データの出力で使う
System.out.println(
data
);
や
System.out.print(
data
);
の
data
の所では、文字列や変数などを演算子
+
で結ぶことができます。
/* 1*/ class IntToString { // 整数を文字列にする /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int x = 100; /* 4*/ System.out.println("x"); /* 5*/ System.out.println(x); /* 6*/ System.out.println("x = " + x); // 連結 /* 7*/ } /* 8*/ }
asiaa1:~/comp2b b08a001$ java IntToString x 100 x = 100 asiaa1:~/comp2b b08a001$
実は、この演算子
+
は文字列の連結です。
一方だけが文字列のときは、他方を文字列に変換して連結するという約束になっています。
整数と整数の足し算も
+
なので、混乱しそうなら、括弧を使ってください。
変数を用いるとデータを一つ格納できることは、すでに学びました。 たくさんのデータを格納するには、データの個数だけ変数を用意すれば可能です。 しかし、それらのデータを系統的に取り扱うことは困難です。
配列 ( array ) というものを用いると、たくさんのデータを系統的に格納することができます。 配列とは、データの「入れ物」が並んだものと考えてください。 次の図は、配列のイメージです。
「入れ物」の一つ一つを 配列要素 ( array element ) とよびます。 配列には次のような特徴があります。
int
型)の隣に文字列(
String
型)を格納したりはできません。
変数を使うためには、変数の宣言が必要でした。
int x;
のように変数を宣言すると、変数
x
に整数(
int
型)が一つ格納できました。
配列を使うためには、配列の宣言と配列の生成という二段階の手続きが必要です。 次のプログラムは、配列を宣言し、生成し、その3番目に整数72を格納し、それを出力するものです。
/* 1*/ class ArrayTest { // 配列のテスト /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int[] a; // 宣言 /* 4*/ a = new int[10]; // 10個生成 /* 5*/ a[3] = 72; // 3番目に格納 /* 6*/ System.out.println(a[3]); // 3番目を出力 /* 7*/ } /* 8*/ }
asiaa1:~/comp2b b08a001$ java ArrayTest 72 asiaa1:~/comp2b b08a001$
整数(
int
型)の場合、配列の宣言は次のように書きます。
int[] arrayname;
ここで、 arrayname は配列の変数名です。 配列の生成は、
arrayname = new int[size];
と書きます。 ここで、 size は配列の要素数です。
上記のプログラムでは、3行目で変数名が a である配列を宣言しています。 また、4行目で要素数が10である配列を生成しています。
配列要素にデータを格納するには、
arrayname[index] = expression;
と書きます。
index
番目の要素に式
expression
の値を格納します。
ここで、
index
は数そのものである必要はありません。
数を値に持つならば、変数や式でもかまいません。
例えば、変数
i
の値が3で
x
の値が100ならば、
b[i - 1] = x + 1;
によって配列
b
の2番目の要素に101が格納されます。
式
arrayname[index]
で、配列の index 番目の要素が取り出せます。 なお、配列の何番目の要素かを表すこの式 index を、配列の 添字 ( subscript ) 、または インデックス ( index ) とよびます。
上記のプログラムでは、5行目で配列の3番目の要素にデータ72を格納しています。 また、6行目ではそのデータを取り出して出力しています。
上記のプログラムにおいて、 a [10] は存在しないことに注意してください。 このような、存在しない要素にデータを格納しようとしたり、データを取り出そうとすると、エラーが発生します。
/* 1*/ class ArrayError { // 配列のエラー /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int[] a; /* 4*/ a = new int[10]; // 0番目から9番目まで /* 5*/ a[10] = 100; // 10番目は存在しない /* 6*/ System.out.println(100); /* 7*/ } /* 8*/ }
asiaa1:~/comp2b b08a001$ java ArrayError Exception in thread "main" java.lang.ArrayIndexOutOfBoundsException: 10 at ArrayError.main(ArrayError.java:5) asiaa1:~/comp2b b08a001$
なお、配列の要素数をどこかに記録しておく必要はありません。 これは、式
arrayname.length
によっていつでも取り出せます。
注意: 教科書によっては、配列の宣言は
int a[];
などと書くと説明しています。
Javaでは、
int[] a;
と
int a[];
は同じ意味です。
ただし、これらを混在させるのは混乱のもとですので、この授業では前者に統一します。
上記のイメージの通り、配列にデータを格納しましょう。 これは、配列の宣言、配列の生成、配列要素への代入という手順を踏むとできます。 以下はそのようなプログラム(部分)です。
int[] a; a = new int[10]; a[0] = 99; a[1] = 90; a[2] = 81; a[3] = 72; a[4] = 63; a[5] = 54; a[6] = 45; a[7] = 36; a[8] = 27; a[9] = 18;
次のように書くと、配列の宣言と生成が同時に行えます。
int[] a = new int[10]; // 宣言と生成
a[0] = 99; a[1] = 90; a[2] = 81; a[3] = 72; a[4] = 63;
a[5] = 54; a[6] = 45; a[7] = 36; a[8] = 27; a[9] = 18;
さらに、データの格納も同時に行うことができます。 これは次のように書きます。
int[] a = {99, 90, 81, 72, 63, 54, 45, 36, 27, 18};
このことを、配列の
初期化
(
initialization
)
とよびます。
配列の初期化では、キーワード
new
や配列の要素数は書きません。
配列のプログラムでは、繰返しを利用するのが普通です。
つまり、ループ制御変数
i
を用意し、
for
文などの繰返しの中で、配列要素
a
[
i
]からデータを取り出したり、
a
[
i
]にデータを格納したりします。
次のプログラムは、配列 a の要素をすべて出力するものです。
/* 1*/ class ArrayPrint { // 配列の出力 /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int i; /* 4*/ int[] a = {99, 90, 81, 72, 63, 54, 45, 36, 27, 18}; // 初期化 /* 5*/ for (i = 0; i < a.length; i++) { // aの要素数回繰り返す /* 6*/ System.out.println("a[" + i + "] = " + a[i]); /* 7*/ } /* 8*/ } /* 9*/ }
asiaa1:~/comp2b b08a001$ java ArrayPrint a[0] = 99 a[1] = 90 a[2] = 81 a[3] = 72 a[4] = 63 a[5] = 54 a[6] = 45 a[7] = 36 a[8] = 27 a[9] = 18 asiaa1:~/comp2b b08a001$
4行目で配列
a
を初期化します。
式
a
.
