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情報処理技法(リテラシ)I 第4回

目次
索引

インターネット

インターネットとは

インターネット Internet )とは、世界各地のコンピュータ・ネットワークを相互接続して構成された、地球規模のコンピュータ・ネットワークです。 ここで、 コンピュータ・ネットワーク computer network )とは、コンピュータ同士がデータ通信を行うためのシステムです。 コンピュータの話であることが明らかなら、コンピュータ・ネットワークを単にネットワークと呼びます。 インターネットと対比して、会社、学校、プロバイダなど、組織内のネットワークを LAN (Local Area Network)と呼びます。

インターネットのイメージ
インターネットのイメージ

インターネットにおけるサービス

インターネットを利用したデータ通信の種類を、 サービス service )と呼びます。 インターネットにおけるサービスとして、電子メールやWWWがあげられます。 言い替えれば、インターネットは電子メールやWWWなどのサービスを提供するための基盤です。

IPアドレス

IPアドレス IP address )とは、インターネットに接続されたコンピュータに割り当てられる番号です。 ここでIPとは、 インターネット・プロトコル Internet Protocol )の略です。 プロトコルという専門用語は、通信規約という意味で使われています。

原則として、それぞれのコンピュータには異なるIPアドレスが割り当てられます。 IPアドレスは、インターネットの中からコンピュータを特定するのに使われます。

例えば、東京女子大学のWWWサーバのコンピュータのIPアドレスは「203.180.136.86」です。 IPアドレスの書式は、0から255までの範囲の数をドット(.)で区切って4つ書き並べたものです。

ドメイン名

インターネットに接続されたコンピュータには、IPアドレスという固有番号がついています。 しかし、IPアドレスは人間にとっては覚えにくいものです。 できれば、コンピュータに名前をつけ、その名前でコンピュータを指定したいところです。 そのためには、次の問題を解決する必要があります。

前者はドメイン名という概念によって、後者はDNSという仕組みによって実現されています。

ドメイン名 domain name )とは、インターネットにおいて住所の役割を果たす文字列です。 ドメイン名は階層構造を持ちます。 具体的には、狭い順に階層の名前を並べ、各階層をドット(.)で区切ります。

例えば、東京女子大学のドメイン名は「twcu.ac.jp」です。 これは、日本(jp)の研究教育機関(ac)の東京女子大学(twcu)という階層構造を表しています。 また、東京女子大学情報処理センターのドメイン名は、「cis.twcu.ac.jp」です。 日本(jp)の研究教育機関(ac)の東京女子大学(twcu)の情報処理センター(cis)という階層構造です。

ドメイン名の階層構造
ドメイン名の階層構造

東京女子大学のWWWサーバのコンピュータに「www」と名前をつけた場合、このコンピュータは「www.twcu.ac.jp」という名前で特定できます。 東京女子大学情報処理センターのWWWサーバのコンピュータに、同じ「www」という名前をつけても大丈夫です。 このコンピュータは「www.cis.twcu.ac.jp」で特定できます。 なお、「www.twcu.ac.jp」や「www.cis.twcu.ac.jp」はコンピュータの名前ですが、これもドメイン名と考えます。

ドメイン名の具体的な割り当ては次の通りです。 まず、階層構造の一番上のドメイン名(トップレベルドメインとよばれます)には、主に以下のようなものがあります。

com
主に営利を目的とした組織
edu
アメリカの教育機関
gov
アメリカの政府機関
net
主にネットワークを運営している組織
org
主に営利を目的としない組織

トップレベルドメインには、この他に国別のドメイン名があります。 日本の場合は「jp」です。 ドメイン名「jp」の下には、主に以下のようなドメイン名があります。

ac.jp
日本の教育機関
co.jp
日本の会社組織
go.jp
日本の政府機関
ne.jp
日本のネットワーク運営組織
or.jp
日本の各種組織

ドメイン名「jp」の下には、この他に都道府県を表すドメイン名(地域型JPドメイン名)や、自由に付けられるドメイン名(汎用JPドメイン名)があります。

クライアントとサーバ

インターネットにおけるサービスの実現方式には、いくつかのパターンがあります。 その中で基本的なのが、クライアント・サーバ・システムです。 クライアント・サーバ・システム client-server system )とは、クライアントがサーバに何らかのリクエスト(要求)を送信し、そのレスポンス(応答)を待つというパターンです。 ここで、 クライアント client )とは、データを要求する側のことで、 サーバ server )とは、データを提供する側のことです。

クライアントとサーバ
クライアントとサーバ

どのようにリクエスト(要求)を送り、どのようにレスポンス(応答)を返すかは、それぞれのサービスごとに通信規約として決まっています。 この通信規約を、そのサービスの プロトコル protocol )と呼びます。

