第82回月例ロービジョン研究会

鈴木理子・小田浩一, 2005/11/12

1. 概要

下記の要領で開催します。

  1. 日 時:2005年11月12日 (土) 14:00 -18:00 #大学祭を楽しんでもらう意味もあって少し開始を遅らせました。
  2. 場 所:東京女子大学#8408コミュニケーション学科談話室
  3. 参加者:(敬称略五十音順)
    1. 阿曽沼早苗@大阪大学<--初参加
    2. 新井千賀子@杏林アイセンター
    3. 安藤 伸朗@済生会新潟第二病院眼科
    4. 内野大介@七沢ライトホーム
    5. 尾形真樹@杏林アイセンター
    6. 小田浩一@東京女子大学
    7. 角田亮子@神奈川リハビリテーション病院
    8. 楠紗代子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    9. 小林章@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    10. 小林巌@東京学芸大
    11. 齋藤奈緒子@神奈川リハビリテーション病院
    12. 坂田光子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    13. 鈴木理子@東京女子大学大学院
    14. 田中千尋@立教大学文学部心理学専攻
    15. 高橋拡行@日本大学大学院<--初参加
    16. 道面由利香@東京都盲人福祉協会
    17. 内藤正美@東京女子大学<--初参加・特別講演
    18. 保坂由美子@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    19. 山中幸宏@アサクラメガネ

2. プログラム

  1. 阿曽沼早苗@大阪大学 14:30-15:30
    「高度近視のロービジョンケア、どうしたらいいの?」
    高度近視で長い間生活してきた例で、屈折矯正が困難、裸眼で読みたい。 白内障の術後で屈折異常を正常に近くに直したのに、遠くを見るニーズはなく 以前より近くが良く見えなくて困るという例が少なくない。眼鏡やルーペで も不満足な例もあり、一定のルールが見つからない。
    いくつかの議論:新井も杏林で沢山みている。思ったより多く、意外とこれが難しい。悩んでいる。 -5diopter論(阿曽沼)や1/3論がある(安藤)。生活の習慣やもとのあるいは術後視力、 暗点の大きさにもよるのではないか?(小田、山中、阿曽沼)。ちなみに、50代女性の場合特に注意(安藤)
  2. 内藤正美@東京女子大学 15:30-16:45
    特別講演:「全く動けない状態のALS患者とのコミュニケーション手法」
    NIRS(Near InfraRed Spectrometer)をALS患者の額に付けてYes/Noコミュニケーションに応用した 「心語り」についてデモを交えて紹介。ゆっくり呼吸に合わせて数を数えるのと、速いテンポの歌を 歌うのとでは前頭葉皮質近くの血流量に変化が起こる。これを近赤外線で探知して 判別するのが心語りの仕組みである。
  3. coffee break 16:45-17:05

  4. 小林章@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院 17:05-17:25
    「現在市販されているハンドルーペの等価度数」 Carton Lens Measureで手持ちルーペの曲率や厚みを実測し度数を調べてみると 40%も度数が異なるものまであることが分かった。個体差はそれほどないことが分かった。
    #ただ、レンズは倍率のみが表示されていて、度数は明示されていないこともあり、 大きくずれていても問題にならないのかもしれない(山中)。
  5. 安藤 伸朗@済生会新潟第二病院眼科 17:15-18:00
    「病院内で行なっている眼科勉強会ー患者さんとの『場』の共有」 1995年から始めた済生会病院で毎月開催している勉強会について。最近の話題には、 工学部の牧野教授の可視光通信の話しもあった。医師と患者が同じ目線で体験できる 良い場になっている。患者と元患者にとっても良い社会参加の場、また 本音を話す機会にもなっている。
  6. 尾形真樹・新井千賀子@杏林アイセンター 18:00-18:20
    「視覚障害のある人の企業内PC環境整備サポート」
    新規採用されたケース、遠隔地のケース、 技術的に困難な環境整備が必要なケースをどうサポートするか?
  7. 新井千賀子@杏林アイセンター 16:45-17:15
    「強度近視に由来した合併症によるロービジョンのケア(どうしたらいいの?)」
    --> 読書評価データと合わせて次回発表の予定
  8. 山中幸宏@アサクラメガネ 18:20-18:40
    「TopconのPSFアナライザー1000という器械(来年1月発売予定)の紹介」
    デモDVDの上映と文献の配布で終わってしまったが、近いうちにデモをお願いできる もよう。以下は小田のメモ:
    Point Spead Function(PSF)を測定してくれる測定器。網膜に写っている点(point)の像が どのようにぼけたり歪んだりするかを測定すると角膜から網膜までの眼球の光学的な 伝達関数(MTF)が測定できる。PSFをフーリエ変換するとMTFになる。MTFだけでなく Phase Transfer Function (PTF)も計算してくれる。白内障で起こっているコントラスト低下 についてももちろん測定できる。PSFを画像に畳み込み積分(convolution, microHIPSのツールに convolvというのがあったのを思い出す人もあるでしょう)すれば、患者が見ている見えを ある程度再現することができる(網膜疾患の部分についてはPSFでは測定できない、 あくまでも光学的な部分透光体部分の特性)。

(c) All rights reserved by members of the monthly low vision meeting at twcu. Any comments should be directed to Koichi Oda(k-oda@twcu.ac.jp