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情報処理IIA(HTML入門)第10回

目次 索引
10.1 IPアドレス
10.2 DNS
10.3 アンケート10

10.1 IPアドレス

ブラウザの「場所:」入力欄にhttpから始まるURLを入力しますと、少し待たされた後、指定されたホームページが表示されます。 また、始点のアンカーをマウスでクリックしても、同様に、少し待たされた後ホームページが表示されます。 この待たされている時間は、主にブラウザとWWWサーバとの間の通信に費やされています。 ここで何が行われているかを具体的に見ながら、ネットワークの仕組みについて理解を深めることにします。

ルータ

ブラウザの「場所:」入力欄に、例えば http://www.usyd.edu.au/ と入力しますと、シドニー大学のホームページが表示されます。 しかし、東京女子大学とシドニー大学との間に直通の通信回線があるわけではありません。 インターネットでは、いわゆる「バケツリレー方式」によって通信が行われています。 ネットワークの節目にあたる部分には、ルータrouter)とよばれる機器が置かれています。 ルータは、通信データを受け取りますと、その行き先を見て、適切と思えるほかのルータにそのデータを送ります。 これを繰り返し、いくつものルータを経由して、シドニー大学のホームページの内容が本学に送られてくるのです。

IPアドレス

ネットワークに接続されているコンピュータには、固有の番号が割り当てられています。 これをIPアドレスIP address)とよびます。 ここでIPとは、インターネットプロトコルInternet Protocol)の略です。 プロトコルという用語は、通信規約という意味で使われています。 IPアドレスとは、インターネットの通信規約に基づく、コンピュータを区別する番号だと言えます。 インターネットでは、IPアドレスの重複は許されません。

例えば、東京女子大学のWWWサーバのIPアドレスは、

202.11.169.5

です。 IPアドレスの書式は、0から255までの範囲の数をドット(.)で区切って4つ書き並べたものです。 ビットの概念を知っていれば、0から255までの数は8ビットで表されることに気づくと思います。 IPアドレスは32ビットで表されます。 前述のIPアドレスを2進数で表すと、

11001010 00001011 10101001 00000101

となります。

IPアドレスの構造

現在、インターネットを構成するコンピュータは日を追って増えています。 新しいコンピュータには、まだ使われていないIPアドレスを割り当てる必要があります。 IPアドレスの重複を避けるため、IPアドレスの割り当てを行っている管理組織があります。 ただし、この管理組織は一台一台のコンピュータにIPアドレスを割り当てているわけではありません。 この管理組織は、会社、学校、プロバイダなど、インターネットを構成する組織(ネットワーク)ごとに、まだ使われていないIPアドレスの範囲を割り当てています。 そしてIPアドレスの範囲をもらった組織は、自分の組織のコンピュータに、自分の組織の判断で、その範囲からIPアドレスを順次割り当てています。 大きな会社などでは、管理組織からもらったIPアドレスの範囲を細分して部に割り当て、各部はさらに細分して課に割り当てるといったことも行われています。 このようにして、IPアドレスが重複しないようにしています。

IPアドレスの範囲指定は、例えば32ビットの最初の24ビットは決められていて、残りの8ビットは組織に任されるといった、IPアドレスの2進表現に基づいて行われます。 仮に本学がこのように指定されたとしますと、本学は

11001010 00001011 10101001 00000000

から

11001010 00001011 10101001 11111111

すなわち202.11.169.0から202.11.169.255までの256個のIPアドレスが使えるということです。 (範囲の両端には特別な意味がありますので、実際は254個です。)

ネットマスクnetmask)とは、IPアドレスの32ビットのうち、どのビットが固定され、どのビットが任意なのかを表す番号です。 上記の例ですと、最初の24ビットが固定(1)、残りの8ビットが任意(0)ですので、

11111111 11111111 11111111 00000000

すなわち255.255.255.0となります。

プライベートIPアドレス

本学に割り当てられているIPアドレスの範囲が、仮に前述の通りだとしますと、学内には254台しかコンピュータが置けないことになります。 この問題は、プライベートIPアドレスprivate IP address)を用いると解決できます。 プライベートIPアドレスとは、以下の特別な範囲の中のIPアドレスです。

表. プライベートIPアドレス
IPアドレスネットマスク
10.0.0.0255.0.0.0
172.16.0.0255.240.0.0
192.168.0.0255.255.0.0

プライベートIPアドレスでないIPアドレスは、グローバルIPアドレスglobal IP address)とよばれます。

プライベートIPアドレスは、IPアドレスの管理組織に割り当てられなくても自由に使えるIPアドレスです。 ただし、そのまま使いますと、インターネットでIPアドレスが重複する可能性があります。 一般的には、組織を代表するコンピュータにグローバルIPアドレスを割り当て、その他のコンピュータにプライベートIPアドレスを割り当てます。 組織内で通信するときは、IPアドレスは重複しませんので、とくに工夫は要りません。 組織外と通信するときは、あたかも代表となるコンピュータが外部と通信しているように見せます。 このようにしますと、たとえ同じプライベートIPアドレスが複数の組織で使われていましても、代表となるコンピュータのIPアドレスは異なりますので、通信に混乱は生じないのです。


