第69回月例ロービジョン研究会

小田浩一, 2004/7/12

1. 概要

下記の要領で開催しました。

1. 日　時：2004年7月10日 (土)　13:00 -18:00
2. 場　所：東京女子大学#8408コミュニケーション学科談話室
3. 参加者：(敬称略五十音順)
   1. 阿佐宏一郎@東京大学文学部行動文化学科心理学専攻<--初参加
   2. 新井千賀子@独立行政法人国立特殊教育総合研究所
   3. 市橋竜正@（株）大活字<--初参加
   4. 尾形真樹@Tokyo Lighthouse
   5. 小田浩一@東京女子大学
   6. 鎌田貴身江@Tokyo Lighthouse
   7. 川嶋 英嗣＠愛知淑徳大学医療福祉学部医療貢献学科
   8. 河野恵美@東京女子大学大学院
   9. 小林章@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院
   10. 鈴木あかね＠ふじざくら養護学校
   11. 鈴木理子@東京女子大学大学院
   12. 田中恵津子@杏林アイセンター
   13. 道面由利香＠東京都盲人福祉協会
   14. 柳澤美衣子＠東京大学医学部眼科
   15. 山本 百合子＠タイプデザイナ・グラフィックデザイナ

2. プログラム

1. 小林章@国立身体障害者リハビリテーションセンター学院
   1. 「ＯＭのためのシミュレーション活用: 透光体混濁とグレア」

   高田めがねのロービジョンシミュレーション眼鏡の透光体混濁のシミュレー ションフィルタを重ねて、0.04, 0.02, 0.01を、球面レンズをつかった視力低 下のシミュレーションレンズを重ねて、0.04,0.02,0.01を使って、昼間夜間の 移動の困難さを調べた（歩行訓練の学生複数で）。昼間は、0.02までは視覚を 使って白杖なくても歩けるので、0.01より低い場合に白杖での伝統的な歩行訓 練が効果的？夜間は、グレアの影響を受ける透光体混濁のシミュレーションで問 題多発。0.04の透光体混濁だと、グレアをさけ（手かざしなど）、視対象のコ ントラストは0.5あって、夜なら6ルクスの照度は欲しい。6luxはあまり明るく ないので、手持ちのflash light でも十分歩ける可能性が高い。特に路側帯などの 白線はコントラストが高く、道路の方向や交差点を知るための良い手がかりとな る。

   2. 「最近のLED式携帯用ライト」(仕様リストのPDFファイル）

   明るい出力の大きなLED懐中電灯がいろいろ出てきましたよ。充電値が使えな いものは、ランニングコストが問題になるでしょうから、今の一押しは、 SuperFireSF-101か、OHM Stamina Lightかもしれないけれど...

2. 市橋竜正@（株）大活字
   「最新便利グッズのご紹介」

   オリジナル定規の「ロービジョンスケールミニ」や、充電式フラッシュライトの新製品、９月１日から発売予定の「FOMAらくらくホン（F880iES）」などをメインにご紹介。 大活字カフェ：CCTVやパソコンソフトなどの補助具をいろいろと比べてみられるスペースが8/1に拡大再オープン！

3. 道面由利香＠東京都盲人福祉協会
   「歩行訓練の過程で関わった点字ブロック設置事例」

   要望を出して点字ブロックを改修したケース、新設を要望して実現したケースについての報告.

4. 尾形真樹@Tokyo Lighthouse（with 鵜飼　一彦，梅澤　恵美， 河合　隆史)
   「色順次方式DLPプロジェクタに起因する先天眼振の眼精疲労」

coffee break

5. 川嶋 英嗣＠愛知淑徳大学医療福祉学部医療貢献学科
   「視野制限下での遅い読書は文章理解に影響するか？」
6. 鈴木理子@東京女子大学大学院
   「ディスプレイ上を流れる文章の表示速度およびウィンドウサイズと可読性」
7. 河野恵美@東京女子大学大学院
   「既成のサポートシステムが存在しない中での先天性盲ろう児向け支援体制の構築」
8. 小田浩一@東京女子大学
   文献紹介：「Ergonomic Enhancement for Older Readers with Low Vision; ロービジョンの高齢者のための人間工学的な工夫」
   Watson, GR, Ramsey,V., Del'Aune, W., & Elk, A. Journal of Visual Impairment and Blindness, 98(4), 228-240, 2004.

加齢黄斑変性の12人の高齢のロービジョン患者に 人間工学的に強化したworkstation を提供したところ、 読書速度が有意に増加し、読書時の不快感も有意に軽減された。