が揃うようにしています。
/* 1*/ class FahrenheitCelsiusTable { // カ氏温度セ氏温度対応表 /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int i; /* 4*/ double fahrenheit, celsius; /* 5*/ for (i = 0; i < 10; i++) { /* 6*/ fahrenheit = 10.0 * i; // カ氏10.0度刻み /* 7*/ celsius = (5.0 / 9.0) * (fahrenheit - 32.0); // 変換公式 /* 8*/ System.out.print("カ氏"); /* 9*/ System.out.printf("%4.1f", fahrenheit); // 全4字、小数点以下1桁 /* 10*/ System.out.print("度はセ氏"); /* 11*/ System.out.printf("%6.2f", celsius); // 全6字、小数点以下2桁 /* 12*/ System.out.println("度です。"); /* 13*/ } /* 14*/ } /* 15*/ }
カ氏 0.0度はセ氏-17.78度です。 カ氏10.0度はセ氏-12.22度です。 カ氏20.0度はセ氏 -6.67度です。 カ氏30.0度はセ氏 -1.11度です。 カ氏40.0度はセ氏 4.44度です。 カ氏50.0度はセ氏 10.00度です。 カ氏60.0度はセ氏 15.56度です。 カ氏70.0度はセ氏 21.11度です。 カ氏80.0度はセ氏 26.67度です。 カ氏90.0度はセ氏 32.22度です。 Completed with exit code: 0
長さの単位についは、アメリカではインチ、日本ではセンチが使われます。 1インチは2.54センチです。
プログラムで、0.0インチから9.0インチまで、1.0刻みでセンチに変換し、インチとセンチの対応表を作成してください。
出力では書式を利用し、小数点が揃うようにしてください。
class InchCentiTable { public static void main (String[] args) { } }
0.0インチは 0.00センチです。 1.0インチは 2.54センチです。 2.0インチは 5.08センチです。 3.0インチは 7.62センチです。 4.0インチは10.16センチです。 5.0インチは12.70センチです。 6.0インチは15.24センチです。 7.0インチは17.78センチです。 8.0インチは20.32センチです。 9.0インチは22.86センチです。 Completed with exit code: 0
余力のある人は、他の単位についての対応表も作成してください。 出力は10行程度とします。 刻みは、基本的に1.0刻みですが、刻みを変えてもよいです。 出力される数値は、書式を利用して、できるだけ揃うようにしてください。 なお、入力しにくい単位記号は、適宜カタカナなどにしてください。
今日の演習6の答案(Javaプログラム)をメールで提出してください。 差出人は大学発行のメール・アドレス(学生番号@cis.twcu.ac.jp)とし、宛先はkonishi@cis.twcu.ac.jpとします。 メールの本文には、学生番号、氏名、科目名、授業日(10月29日)を明記してください。