これまでに多くのタグを学んできました。 これらを用いれば、色々なホームページが作れますし、それらにリンクを張って大規模なプレゼンテーション(リンク構造を持つホームページの集合体)を作成することもできます。 しかし、何の方針もなくプレゼンテーションを作ったのでは、読みにくく、たどりにくく、管理しにくいものができてしまいます。 ここでは、ある程度まとまった分量の文書をプレゼンテーションにする作業を想定し、そこで注意すべき点を説明します。
はじめに決めることは、文書をどのようにHTMLファイルに分けるかです。 ひとつのHTMLファイルでいいように思えるかもしれませんが、大きなファイルは転送に時間がかかります。 杉並区の人口を知りたいだけなのに、国勢調査の全データを20分もかけて転送されたのではたまりません。
もちろん、文書を細かく分けすぎてもいけません。 ひとつのホームページに一段落しか書いてなく、いちいち「次へ」をクリックしないと読み進められないような小説はうんざりでしょう。
文書の中で、内容のまとまりをうまくとらえ、それに従ってページ割りを行うようにしてください。
ページ割りをしましたら、次にリンク構造を考えます。 国勢調査のプレゼンテーションで、北海道、青森、岩手、と順にたどっていかないと東京のデータにたどり着けないのでは大変です。 また、小説のプレゼンテーションで、第1章のホームページに第7章へのリンクを張っても、あまり役に立ちそうにありません。
リンク構造では、階層構造と直線構造が基本になります。
階層構造は、ホームページを木の形に配置し、より詳しい内容を持つ(木の意味の)子のホームページにリンクを張る構造です。 これは、必要なデータを取り出してもらうプレゼンテーションに向いています。 国勢調査のプレゼンテーションでは、はじめに47都道府県へのリンク、東京都からは23区と市町村へのリンク、というような階層構造を用いるとよいでしょう。
直線構造は、ホームページを直線的に並べ、「次へ」アンカーと「戻る」アンカーで前後のホームページにリンクを張る構造です。 これは、順番に読み進んでもらうことを想定したプレゼンテーションに向いています。 小説のようなプレゼンテーションでは、直線構造を用いるとよいでしょう。
また、ナビゲーションリンクとよばれるリンクも重要です。 リンク構造の中で「迷子」になってしまった読者が、基準点に戻れるようにするリンクです。 基準点となるホームページをひとつ決め、すべてのホームページにそこへのアンカーを用意するのがよいでしょう。
適切にページ割りをし、分かりやすいリンク構造を設計しましたら、次はひとつひとつのホームページを読みやすいものにします。 マニュアルなどでは、情報さえ伝わればよいというつもりになり、文章をだらだらと書き連ねてしまいがちです。 しかし、文字がぎっしり詰まったホームページは、読む人をうんざりさせてしまいます。
などして、メリハリのあるホームページにしてください。 もちろん、やりすぎは逆効果です。 いくらほとんどの文章が重要だとしましても、太字だらけのホームページでは、読者はどこに注目すべきか分からなくなってしまいます。
また、スタイルの一貫性も重要な要素です。 例えば、新出語句を目立たせることは効果的ですが、第1章では太字にし、第2章では赤で書き、第三章では背景を黄色にし、としたのでは、読者は混乱するだけです。 新出語句は赤で書くと決めたなら、すべてのページでそれを守ってください。
なお、「新出語句は赤で書く」などの規則を気にしながらホームページを書くのでは、文書内容に集中しにくくなります。 スタイルシートを上手に用いますと、そのような規則をあまり意識せずに、ホームページが書けるようになります。
今皆さんが使っているシステムはUNIXとよばれているものの一種です。 UNIXを特徴付ける性質として、マルチユーザシステム(multi-user system)であることがあげられます。 マルチユーザシステムとは、複数の人が利用するための機能を備えたシステムのことです。 マルチユーザシステムの機能のおかげで、同じコンピュータを使っているにもかかわらず、
などといった保護がなされています。 ここでは、この保護機能について説明します。
UNIXでは、すべてのファイルとディレクトリに所有者(owner)があります。 つまり、ファイルとディレクトリは必ず誰かのものだということです。 ファイルやディレクトリの所有者は、コマンド ls -l や ls -l file を用いると確認できます。 (ls -l は、ファイルとディレクトリに関する詳しい情報を表示するコマンドです。)
b00a001@Ampere:~% ls Mail/ WABI/ WWW/ test.doc b00a001@Ampere:~% ls -l 合計 55 drwx------ 5 b00a001 other 512 4月 3日 3:07 Mail/ drwxr-xr-x 5 b00a001 other 512 4月 3日 3:09 WABI/ drwxr-xr-x 3 b00a001 school 1536 7月 13日 10:04 WWW/ -rw-r--r-- 1 b00a001 school 11776 6月 28日 14:23 test.doc b00a001@Ampere:~% ls -l test.doc -rw-r--r-- 1 b00a001 school 11776 6月 28日 14:23 test.doc b00a001@Ampere:~%
このうち、左から3番目が所有者を示します。 つまり、ファイル test.doc はユーザ b00a001 のものだということです。
なお、左から4番目は所有グループを示します。 グループ(group)とは、システム管理者が定めたユーザの集まりです。
前述の、友達の作ったホームページ(HTMLファイル)が読めるけれど書き換えできない理由は、システムがユーザに読む権利を与え、書く権利を与えなかったからです。 このような権利を、アクセス権(permission)とよびます。