length
の値は10なので、5行目の
for
文では変数
i
は0から9まで動きます。
6行目で配列要素
a
[
i
]の値を詳しく出力します。
配列の使用例として、はじめに配列要素の総和を求めます。
{100, 200, 100, 300, 200}
で表される配列の要素の合計を、レジの計算の要領で算出します。 つまり、
sum = sum + a[0]; sum = sum + a[1]; sum = sum + a[2]; ...
のように計算します。 プログラムは次の通りです。
/* 1*/ class ArraySummation { // 配列の総和 /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int i, sum = 0; /* 4*/ int[] a = {100, 200, 100, 300, 200}; /* 5*/ for (i = 0; i < a.length; i++) { /* 6*/ sum = sum + a[i]; /* 7*/ } /* 8*/ System.out.println("合計は" + sum); /* 9*/ } /* 10*/ }
asiaa1:~/comp2b b08a001$ java ArraySummation 合計は900 asiaa1:~/comp2b b08a001$
次の例は、配列要素の最大値を求めるものです。
{100, 200, 100, 300, 200}
で表される配列の要素の最大値は、人間が見れば 300 だと分かります。
この問題をコンピュータで解決するのに、勝ち抜き方式を使うことにします。 これは、はじめに最初の要素をとりあえずチャンピオンにします。 続いて、次の要素とチャンピオンが勝負をし、チャンピオンが負けたら勝者を新たにチャンピオンにします。 これを要素がなくなるまで繰り返します。 最後のチャンピオンが全体のチャンピオンであるというわけです。
具体的には、
max = a[0]; if (a[1] > max) { max = a[1]; } if (a[2] > max) { max = a[2]; } ...
のようにして、最大値を求めます。 プログラムは次の通りです。
/* 1*/ class ArrayMaximum { // 配列の最大値 /* 2*/ public static void main (String[] args) { /* 3*/ int i, max; /* 4*/ int[] a = {100, 200, 100, 300, 200}; /* 5*/ max = a[0]; // とりあえずチャンピオンにする /* 6*/ for (i = 1; i < a.length; i++) { /* 7*/ if (a[i] > max) { // チャンピオンが負けたら /* 8*/ max = a[i]; // 勝者をチャンピオンにする /* 9*/ } /* 10*/ } /* 11*/ System.out.println("最大値は" + max); /* 12*/ } /* 13*/ }
asiaa1:~/comp2b b08a001$ java ArrayMaximum 最大値は300 asiaa1:~/comp2b b08a001$
最後の例は、棒グラフを描くアプレットです。 グラフにするデータは、架空のクラスの、出席番号1番から8番までの成績です。
出席番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
成績 | 80 | 60 | 60 | 80 | 90 | 70 | 60 | 60 |
プログラムは次の通りです。
/* 1*/ import java.applet.*; /* 2*/ import java.awt.*; /* 3*/ /* 4*/ public class HorizontalBarGraph extends Applet { // 横の棒グラフ /* 5*/ public void paint (Graphics g) { /* 6*/ int i; /* 7*/ int[] a = {0, 80, 60, 60, 80, 90, 70, 60, 60}; // a[0]は使わない /* 8*/ for (i = 1; i < a.length; i++) { /* 9*/ g.drawString("" + i, 10, 20 * i); // 数 /* 10*/ g.fillRect(30, -10 + 20 * i, a[i], 10); // 棒 /* 11*/ } /* 12*/ } /* 13*/ }
まず、 a [0]を使わないようにして、配列の添字と出席番号を一致させます。
9行目の
g.drawString(
str
,
x
,
y
);
は、文字列
str
を座標 (
x
,
y
) に描く文です。
この座標が文字列の左下になるような位置関係です。
整数
i
を描く場合、
i
は文字列でないので、
"" +
i
と連結して文字列にしています。
文字列の左下の座標は、(10, 20), (10, 40), (10, 60), ... となるような数式にしています。
10行目では、幅が成績と同じで高さが10の長方形を描いています。 長方形の左上の座標は、(30, 10), (30, 30), (30, 50), ... となるような数式にしています。
上記の横の棒グラフを、縦の棒グラフにしてください。 (ヒント: 長方形の左下の座標を考え、そこから左上の座標を逆算してください。)
余力のある人は、例を参考にして、枠を付けるなどしてグラフを見やすくしてください。
今日の演習6の答案(Javaプログラム)をメールで提出してください。 差出人は学内のメール・アドレス(b08a001@cis.twcu.ac.jpなど)とし、宛先はkonishi@cis.twcu.ac.jpとします。 メールの本文には、学生番号、氏名、科目名、授業日(5月29日)を明記してください。