メールにおけるクライアントとサーバ

上記は抽象論でしたが、最初に、電子メールについて具体的に話します。 まず、電子メールはインターネットにおけるサービスの一種です。 そして、電子メールはクライアント・サーバ・システムに基づいています。 メール送信のためのプロトコルは、 SMTP (Simple Mail Transfer Protocol)と呼ばれます。 メール受信のためのプロトコルは、 POP (Post Office Protocol)と呼ばれます。

電子メールのためのクライアント・ソフトウェアは、メール・ソフトと呼ばれたり、メーラーと呼ばれたりします。 WindowsではOutlook ExpressやWindows Mail, Windows Live Mail, Mac OS XではApple Mailが標準のメール・ソフトです。 また、フリーソフトではMozilla Thunderbirdが有名です。

電子メールのためのサーバは、 メール・サーバ mail server )と呼ばれます。 特に、SMTPのためのサーバをSMTPサーバと呼び、POPのためのサーバをPOPサーバと呼びます。

メール・ソフトで電子メールを送信する場合、メール・ソフトはSMTPサーバに対して、「こういう内容のメールを送れ」というリクエストを送ります。 すると、SMTPサーバはメール・ソフトに対して、「了解」というレスポンスを返します。

メール・ソフトとSMTPサーバ
メール・ソフトとSMTPサーバ

メール・ソフトで電子メールを受信する場合、メール・ソフトはPOPサーバに対して、「たまっているメールをくれ」というリクエストを送ります。 すると、POPサーバはメール・ソフトに対して、レスポンスとして、たまっているメールの内容を返します。

メール・ソフトとPOPサーバ
メール・ソフトとPOPサーバ

Webにおけるクライアントとサーバ

続いて、Webについて具体的に話します。 まず、Webはインターネットにおけるサービスの一種です。 そして、Webはクライアント・サーバ・システムに基づいています。 Webのためのプロトコルは、 HTTP (HyperText Transfer Protocol)と呼ばれます。

Webのためのクライアント・ソフトウェアは、Webブラウザと呼ばれます。 WindowsではInternet ExplorerやEdge, Mac OS XではSafariが標準のWebブラウザです。 また、フリーソフトではMozilla FirefoxやGoogle Chromeが有名です。

Webのためのサーバは、 Webサーバ web server )と呼ばれます。

WebブラウザでWebページを閲覧する場合、WebブラウザはWebサーバに対して、「このURLのWebページをくれ」というリクエストを送ります。 すると、WebサーバはWebブラウザに対して、レスポンスとして、そのURLのWebページの内容を返します。

WebブラウザとWebサーバ
WebブラウザとWebサーバ

IPv6

IPアドレスは、256×256×256×256=約40億通りあるので、計算上は約40億台のパソコンまでインターネットに接続できます。 しかし、最近、このIPアドレスも使い尽くしてしまいました。 近い将来、インターネットは IPv6 (アイピーブイシックス)と呼ばれる規格に移行するでしょう。

IPv6におけるIPアドレスの具体例は、「2001:db8::1」です。 このように、0〜9とa〜fの1〜4桁の文字列を最大8つ並べ、それらをコロン(:)で区切ります。 IPv6では、億や兆をはるかに超える数のIPアドレスができるので、それらを使い尽くすことはありません。

クラウド・コンピューティング

インターネットが普及していなかったころ、パソコンの使い方としては、必要なソフトをパソコンにインストールし、データをパソコンに保存するのが一般的でした。 インターネットが普及した現在、パソコン・ソフトの代わりにインターネット上のサービスを利用し、データもインターネット上に保存するということが可能になりました。 このようなパソコンの使い方を、 クラウド・コンピューティング cloud computing )と言います。 「クラウド」とは「雲」のことですが、ネットワーク業界ではインターネットを雲の形で表現するので、このような名前がつきました。

クラウド・コンピューティングには利点と欠点があります。 利点は、高性能のパソコンが要らなくなり、インターネットに接続できるパソコン(またはスマートフォンやタブレット)で間に合うことです。 また、世界中のどこからでも自分のデータにアクセスできるので便利です。 欠点は、サービスを提供している会社が倒産すると、そのサービスを利用できなくなることです。 倒産しなくても、その会社がサイバー攻撃を受けて、自分のデータが盗まれてしまうことも考えられます。 近い将来、クラウド・コンピューティングが常識になるかもしれません。 利点と欠点を理解して、クラウド・コンピューティングを行うようにしてください。


参考文献


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2018年5月2日更新
小西 善二郎 <konishi@cis.twcu.ac.jp>
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