10.2 DNS

ドメイン

インターネットに接続されているコンピュータには、IPアドレスという固有番号がついていることを知りました。 しかし、IPアドレスは人間にとっては覚えにくいものです。 できれば、コンピュータに名前をつけ、その名前でコンピュータを指定したいところです。 このためには、次の問題を解決する必要があります。

前者はドメインdomain)という概念によって、後者はDNS(Domain Name System)という仕組みによって実現されています。

ドメインとは、一言で言えばホストコンピュータ(以下単にホスト)の集まりです。 ドメインは、階層構造を持ち、その構造は普通木で表されます。 ドメインには、階層構造を反映した名前(ドメイン名)がつきます。 例えば、www.usyd.edu.auはドメイン名です。 これは、オーストラリア(au)の、教育機関(edu)の、シドニー大学(usyd)の、WWWサーバ(www)を表します。

          |
 +---+----+-+---+---+
 |   |      |   |   |
com edu ... au  jp  ...
            |
        +---+---+
        |       |
       edu      ...
        |
    +---+----+--------+
    |        |        |
   usyd     utas      ...
    |        |
 +--+--+  +--+--+
 |  |  |  |  |  |
www ...  www ...

基本的に、各ドメインにはドメイン名の管理組織が存在しますが、より下のドメインにはその管理組織に管理を委任します。 例えば、edu.auドメインの管理組織は、オーストラリアに大学が新設されたときには、申請されたドメイン名をedu.auの下に登録しますが、シドニー大学に学科が新設されても何もしないわけです。 この、階層構造を反映したドメイン名と、委任の仕組みによって、インターネットで一意となる名前が簡単に用意できます。 例えば、オーストラリアのタスマニア大学(utas.edu.au)で、あるホストにwwwという名前をつけることはタスマニア大学のみの判断でできます。 そして、このドメイン名はwww.utas.edu.auなので、シドニー大学のコンピュータと名前が衝突することはないわけです。

DNS

ドメイン名からIPアドレスを割り出すには、どこかのコンピュータにその対応表を登録しておけばよさそうです。 しかし、ホスト名をどう付けるかは、基本的に各ドメインの管理組織に委任されていますから、その対応表もドメインごとに設置されることになります。 このばらばらの対応表を組み合わせ、ドメイン名からIPアドレスを割り出す(名前解決といいます)仕組みをDNSとよびます。 DNSのサービスを行うコンピュータ(プログラム)をDNSサーバ、またはネームサーバとよびます。

例えば、ブラウザの「場所:」入力欄に http://www.usyd.edu.au/ と入力したとします。 このとき、WWWサーバのドメイン名www.usyd.edu.auの名前解決までには、次のようなやり取りが行われます。

  1. ブラウザは、自分の組織のネームサーバに、www.usyd.edu.auのIPアドレスを問い合わせる。
  2. 自分の組織のネームサーバは、ルートネームサーバに、www.usyd.edu.auのIPアドレスを問い合わせる。
  3. ルートネームサーバは、auネームサーバのIPアドレスを答える。
  4. 自分の組織のネームサーバは、auネームサーバに、www.usyd.edu.auのIPアドレスを問い合わせる。
  5. auネームサーバは、edu.auネームサーバのIPアドレスを答える。
  6. 自分の組織のネームサーバは、edu.auネームサーバに、www.usyd.edu.auのIPアドレスを問い合わせる。
  7. edu.auネームサーバは、usyd.edu.auネームサーバのIPアドレスを答える。
  8. 自分の組織のネームサーバは、usyd.edu.auネームサーバに、www.usyd.edu.auのIPアドレスを問い合わせる。
  9. usyd.edu.auネームサーバは、www.usyd.edu.auのIPアドレスを答える。
  10. 自分の組織のネームサーバは、ブラウザにwww.usyd.edu.auのIPアドレスを答える。

ドメイン名の右から順番に解決していることに注意してください。 ただし、このやり取りは最悪の場合です。 実際には、ルートネームサーバがedu.auネームサーバのIPアドレスを知っていたり、edu.auネームサーバがwww.usyd.edu.auのIPアドレスを知っていたりしますので、もっと能率よく名前解決が行われます。


10.3 アンケート10

今日は、レポート課題を出す代わりに、授業内容に関するアンケートを行ないます。 以下の質問に答え、回答をkonishi@twcu.ac.jpあてにメールで送ってください。 メールには、学生番号、氏名、科目名、授業の日付けを明記してください。 アンケートに回答すれば、今日の授業に出席したものと見なします。

  1. 東京女子大学のドメイン名は twcu.ac.jp です。 これは、日本(jp)の、教育機関(ac)の、東京女子大学(twcu)ということです。 考えてみますと、教育機関の東京女子大学などど言わなくても、日本の東京女子大学、すなわち twcu.jp で良さそうです。 短い名前にはタイプ数を節約できる利点があります。 しかし、JPNIC(jp ドメインの管理組織)は第2レベルのドメイン ac を用意しました。 わざわざ ac ドメインを用意することにメリットがあるかどうか、自由に議論してください。

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2001年6月28日更新
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