第111回月例ロービジョン研究会

小田浩一, 2008/10/11

1. 概要

ロービジョンクリニックのツアー集合写真

  1. 日 時:2008年10月11日 (土) 13:30-20:00
  2. 場 所:国立障害者リハビリテーションセンター学院6F中研修室
  3. 参加者:(敬称略五十音順)
    1. 麻野井千尋@NAT・東京女子大学
    2. 井本@@国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    3. 岡島喜謙@筑波大学理療科教員養成施設
    4. 小田浩一@東京女子大学・東京ライトハウス
    5. 小原沢あかね@日本大学大学院 <-初参加
    6. 栗原秀之@MGCフィルシート株式会社 <-初参加
    7. 小林章@国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科・東京ライトハウス(最後のツアーから)
    8. 小林巌@東京学芸大学
    9. 高野孝七@(株)ビジュアルウェア
    10. 田中千尋@国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
    11. 仲泊聡@国立障害者リハビリテーションセンター
    12. 韓星民@KGS <-初参加
    13. 御園政光@KGS・東京女子大学大学院
    14. 宮地泰造@東海大学
    15. 三輪まり枝@国立障害者リハビリテーションセンター
      (ORTの研修生4名 <-初参加同伴)
    16. 山口えり@東京女子大学コミュニケーション学科
    17. 山地正城@(株)ビジュアルウェア
    18. 山中今日子@東京女子大学コミュニケーション学科
    19. 山中幸宏@アサクラメガネ
    20. 山本百合子@フォントデザイナ

* 東京ライトハウスは、視覚障害のある人への新しいサービスを模索・実施するNPOです。


2. プログラム

以下のような演題が発表されています。

  1. 岡島@理療科教員養成施設
    「視覚障害者におけるQRコードの活用法」
    2次元バーコード、デンソー(株)が開発したQuick ResponseコードはテキストやURLなど いろいろなデータを割合にたくさん(最大で漢字1800字程度まで)保存できる。 特にすぐれているのは、仕様が公開されているため、今ではほとんどどの携帯電話で読み取れるし、 作成用のソフトもネットから簡単に入手できる(web上で作成してくれるものもある)。 視覚障害のあるユーザから見た使い道について考えてみた。一番の問題は、 QRコードを見つけ出し、携帯電話をつかって読み取る部分だろう。

    参加していたビジュアルウェアの山地正城さんから、見えない二次元バーコードについて紹介があった。後のLV920のデモのときに、この見えないコードを読み取る グリッドスキャナとLV920の眼鏡型ディスプレイを組み合わせたデモもあった。

  2. 特別講演:韓星民@フリー研究者・KGS
    「ユーザー歴25年のマニアが語る拡大読書器の在り方ーマルチモーダルにおける情報処理過程を中心にー」

    初代の拡大読書器であるミカミのオプチスコープ(当時120万円!?)から17台を使って来た韓星民(ハンスンミン)さんが、 歴代の拡大読書器について、自分から見た長所短所を説明しつつ、拡大読書器にはどのような要素が必要なのかということを述べた。 また、ロービジョンエイドは、その日から使えるものでなく、かなりの習熟を必要とするものであること、拡大読書器を使う場合には、 人間は目の周辺視機能をあまり使わない視覚の方法であり、眼球運動の代わりにx-yテーブルを手で、つまり体性感覚と 運動制御機能をつかってテキスト上をスキャンしていく。読書時のスムーズな手の運動によるテキスト移動の画面上の 移動とそれに追従する目の追従眼球運動、テキスト改行時には、サッカードと同じように瞬時に行頭へもどる手の動きと、 サッカード抑制にも似た知覚上の不注意という形になる。つまり眼球運動と視知覚だけで行っていた読み課題の一部が 体性感覚(すなわちマルチモーダル)と手の運動制御機能を含むものになる。読書材料のレイアウトは体制感覚の 中に表象されており、その表象を使いながら、拡大読書器のx-yテーブルを正確に手を動かして見たい箇所を 注視点に移動させるのである。

  3. 高野孝七@(株)ビジュアルウェア
    「SightMate LV920 Viewer(持ち運びのできる拡大読書器)の機能が強化版」
    LV920

    眼鏡に取り付けられたビデオカメラの性能が上がり、イメージをフリーズしてから拡大したりコントラスト強調したりできるように なっている。また、フリーズしたイメージ内を上下左右のパンすることもできる。マウス型の スキャナ(ビデオカメラ)で取込んだ手元の印刷教材のイメージをNTSC入力で受付、マウスの電源オンオフでLV920のカメラと マウスの画像の切り替えができ、近見遠見を楽に切り替えて使える。高知工科大学の 学生支援で導入実績ができた。

  4. 山中幸宏@アサクラメガネ
    「ロービジョンのレイリー散乱を知るための実験ー何故昼間の空は青く見えるの?」 「何故朝焼けや夕焼けは赤く見えるの?」
    ライリー散乱のデモをする山中さん

    プロジェクタの光源を使い、タッパウェアに水道水を満たし、牛乳をたらして 小さい脂肪粒子を加え、光の散乱における光の波長の影響を デモした。レイリー散乱とは、光の散乱が光の波長の4乗に反比例するというもの。 つまり短波長の光の方がより散乱する。透光体混濁のある目でなぜ まぶしいか?網膜像のコントラスト感度が下がるのか?の原因が 混濁部での短波長光の散乱であるという、根拠を紹介した。

  5. 麻野井千尋@NAT・東京女子大学
    「いくつかのケースを紹介」(次回へ延期)

  6. 小林章@国立障害者リハビリテーションセンター学院
    「国リハ学院の施設ツアー」

  7. 三輪まり枝@国立障害者リハビリテーションセンター
    「国リハのロービジョンクリニックツアー」

この後有志(13人)で、新所沢の駅近くのHIROというイタリアンレストランにて、夕食会をし、 閉店までわいわいと楽しい時を持ちました。


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