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視野障害認定の手引

                  厚生省社会・援護局更正課

*本情報は、表記の参考資料を内容を変えずに、単にWeb で読みやすいように体裁を整えて提供しているものです( 小田浩一櫛田尚代東京女子大学 、22/8/1995)。


1. 視野障害の級別の変更について


 身体障害者福祉法施行規則が改正になり、平成7年4月20日から、視野障害の障害等級が次のように変更になります。
 また、診断書の様式も変わります。(別紙1から3参照)

表1.1 新しい視野障害の等級表

級別
1級
2級 両眼の視野がそれぞれ10゜以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が95%以上のもの
3級 両眼の視野がそれぞれ10゜以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が90%以上のもの
4級 両眼の視野がそれぞれ10゜以内のもの
5級 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの

表1.2 旧等級表(参考)

              
級別
1級
2級
3級
4級 両眼の視野がそれぞれ5゜以内のもの
5級 両眼の視野がそれぞれ10゜以内のもの
両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの
6級

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2. 視能率について


 視能率は、視覚の機能障害の評価法の一種で、機能が健常であれば視能率は100%とまります。また、視力が全くない場合は、視能率は0%となります。通常「視能率の損失率」で障害の程度を表す慣行となっていますので、健常では損失率0%、視力が全くない場合は損失率100%ということになります。

 視野障害の視能率を求めるには、視野計を使い8方向の残存視野の角度を測定しそれを合計したうえで、その結果を560で除算します。ここで、560で除算するのは、平均的な日本人の場合、同じ方法で計算するとその合計が560度になるので、それとの比較をしています。(図1)

図1 健常の場合の視野

表2.1 健常の場合の視能率の計算

上外 外下 下内 内上 計(1) 視能率(2) 損失率(3)
60度 75度 95度 80度 70度 60度 60度 60度 560度 100%
((1)÷560×100)
0%
(100-(2))

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 例として、中心部の半径10゜の円内だけが見え、その周囲はまったく見えないような求心狭窄の場合を計算してみますと、図2のように86%の損失率となります。
 計算は次のようになります。
(560-80)/560×100=86%

図2 視野10度の場合

表2.2 視野10度の場合の視能率の計算

上外 外下 下内 内上 計(1) 視能率(2) 損失率(3)
10度 10度 10度 10度 10度 10度 10度 10度 80度 14%
((1)÷560×100)
86%
(100-(2))

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3. 両眼による視野についての視能率による損失率の求め方

 視能率を測定するのは、求心性視野狭窄により両眼の視野がそれぞれ10度以内の場合です。 この場合、輪状暗点があるものについて中心の残存視野がそれぞれ10度以内のものを含みます。

 具体例をご参照ください。(別紙4から8)

  1. 一眼について8方向の残存視野の角度を測定し合計する
    視野障害の視能率の損失率を求めるには、まず、視野計を使い8方向の残存視野の角度を測定し合計します。

     視野の測定には、ゴールドマン視野計又は自動視野計又はこれらに準ずるものを 用いて測定します。ゴールドマン視野計を用いる場合、中心視野の測定にはI/2の 指標を用い、周辺視野の測定にI/4を用います。それ以外の測定方法によるときは、 これに相当する指標を用いることとします。
     

  2. 一眼の視能率を計算する
    そして、次の式により一眼の視能率を計算します。
    残存視野の角度の合計/560×100 (%)
    この場合、百分率(%)は、少数点以下四捨五入とします。

  3. 一眼の損失率を計算する
    次の式により一眼の損失率を計算します。
    100-視能率 (%)
     
  4. 他眼の視能率による損失率を計算する
    (1)〜(3)と同様に、他眼の損失率を計算します。

  5. 両眼による損失率を計算する
    次の式により、両眼の損失率を求めます。
    (3×損失率の小さい方の眼の損失率+損失率の大きい方の眼の損失率)/4 (%)
    ここでは、良い方の眼に重みがつけられています。また、この場合も、百分率(%)は、小数点以下四捨五入とします。

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4.「両眼による視野障害の2分の1以上が欠けているもの」について

 今回の改正では、認定準備は変更されていません。 「両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの」とは、両眼で一点を注視しつつ測定した視野の生理的限界の面積が2分の1以上欠損している場合のいみです。したがって両眼の高度の不規則性視野狭窄又は半盲性視野欠損等は該当しますが、交叉性半盲症等は、該当しない場合もあります。

 この場合の視野の測定方法は、片目ずつ測定し、それぞれの視野表を重ね合わせることで視野の面積を算定します。その際、面積は厳格に測定しなくともかまいませんが、診断書には視野表を添付する必要があります。

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5. 障害程度の認定について


障害の認定方法も、従来と同じです。その内容は以下のとおりです。
  1. 視覚障害は視力障害と視野障害とに区分して認定します。 (参考1参照)
     
  2. 視力障害と視野障害の両方が障害程度等級表に揚げる障害に該当する場合は、重複障害認定の原則に基づき認定します。(参考2参照)
     
  3. 視野障害の状態には周囲からほぼ均等に狭くなるもの(求心性狭窄)、ある部分だけが欠損して見えないもの(不規則性狭窄)、左右眼の視野の半分に欠損が現れるもの(半盲性-同側半盲、交叉半盲)などがあり、症状によって暗点(中心暗点、周辺暗点、輪状暗点等)が現れますので、所見を認定基準に照らし、その障害程度を判定してください。

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(参考1)視覚障害等級新旧対照表

旧視覚障害等級表

級別
1級 両眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、 屈折異常のある者については、きょう正視力について測ったものをいう。 以下同じ。)の和が0.01以下のもの
2級 両眼の視力の和が0.02以上0.04以下のもの
3級 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
4級
  1. 両眼の視力の和が0.09以上0.12以下のもの
  2. 両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの
5級
  1. 両眼の視力の和が0.13以上0.2以下のもの
  2. 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの
  3. 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの
6級 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもので、 両眼の視力の和が0.2を越えるもの

新らしい視覚障害等級表

級別
1級 両眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、 屈折異常のある者については、きょう正視力について測ったものをいう。以下同じ。) の和が0.01以下のもの
2級
  1. 両眼の視力の和が0.02以上0.04以下のもの
  2. 両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による視野について視能率による損失率が 95%以上のもの
3級
  1. 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
  2. 両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両眼による損失率が90%以上のもの
4級
  1. 両眼の視力の和が0.09以上0.12以下のもの
  2. 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの
5級
  1. 両眼の視力の和が0.13以上0.2以下のもの
  2. 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの
6級 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもので、 両眼の視力の和が0.2を越えるもの

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(参考2)二以上の障害が重複する場合の障害等級の認定方法(抄)

(1) 重複する障害の合計指数に応じて、次により認定する。

合計指数 認定等級
18以上 1級
11〜17 2級
7〜10 3級
4〜6 4級
2〜 3 5級
1 6級

(2) 合計指数は、次の等級別指数表により各々の障害の該当する等級の指数を合計したものとする。

障害等級 指数
1級 18
2級 11
3級 7
4級 4
5級 2
6級 1
7級 0.5

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