ARVO2000報告-その(2). 小田浩一、 Minnesota Low Vision labの報告の追加分 Ortiz, A. Mansfield, J.S., Legge, G.E. (2000). Are letters recognized independently? Temporal profiles of letter recognition in central and peripheral vision. IOVS 41(4), S436 0.5 度のサイズの文字を、1文字(字一つ)であるいは、3文字ならべて (trigram)表示し、呈示時間を8〜800ミリ秒(ms)変化させながら、認識閾を測定 した。呈示位置は、中心窩と左右に0〜7文字分離れた周辺視野であった。被験者 は晴眼者。結果は、字一つの成績が常にもっともよかった(その差は、中心 3-12ms。周辺では、9-93ms)。trigram の中心の文字のpsychometric function の傾きは、字一つのときの半分程度であった。考察としては、いわゆるvisual span内であっても、個々の文字の認識は独立にならず、回りから影響を受ける。 文字の大きさは、今回視力限界よりずっと大きなサイズだったのにも関わらず、 ということである。 Mansfield, J.S. and Legge, G.E. (2000). Information capacity for letter recognition and reading in central and peripheral vision. IOVS 41(4), S436 3文字からなるランダムな英語の文字列を中心視野、5, 10, 20°の下側周辺視野 に呈示して、呈示時間を25〜500msに制御して認知を調べた。文字サイズは、そ れぞれの位置で臨界文字サイズをこえるようにした。正答率のデータを、英語文 字のconfusion matrix をもとに、伝達された情報量に変換した(ポスターでは、 結局のところは、英語はアルファベット26文字からなるので、1文字当たり5ビッ トくらいという、もっとシンプルな数字を使っていたように思われた)。この情 報量で比較すると、中心視野での単位時間あたりの伝達情報量は、周辺視野に比 べて大きく、平均的な単語長から読書速度に変換してみると、周辺視野での読書 困難を予測させるものであった。非常に大雑把にいうと、視野の偏心度ごとに調 べたvisual span のデータから情報伝達速度という中継地点を経て、間接的に読 書速度のデータに変換しようという試みを紹介したポスターと言うことができる。 Bruggeman, H. Giudice, N. Stankiewicz, B.J. and Legge, GE (2000). Distal target localization by the blind. IOVS 41(4), S431 将来の視覚障害者用のナヴィゲーションエイドの開発にむつびつけるために、全 盲の人間が手持ち型の装置をつかって、建物内の目印をどの程度みつけることが できるかを調べた実験。目隠しをした晴眼の被験者が、知らない部屋で 2.8m離 れたところにある目標物を探し出し、それを触るという課題。被験者は、懐中電 灯を持っており、それが目標を照射したときには、実験者が声で命中をフィード バックした。懐中電灯のビームの幅は、0.25, 9, 35, 73 °の4種類だった。目 標物の大きさは、1, 5, 25インチの3種類であった。目標物を定位するまでの時 間と、それに触るまでの時間の2つを測定した。結果は、定位時間には、ビーム 幅の主効果があった(目標物のサイズは影響しなかった)。つまり、ビーム幅が 広い2つが定位の時間が短かった。触るまでの時間は、ビーム幅と目標物のサイ ズの両方の影響を受けた。触るときには、ビーム幅は、35°がベストだった。定 位と触る課題の両方に都合がよいのは、35°のビームであった(一番大きいもの がつねによいとは限らない)。