ARVO報告 小田浩一, 2000/5/26 223-B223 Stankiewicz, B.J., Legge, G.E., Mansfield, J.S. (2000) Optimal navigation strategies with varying visual input. IOVS 41, S44. 日曜の夕方ポスター撤去時間に飛び込んだのでこのセッションではこれだけ。 16x 16(not sure?) の碁盤の目状の廊下を想定し、そこから、ランダムに連続し た廊下を選んで仮想の廊下からなる空間を作り、コンピュータグラフィックスで CRTディスプレイに表示して、自由にあるき回れるようにする。移動は、90°ご との回転、前方への1ユニット分の移動に限られ、被験者のキー押しで行われ、 記録される。課題は、ある出発点から、ある目標地点まで移動すること。見通し のできる範囲をグラフィックスで処理したblurにより1ユニット(廊下と交差点 のどちらもユニット)前方までしか見えないロービジョン状態と32ユニット先ま で見通せる晴眼状態とで、成績を比較した。理想観察者モデル(コンピュータモ デル)を作り、同じ条件でどう動くか調べた。結果は、ロービジョン状態では後 戻りが多く起るが、これは理想観察者モデルでも同じだった(もっとあったのに 思い出せない。ううううう!)。 4226-B173 Li, L. Peli, E., and Warren, W.H. (2000) Heading perception of tunnel-vision patients. IOVS 41, S797 (w/ handout) optic flow パターンを見せつつ、身体運動方向(heading direction)あるいは、 optic flow の中心(Focus of Expansion とhandoutにはある)を答えさせる課題 で、被験者の視野を求心性視野狭窄型に制御した。被験者は晴眼と求心性視野狭 窄のあるRP患者、それぞれ4人。結果は、RPの患者もFOEをちゃんと見つけること ができるし、晴眼の人でも視野を狭くするとそれが難しくなるということであっ た。刺激には、地面のある水平線のようなものと、ランダムドットのものとあっ たが違いはなかった。 4230-B177 Kitazaki,M. and Takao, S. (2000) Postual sway from flickering bi-directional motion with attentional tracking. IOVS 41, S797 身体動揺は運動刺激で誘導されるが、さまざまな空間周波数のサイン格子 (sine grating)の反対位相の対をフリッカさせたあいまいな運動刺激を見せて、 どちら方向にも運動が見えるような課題を課しつつ、被験者には、どちらの運動 が見えているかを報告させながら重心動揺を測定したところ、被験者が注意して いる運動方向と一致する動揺が観察された。空間周波数やフリッカの時間周波数 による組織的傾向はみられなかった。 4235-B182 Rushton, S.K. and Rosenthal, A. (2000) Visually guided locomotion and the use of perceived egocentric direction. IOVS 41, S798. 視覚的目標に向かっての移動は、optic flow 直接というより、自己から見て目 標がどの方向にあるか(ego-centric direction of the targe)よって制御されて いるという研究をすすめたもの。障害物があったりすると回避する移動があるで しょ?だから、optic flow から直にではないんだというような見解だったよう に見受けた。何度か見に行ったが、いつも人が多くて、けっきょくきけず、ポス ターもみられず。 4236-B183 Philbeck, J.W. and Loomis, J.M. (2000) Large errors in a visually directed walking task. IOVS 41, S798. (w/ handout) 被験者の前方4m 〜10mの間のどこかに206cmのポールを寝かせておく。ポールの 方向は、被験者の移動方向と同じか、あるいは垂直に置いてある。被験者は、こ れを観察してから目隠しをし、(1). そのポールの置いてあった地点まで歩き、 つづいてポールの長さ分だけ歩く、ないしは、(2). 最初からポールの長さ分だ け歩く。ポールのあった地点までの歩行は比較的誤差が少ないが、ポールの長さ 分だけあるくという課題については、倍以上に課題評価された。(ポスターでは、 ポールを2本たてて、ポールと同じ長さ分だけ離しておき、それぞれのポールに 直接歩く課題をすると、その誤差は1本のときと同様に少ないということも示し ていた)。歩くという方法で評価する場合、距離についての評価は比較的正確だ が、長さについての評価は、非常に誤差が大きい。 Floyd, R.A. and Dain, S.J. (2000) Heterochromatic brightness matching and flicker photometry in poor readers and normal controls (w/ handout) 読書障害(dyslexia と呼ばずにspecific reading disability: SRDと呼んでいた) では、M細胞系の機能障害が関係すると言われているが、この研究では、異色間 明るさマッチング課題を使って、P細胞系の関与があることを明らかにした。標 準比視感度曲線(standard photopic luminous efficiency -> handout では、 Relative luminance efficiency function: RLEF) では、フリッカー法で交代す る色刺激の明るさ比較をして求めたものと、MDB(minumal distinct border )法 や同時比較で求めたものに違いがある。同時比較では、M&Pの両方の細胞が関与 している一方で、フリッカー法はM細胞がもっぱら関与する。そこで、同時比較/ フリッカー法の比率を求めると、P細胞系の活動分を求めることができる。30人 の読書障害の被験者と年令・性別・学年をマッチした30人の正常な被験者で、同 時明るさ比較とフリッカー法を実施した。結果は、赤と青について、正常者と読 書障害の被験者では、比率に違いがみられたので、P細胞系の関与を疑うことが できるというもの。 Rovamo, J.M. and Melmoth, D.R. (2000) Double scaling normalises forveal and extrafoveal letter recognition. (w/ handout) 周辺視野での文字認知では、周辺視野での視力低下分を勘定に入れても説明でき ない低下があるという研究があるが、その場合には、コントラストの低い文字が 使われていた。そこで、周辺視野での視力低下とコントラスト感度低下を測定し、 文字認知の成績低下をその2つの低下分で説明できるか検討した。被験者は2名 の正常者。結果は、サイズとコントラストの感度低下を勘定にいれると100%周辺 視野での文字認知の低下を説明できるというもの。 Stewert, C.E. and Winn, B. (2000) Contour interaction in the central and peripheral field of subjects with amblyopia. (w/ handout) 字詰まりの程度と視野の偏心度と弱視(amblyopia)のタイプの関係。E2値(閾値 が倍になる角度)は、晴眼者と弱視の正常眼で同じだが、弱視眼で大きい。つま り、中心視での感度低下(字詰まり)があることを意味している。文字間隔を横 軸、たてに文字サイズの増分、パラメータを偏心度にした図を見ると、晴眼者と 正常眼では同じだが、弱視では中心視で特に字詰まりがあることが分かった。 Kozma, P., Kiorpes, L. and Movshon, J.A. (2000) Contour integration in amblyopic monkeys. (w/ handout) 3 c/d のGaborパッチを 視角1.6 °の間隔で配置した刺激。一部に円形にならべ たターゲットを配置し、ノイズとして、いろいろな方位のパッチを配したもの。 Macaca nemestrina に実験的に不同視弱視、斜視弱視をつくって被験体にし、円 の検出をさせた。実験では、ノイズパッチの数を変更したり、円を作っているパッ チの方位を円周の方位と少しずつずらしてその影響を見た。図は、横軸が、パッ チの円周方位とのずれの角度、縦軸がノイズパッチの数。弱視眼では、一般に感 度低下がある(ノイズに弱い)。刺激のコントラストを下げると、一般に感度低 下があるが、弱視眼での低下は、斜視弱視眼でみられたが、不同視弱視眼ではみ られなかった(と言っても、まだデータが少ない)。