第94回月例ロービジョン研究会

小田浩一, 2007/3/10

Eliana Sampaio氏の講演後の装置デモ

1. 概要

  1. 日 時:2007年3月10日 (土) 11:00-19:00
  2. 場 所:東京女子大学#8408コミュニケーション学科談話室
  3. 参加者:(敬称略五十音順)
    1. 麻野井千尋@NAT・元立教大学大学院
    2. 新井千賀子@杏林アイセンター
    3. 石橋 篤@視能訓練学校
    4. 稲葉悦子@北里研究所病院
    5. Eliana Sampaio@Conservatoire National des Arts et Metiers
    6. 小田浩一@東京女子大学・東京ライトハウス
    7. 梶本裕之@電気通信大学
    8. 楠紗代子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    9. 河野恵美@東京女子大学大学院・東京ライトハウス
    10. 小林章@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    11. 小林巌@東京学芸大学
    12. 鈴木理子@視能訓練学校
    13. 道面由利香@東京都盲人福祉協会
    14. 長原照子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    15. 中村仁美@東京女子大学大学院/駿河台日大病院眼科
    16. 保坂由美子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    17. 宮崎博子@東京女子大学大学院
    18. 山中今日子@東京女子大学
    19. 山本百合子@フォントデザイナ

* 東京ライトハウスは、視覚障害のある人への新しいサービスを模索・実施するNPOです。


2. プログラム

    特別講演:電気触覚ディスプレイと視覚障害への応用の先端研究

  1. Eliana Sampaio@Conservatoire National des Arts et Metiers
    "VISUAL-LIKE PERCEPTION WITH THE TVSS (Tactile-Vision-Substitution-System)"
    1960年代からのTVSSの歴史から始めて、1990年代2000年代と 面々と続いているTVSS研究の最先端研究をいくつか述べた。Journal of Visual Impairment and Blindnessの最新号に掲載されている論文や、 有名なBach-y-Ritaと行っている共同研究などを紹介した。
  2. 梶本裕之@電気通信大学
    「額装着型電気触覚ディスプレイを用いた視触覚変換システム」
    32列x16行の電気刺激matrixを額サイズにして触覚ディスプレイとした。その場合に 画像処理をしたり、電気刺激の特性をジェル膜でコントロールしたり、AR (Augmentative Reality)の文脈の最先端でどうなってきているかを述べた。 日本でも千葉盲学校、米国でも応用の可能性をテストしている。

  3. 一般講演:

  4. 石橋 篤@視能訓練学校
    「液晶の物性とディスプレイの性能の関係」
    液晶というものの物理的な性質について基礎を分かりやすく解説した。有機ELの方が 将来性はあるのではないか?
  5. 麻野井千尋@NAT
    「富山でのローヴィジョンケアについて−眼科医と患者さんの立場からー」
    富山にはロービジョンクリニックがない。資源は盲学校しかなく、 中途の視覚障害では歩行訓練も受けていないのが普通。そもそも富山の人は 歩かないけれど。そこで、実態調査をし、資源情報を集めて、オンラインで 提供しネットワークをつくりながら、富山県の底上げをやってみたい。 そこで、パイロット的にインタビューした結果を述べた-眼科医とロービジョンの当事者に 聞いた結果から何をしていくのかを議論した。
  6. 稲葉悦子@北里研究所病院
    「ローヴィジョン相談窓口の開設にあたって」 杏林で研修した後、北里研究所病院でロービジョン外来を開設する。 検査時の注意、照明はどのようなものを買ってもらえば良いか 最初にそろえるべき補助具、保険点数などに ついて開設時のヒントを交換した。
  7. 長原照子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    「高齢者を対象にした拡大読書器の導入訓練についての検討」 晴眼の高齢者10名(65-75歳)にロービジョン・シミュレーション(少数視力0.1+視野狭窄5度)をして、 読書評価をし、CCTVの訓練を行ってその全部で読書速度の変化を比べた。 CCTV表示の文字サイズは読書評価の臨界文字サイズを基準に被験者が よいサイズに調整した。読書材料は内容は天声人語、多段組などのない単純なレイアウト であった。1時間程度(60分、途中10分休憩x2)の訓練の効果は有意であった。 訓練の効果は、読書速度そのものでなく、 改行部分の操作時間の短縮と文頭の発見にかかる時間、文字や行の読み飛ばし減少 であった。複雑なレイアウトへの対応や、書きなどを考えると もう少し長い訓練が必要になるだろうが、高齢者でも比較的短時間で 訓練効果があることが分かったことは重要である(卒業研究)。
  8. 小林章@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    自律移動支援プロジェクト」(国土交通省)と
    障害者ITバリアフリープロジェクト」(経済産業省+NEDO)について(続報)
  9. 新井千賀子@杏林アイセンター
    「QOL評価によるロービジョンケアのアウトカム研究」
    ロービジョンケアの前後で2例についてQOL評価がどう変わったかを 調べた。QOL評価の仕方、とくに質問のし方に不安がある。アウトカムに QOL評価を使うことにもいろいろな工夫が必要なようだ。


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