2000 年夏季視覚学会に申し込んだ発表要旨 ----- 1. 著者 川嶋英嗣・小田浩一 Hidetsugu KAWASHIMA and Koichi ODA 2. 所属 東京女子大学・コミュニケーション学科 Tokyo Woman's Christian University, Dept. of Communication 3. 題名 中心視野障害のあるロービジョンとそれ以外のロービジョンは違うか? Is low vision with central field loss different from the other types of low vision? 4. 抄録 中心視野障害は読書に大きな影響を及ぼすが,その有無によってどのような読書成績 の違いが起こるのかは不明な点が多い.本研究では漢字仮名混じり文とランダムに配 置された平仮名単語の刺激を用いて,晴眼,中心視野障害のあるロービジョン,ない ロービジョンを対象に,文字サイズ別に読書速度の測定をおこない読み刺激間の成績 の比較をおこなった.全ての被験者に共通して,漢字仮名混じり文の最大読書速度は 平仮名単語よりも上回っていた.しかし文字サイズが小さくなったときの読書速度の 低下の仕方については,晴眼と中心視野障害のないロービジョンでは漢字仮名混じり 文の方がより大きい文字で読書速度が落ち始めたのに対して,中心視野障害のあるロ ービジョンでは逆の傾向を示し,中心視野障害の有無で異なっていた.この結果は周 辺視野の読書に関する先行研究の知見では説明できず,中心視野障害の読書への影響 とは単純な中心と周辺視野の違いだけではなく,別の側面があることが示唆された. 5. 連絡先 川嶋英嗣 (kalbi@twcu.ac.jp) あるいは,小田浩一(k-oda@twcu.ac.jp) 6. 特記事項  とくになし,ポスターを想定 ----- 1. 著者 尾形真樹#,小田浩一,田中恵津子**,西脇友紀**,忍足和浩**, 樋田哲夫**,藤原隆明** Masaki OGATA, Koichi ODA, Etsuko TANAKA, Yuki NISHIWAKI, Kazuhiro OSHITARI, Tetsuo HIDA, and Takaaki FUJIWARA 2. 所属 #東京都盲人福祉協会,*東京女子大学コミュニケーション学科, **杏林アイセンター # Tokyo Metropolitan Welfare Association for the Blind *Tokyo Woman's Christian University, Dept. of Communication ** Kyouin Eye Center 3. 題名 求心性視野障害に伴う暗順応機能の低下 Degraded dark adaptation accompanied by peripehral field loss 4. 抄録 網膜色素変性症(Retinitis Pigmentosa:以下RP)の症状として,桿体の機能低下 が原因である求心性視野障害,暗順応障害,また白内障の併発が原因である羞明 が知られる.求心性視野障害は人工的視野制限によりシミュレーションが可能だ が,暗順応障害については難しい.しかし同様に視野制限し,網膜上の桿体が多 い部分への入力制限で,暗順応障害シミュレーションも可能ではないかと考えた. 本研究では,中心直径1,3,9度の人工的視野制限がある場合とない場合の晴眼 者の暗順応を測定し,完了までの速度と完了時の光覚閾値を求め,視野面積の制 限のみでどこまでRPの暗順応障害シミュレーションが可能かを検討した.その結 果,視野制限を行った場合,視野制限のない場合より暗順応完了時の光覚閾値が 悪かった.すなわち,周辺視野を遮蔽することにより,レベルの異なる暗順応障 害を引き起こすことができる. 5. 連絡先 尾形真樹 (kaneshin@twcu.ac.jp) あるいは,小田浩一(k-oda@twcu.ac.jp) 6. 特記事項  とくになし,ポスターを想定 ----- 1. 著者 田中恵津子*・小田浩一#・西脇友紀*・川嶋英嗣#・平形明人*・ 樋田哲夫*・藤原隆明* Etsuko TANAKA, Koichi ODA, Yuki NISHIWAKI, Hidetsugu KAWASHIMA, Kazuhiro OSHITARI, Akito HIRAKATA, Tetsuo HIDA, and Takaaki FUJIWARA 2. 所属 *杏林アイセンター、#東京女子大学コミュニケーション学科 # Tokyo Woman's Christian University, Dept. of Communication * Kyouin Eye Center 3. 題名 片眼性の視力障害が読書におよぼす影響 -低視力シミュレーションによる読書速度の計測- Effect of unilateral visual impairment on reading - measurement of reading speed with low vision simulation - 4. 抄録 片眼(優位眼)を人工的に低視力にしたときの読書パフォーマンスを、正常視力 下の読書と比較する。視力については,他眼が低視力であっても,両眼視になる と視力が向上することが知られている(Cagenello and Arditi, 1993)が,読書 課題でも同様に加算が起こるのか.あるいは,視野闘争の結果読書パフォーマン スは低下するのか.MNREADJチャートを使い文字の大きさを変えたときの音読速 度を,正常視力の単眼,正常視力の両眼,正常視力と低視力の両眼,の条件でそ れぞれ計測した.結果を比較すると,ぎりぎり文章として読める最小の文字サイ ズ(読書視力)は,他眼の視力の高低にかかわらず単眼視より両眼視でパフォー マンスが高かった.反対に,最大読書速度が出る最小文字サイズは,他眼が低視 力の場合,単眼視よりもパフォーマンスが下がる傾向がみられた. 5. 連絡先 田中恵津子 (etst@twcu.ac.jp) あるいは,小田浩一(k-oda@twcu.ac.jp) 6. 特記事項  とくになし,ポスターを想定 -----