第86回月例ロービジョン研究会

宮崎博子・小田浩一, 2006/4/21

1. 概要

  1. 日 時:2006年4月8日 (土) 13:00-18:00
  2. 場 所:東京女子大学#8408コミュニケーション学科談話室
  3. 参加者:(敬称略五十音順)
    1. 浅川香@東京女子大学大学院
    2. 阿佐宏一郎@横浜国立大学環境情報学府博士課程
    3. 新井千賀子@杏林アイセンター
    4. 今井菜穂子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    5. 尾形真樹@杏林アイセンター
    6. 小田浩一@東京女子大学
    7. 楠紗代子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    8. 河野恵美@東京女子大学大学院
    9. 小林章@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院
    10. 佐渡一成@仙台佐渡眼科<--初参加・ナイトセッション
    11. 田中千尋@立教大学心理学科
    12. 道面由利香@東京都盲人福祉協会
    13. 長原照子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    14. 那須優子@医療ジャーナリスト・東京大学大学院医学系研究科客員研究員
    15. 福田暁子@Disabled People's International <--初参加・特別講演
    16. 保坂由美子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    17. 宮崎博子@東京女子大学大学院
    18. 宮地泰造@東海大学<--初参加・特別講演
    19. 山本百合子@タイプデザイナ・グラフィックデザイナ

2. プログラム

  1. 長原照子さん@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    RE:view 37巻1号に掲載されていたRichard L.WelshのRussell Williamsとの対談 「Inventing Orientation and Mobility Techniques and Teaching Methods」の紹介
    Russell Williamsは第二次大戦の傷痍軍人として自分自身が失明し、自らのリハビリの課程の中から Orientation & Mobility(日本で言う歩行訓練)のテクニックを開発し、 また他者に教育をした功労者。その人との対話から、個人史的にO&Mの歴史をまとめたもの。 まずは、肢体不自由者用の短い杖ではじめたこと、 当初Hooverの指導で混乱したなどの面白い逸話がある。Valley ForgeとAvonなどで始まっていた手探りのプログラムを 渡り歩いたことで、ユーザから見て何が有効かを理解して1948年には自らリハビリのスタッフになった。 そのころから長杖に変わっていき、いろいろなO&Mのテクニックを集大成していった。
  2. 特別講演(1)
    宮地泰造さん@東海大学
    「超音波スピーカー(パラメトリックスピーカー)の応用について」
    2つの周波数の異なる波が出会うとモアレや干渉、あるいはうなりと呼ばれる現象がおき、その周波数の 差の周波数の波が生じる。この原理を使って超音波音源(スピーカー)1つで2つ(以上)の通常は聞こえない 音を干渉させて、スピーカの真ん前の聴者の耳のところで可聴音がするようにするシステム。これを 交通バリアフリーやITSなどへ応用する可能性を考えてみた。
  3. 特別講演(2)
    福田暁子さん@DPI
    「DPI(障害者インターナショナル)アジア太平洋開発事務所のプロジェクト」
    彼女が米州開発銀行からDPIのアジア太平洋地域オフィスでどんな仕事をしているかを 紹介した。DPIは、当事者団体として世界的に重要なNGO。 障害のある人たちの自助団体の育成、障害のある女性の問題、 建物・交通のアクセシビリティ、経済的自立などを重要な課題としている。 (中略)アジア太平洋地域オフィスはタイのバンコクにあり、一日中何がしか 食べている。ともかく食べ続けている。実はアジアでは、Dietが結構深刻な問題。 仕事がうまくいくようにするためには、まず豚の頭を買って来て祈る。 耳などは食べる。どこのオフィスでもしている。
    この後活発な議論がありましたが割愛しました。 DPI全体の公式ページや、 アジア太平洋開発事務所の公式ページや、 日本のDPIのページが公開されています。
  4. 小林章さん@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院
    1. HIDライトの紹介
      相変わらずライトの話ですが、以前高知県立盲学校の生徒さんで色変の人に 業界ではかなり明るいと言われているウルトラスティンガーでも暗いと言わ たことがあります。その人は体格も良く、片手でウルトラスティンガーと もう1本別の明るいライトを取って、丁度いいと言っていました。 それ以来、人によっては多少重くても照度の大きなライトが必要だと思い探していた ところ、あるページで発見し、職場で購入しました。 HIDはHigh Intensity Discharge bulb の略で、高出力が一番の特色です。 一般的には車に使われます。フィラメントがないので、バルブの寿命が長いのと 今回購入したライトはリチウムイオン電池を使いランタイムが2時間程度もつので 重いですが実用性が高いです。
      HIDライト: 最近 車のヘッドライトが白くて明るくなってきてますが、同じ原理です。すごく眩しい。 持っている人はいいかもしれませんが、反対側から歩いてくる人はたまらないでしょうねぇ....
    2. やっぱり低かった高倍率ルーペの等価度数
      私の毎度の話題ですみませんが、これまで測定ができなかった高倍率のレンズ度数を 計れるレンズメジャーが手に入ったので、76Dとか56Dとか言われて売られているスタ ンドルーペの実際の度数を測ってみました。 びっくりする結果でした。
      #coil 4212, 4215, 4220 のweb上の情報には二種類の数字が出ていて、 低い方が実態に近かった。また、Eschenbachのライト付きルーペには虚像までの 距離と、必要なレンズ加入度数が明記されている英語のページがあった! こういう情報は、日本語でも公開されてほしい。
    3. 自立支援法の中の視覚障害生活訓練(専門職)についての規定
      自立支援法については未だ不透明な部分が多いですが、視覚障害者のリハサービスに ついて、ほんの一部ですが規定することが検討されているようなので、その部分を ご紹介します。
  5. 以下は次回に持ち越し

  6. 山本百合子さん@タイプデザイナ・グラフィックデザイナ
    見やすさを客観化する為の試み
    眼鏡箔をかけた撮影画像と画像処理ソフトウェアによるぼかし加工の比較
  7. 那須優子さん@医療ジャーナリスト・東京大学大学院医学系研究科客員研究員
    ロービジョンの機能評価をどのように行うべきか
  8. 尾形真樹さん@杏林アイセンター
    外来における Orientation & Mobility.

3. 懇親会

今回は、懇親会に佐渡一成さん@佐渡眼科が話題「目薬の小瓶を視覚を 使わないで区別させる試み」のその後のサンプルをもって参加されました。
ref: 佐渡一成:点眼容器識別の新しい試み, 眼科紀要 54:647-651,2003.
参加者は16人の大人数に なりました(その後有志で井の頭公にて夜桜を愛でました)。


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