第81回月例ロービジョン研究会

鈴木理子・小田浩一, 2005/10/8

1. 概要

下記の要領で開催します。

  1. 日 時:2005年10月8日 (土) 13:00 -19:00
  2. 場 所:東京女子大学#8408コミュニケーション学科談話室
  3. 参加者:(敬称略五十音順)
    1. 麻野井千尋@立教大学大学院
    2. 新井千賀子@杏林アイセンター
    3. 今井菜穂子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    4. 内野大介@七沢ライトホーム
    5. 小田浩一@東京女子大学
    6. 柏田真季子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    7. 角田亮子@神奈川リハビリテーション病院
    8. 楠紗代子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    9. 斎藤奈緒子@神奈川リハビリテーション病院
    10. 鈴木理子@東京女子大学大学院
    11. 仲泊聡@神奈川リハビリテーション病院
    12. 長原照子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    13. 保坂由美子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    14. 山中幸宏@アサクラメガネ
    15. 山本百合子@タイプデザイナ・グラフィックデザイナ
    16. 吉野由美子@高知女子大学

2. プログラム

  1. 吉野由美子@高知女子大学
    「ベトナムの視覚障害者事情」
    ホーチミン市立Nguen Dinh Chieu 盲学校、点字ブロックがあったが明るさ のコントラストはほとんどなかった(ベージュの字面にベージュの点字ブロッ ク)。寄宿舎にいながら大学に通う学生と会った。20名程度が専門学校短大を 含む高等教育を受けている。杖の振り方歩き方がしっかりしていた。午前中は教 科学習をするが、午後は日常生活訓練を毎日実施している。訓練するのは、NGO がオランダからO&M訓練士を招いて教員教育を行って。白い杖がシンボルであ るという認識は一般的ではない、特に地方ではそうである。全盲が2/3でロービ ジョンは1/3くらいだろう。コンピュータや点字プリンタなどは最新のものがそ ろっていた。ロービジョンへの対応については、あまり定かではなく、CCTVも 旧式のAladdinが1台あるだけで、あまり使用されている様子がなかった。弱視 用テキストや拡大鏡はショーケース戸棚の中で、寄付されたとおぼしき眼鏡が無 造作に積まれていた戸棚をみても利用されているようには見えなかった。訓練や 教育をすれば社会自立ができる人を優先して教育していた。キー・クワン・ハイ という視覚障害のある孤児(たいていは重複の子供たち)を収容した施設につい ても紹介した。ベトナムでは、1994年に特別に困難を持つ(戦争孤児、枯れ葉 剤の被害者、極貧、児童労働の被害者)子供達に救護と教育に関する手だてをす る法律ができた。この法律は、1980年ごろからの国連の一連の障害や人権につ いてのキャンペーンでの発想に基づいているので、むしろ日本など先進国のもの より優れている面がある。2010年までにすべての子供たちを就学させるという 計画がある。政府の発表では、すでに50%が就学していることになっている が...
  2. 鈴木理子@東京女子大学大学院
    「視野が狭いとき文字を大きくすると読みやすさは改善するか?」
    視野内に4-5文字同時に見えることが読みの効率を維持するのに重要だという ことは良く知られているが、文字サイズを変更しても同じだろうか? CCTVで有名な森田さんは別の考えを主張している。それを実験的に 調べてみた。日本ロービジョン学会と視覚障害リハビリテーション協会 の合同会議で報告した内容に少し加えたもの。論文にする前なので 詳細は割愛。
  3. 麻野井千尋@立教大学大学院
    「関節の運動量が歩行印象に与える効果」
    biological motionに関して、修士論文にまとめる予定の3つの実験をまとめた。 論文にする前なので、詳細は 割愛。歩行行動の分析に応用できないかとも考慮中。
  4. 新井千賀子@杏林アイセンター
    「成育医療センターにおける小児ロービジョンケア」
    国立特殊教育総合研究所の研究員として、2003/1〜2005/6の間に 生育医療センターで行った52回の相談109例のべ147件についての概要。 日本ロービジョン学会と視覚障害リハビリテーション協会 の合同会議で報告した内容に少し加えたもの。論文にする前なので 詳細は割愛。
  5. 山中幸宏@アサクラメガネ
    「メガネとロービジョン」
    糖尿病性網膜症で白内障が出ているロービジョンの患者さん、視力が0.2く らいで、術前は近視でもあり10cmの視距離で新聞が読めていた。白内障の手術 で眼内レンズを5m遠見で入れてしまい、手術で白内障がなくなったので明るく なったでしょうという医療の期待は、視力0.2のロービジョンで近いところで見 られなくなって眼鏡なしに新聞が読めなくなってしまった患者が文句を言うとい う結果にうらぎられる。屈折矯正、ロービジョン、視距離、接近による拡大、 読みのニーズを理解することが大事だという事例など、屈折と眼鏡(最近の いろいろなタイプの眼鏡)を中心に したロービジョンの問題を紹介。オートレフの結果でも、角膜局率のデータを 合わせて屈折値が妥当かどうかを読み取る方法も紹介。

(c) All rights reserved by members of the monthly low vision meeting at twcu. Any comments should be directed to Koichi Oda(k-oda@twcu.ac.jp