ファイルに対しては、次の3種類のアクセス権があります。
ここで、ファイルを削除する権利は書き込み権に含まれます。 また、実行権はプログラムなどのファイルを想定しています。
ディレクトリに対しては、次の3種類のアクセス権があります。
これらのアクセス権が、所有者に対して、所有グループの人に対して、そしてその他の人に対して定まっています。 つまり、アクセス権は全部で9個あるわけです。 この9個をまとめてアクセス権モードとよびます。
前述の ls -l コマンドで、ファイルやディレクトリのアクセス権が確認できます。
b00a001@Ampere:~% ls -l 合計 55 drwx------ 5 b00a001 other 512 4月 3日 3:07 Mail/ drwxr-xr-x 5 b00a001 other 512 4月 3日 3:09 WABI/ drwxr-xr-x 3 b00a001 school 1536 7月 13日 10:04 WWW/ -rw-r--r-- 1 b00a001 school 11776 6月 28日 14:23 test.doc b00a001@Ampere:~%
一番左の10文字からなる文字列の、2文字目から10文字目までがアクセス権モードを示しています。 2, 3, 4文字目が所有者に対するr, w, xアクセス権、5, 6, 7文字目が所有グループの人に対するr, w, xアクセス権、8, 9, 10文字目がその他の人に対するr, w, xアクセス権です。 マイナス(-)は権利なしを意味します。
例えば、ファイル test.doc は、読み出しは誰でもできるが、書き込みは所有者のみできるということです。 また、ディレクトリ Mail に対しては、所有者は何でもできるが、所有者以外は何もできないとなります。
これではじめの保護機能が説明できます。
b00a001@Ampere:~% ls -l WWW/ex1.html -rw-r--r-- 1 b00a001 school 155 4月 20日 9:45 WWW/ex1.html b00a001@Ampere:~% ls -l Mail/inbox/1 -rw------- 1 b00a001 school 1482 4月 13日 10:25 Mail/inbox/1 b00a001@Ampere:~%
ホームページ(HTMLファイル)ex1.html は、すべての人に読み出し権が与えられていますので、友達も読めるのですが、書き込み権は所有者のみですので、友達は書き換えたり消したりできないのです。 また、1番のメール 1 は、所有者以外にアクセス権が与えられていませんので、友達は読むことすらできないのです。
ファイルやディレクトリのアクセス権は自分で変更できます。 これは、コマンド chmod mode file によって行います。 ここで mode は、アクセス権モードを示す3けたの数です。 この3けたの数の作り方は次の通りです。 はじめに、アクセス権r, w, xを表にしたがって数に置き換えます。 (2進数を知っていれば、この対応はすぐ理解できるでしょう。)
アクセス権 | 数 |
---|---|
--- | 0 |
--x | 1 |
-w- | 2 |
-wx | 3 |
r-- | 4 |
r-x | 5 |
rw- | 6 |
rwx | 7 |
そして、所有者に対して、所有グループの人に対して、その他の人に対してのそれぞれのアクセス権に対応する数を並べて3けたの数を構成します。
例えば、
b00a001@Ampere:~% ls -l -rw-r--r-- 1 b00a001 school 11776 6月 28日 14:23 test.doc b00a001@Ampere:~% chmod 600 test.doc b00a001@Ampere:~% ls -l -rw------- 1 b00a001 school 11776 6月 28日 14:23 test.doc b00a001@Ampere:~% chmod 444 test.doc b00a001@Ampere:~% ls -l -r--r--r-- 1 b00a001 school 11776 6月 28日 14:23 test.doc b00a001@Ampere:~%
はじめの変更で、ファイル test.doc は所有者以外の人が読めなくなります。 (他人に読まれたくないファイルもあるでしょう。) 次の変更で、このファイルは所有者が消したり書き込んだりできなくなります。 (間違って消してしまいたくない場合に有効です。 消したくなったら、アクセス権モードをもとに戻せばよいのです。)
なお、特に指定しないならば、新規のファイルやディレクトリのアクセス権モードは次のように決められます。
したがって、普通に使っているうちは、アクセス権モードにそれほど気を遣う必要はありません。
UNIXでは、スーパーユーザ(super-user)とよばれる特別なユーザが存在します。 スーパーユーザのユーザ名は、通常 root ですので、ルートともよばれます。
スーパーユーザはアクセス権を超えた存在で、システムに関するあらゆる権利を持っています。 たとえファイルのアクセス権モードが 000(所有者すら読み書きできない)であっても、スーパーユーザなら読んだり消したりできます。
システム管理者の業務のひとつに、ユーザの登録や削除があります。 管理者は、必要に応じてスーパーユーザに切り替わり、新入生に必要なファイルを用意したり、卒業生のファイルを抹消したりしているのです。
レポート(アンケートも含む)の提出に関するスケジュールは以下の通りです。
この授業の成績は、レポートの得点とアンケートの提出(出席点)で決まります。
成績に関して以下のような事情のある人はメールで連絡してください。 できる限り対処します。
情報科学センターのアンケートに答えてください。