携帯電話に関するアンケート結果


  1. 金子 誠@近畿大学 2000/11/6 視覚障害者用の携帯電話をデザインするにあたって,メーカー,通信業者に対して 行ったアンケートの結果です.
  2. 福井哲也@川口市 2000/11/6

From: "金子 誠" Subject: [jarvi:16045] 携帯電話に関する質問のメーカーからの回答 Date: Mon, 06 Nov 2000 20:06:35 JST  皆さんこんにちは。近畿大学の金子です。  卒業研究で視覚障害者用携帯電話をデザインするにあたってPHS・携帯電話製造 メーカー15社と通信事業者2社に質問状を送りました。ちなみにご協力いただいた メーカー、通信事業者の一覧です。 製造メーカー:シャープ ケンウッド 日立電気 京セラ ソニー 東芝 松下電器 NEC 富士通 三洋電機 三菱電機 モトローラ カシオ デンソー ノキア 通信事業者:DDIポケット J-フォン西日本 ご協力いただいた各社のかたがたに、この場を借りてお礼を申し上げます。 さて、現在PHS・携帯電話製造メーカーから13社、通信事業者からは1社回答があり ました。全部そろうまで待つつもりでしたが、もう11月になってしまったので簡単に まとめて発表する…つもりでしたがかなり長くなってしまいました。興味がある人は 全部見て、つまらんと思った人はポイしてください。本当に長いです。  今回の質問はこんなことをメーカーに聞いてみました。 質問 1. 現在の貴社の携帯電話(PHSも含む)利用者数中の視覚障害者の割合。 2. 現在貴社のカタログに視覚障害者用携帯電話が見当たらないが実際はあるのか。 また過去にそのような製品があったのか。 3. 現在視覚障害者向けにおこなっているサービスもしくは過去におこなったサービ スに どのようなものがあるか。 4. 視覚障害者のかたからこれまでに寄せられた意見・要望にどのようなものがある のか。 5. 視覚障害者と携帯電話のバリアフリーについてどのように考えておられるのか。 6. その他  今となってはこれらの質問はあまり良くなかったかな、と思っています。もう ちょっと皆さんの意見も聞いてみてから決めたほうが良かったです。ですがこのアン ケートでメーカーがどの程度皆さんのことを考えているかおわかりいただけると思い ます。では以下回答です。 Q1. 現在の貴社の携帯電話(PHSも含む)利用者数中の視覚障害者の割合。 A.エンドユーザーの情報および属性については通信事業者殿(J-フォン、  エーユー、ツーカー、アステル殿など)の管理となりますので、弊社としては関知 しておりません。 A.調査実績がありませんので分かりません。 A.携帯電話の契約者名簿は、通信事業者が所有しておりますが、人権保護のため、障 害者の区分を行なっていないと思われます。 A.現時点のマーケティング調査の過程で、特に視覚障害者の方を取り上げての調査、 または製品・サービスの開発が実現しているとは申し上げられない段階です。 Q2. 現在貴社のカタログに視覚障害者用携帯電話が見当たらないが実際はあるの か。    また過去にそのような製品があったのか。 A.視覚障害者用の携帯電話としては専用製品を出していませんが、下記に示す視覚障 害者用の対応をおこなっています。(PDC、CDMA、PHS) 1.ダイヤル「5」のボタン突起及び、開始、終話ボタンの上部の突起により、ボタン の位置を示しています 2.操作の途中で終話ボタンを押すと待ち受け状態になります。 3.電話、メールに対してそれぞれ異なる着信音を設定することができる。 4.バイブレーターの振動時間の違いにより、電話、メールの区別をすることができます。 5.グループ毎に着信音/メロディを登録することにより、発番号の通知により、発信 者の識別が可能です。 6.発呼時及び着信時の番号表示は1.5倍画文字を使用しています。 7.キー押し下げを検出した時にキー入力音を出力します。 8.電話帳に登録することにより、相手によって着信音を変えられます。 9.キーは個々に分離しており、触覚で区別が可能で端末を片手操作した場合に操作し やすい前面中央部にボタンを配置しています。 A.過去も含め視覚障害者向けを特定した機種というのはありませんが数字キーの位置 確認のための5番キーの突起、ボイスサーチ(音声による登録電話番号の呼び出し) 等の機能が付いた機種があります。 A.テンキーの「5」キーに凸部を付加した現状を脱しておりません。 Q3. 現在視覚障害者向けにおこなっているサービスもしくは過去におこなったサー ビスにどのようなものがあるか。 A.実際の回線開通及びその後のサービスは 通信業者でやられておりますので製造 メーカーでは直接タッチしておりません。 A.今までも、現在も視覚障害者向けのサービスはおこなっておりません。 Q4. 視覚障害者の方からこれまでに寄せられた意見・要望にどのようなものがある のか。 A.要望や提案で多いものは点字キーボードや音声ラベル(ガイド)のテンキーなどで す。触覚での識別につきましては上記の1・9、音での識別という面につきましては 3・5・7・8にて対応しております。 A.視覚障害の程度によりますが 表示の文字を大きくして欲しいというご意見があり ました。 A.端末に対する意見や要望も通信キャリア様へ直接入りますので端末メーカーとして は把握できません。 A.直接のご意見やご要求はありません。 A.ボタンレイアウトの標準化(各社)、ブラインドタッチの工夫など。 A.「104の電話番号案内を無料にしてほしい。」という要望がございました。 Q5.視覚障害者と携帯電話のバリアフリーについてどのように考えておられるのか。 A.今後の携帯電話のコミュニケーションは技術の発達によって音声のみからテキスト やビジュアルを含めたものに移行しており、視覚に障害のある方のコミュニケーショ ンもよりサポートしやすくなっていくことと思います。 A.弊社では現在、視覚障害者向けのサービスを検討しております。 A.バリアフリーについては、工業会を中心に検討中です。当社も積極的に対応する予 定です。 A.健常者向けの携帯電話であっても可能な限り視覚障害者対応をおこなうよう努力し ております。 A.視覚障害者のかたはもちろん聴覚障害者のかたや高齢者のかたにとって使いやすい 携帯電話を開発していかなければならないと考えています。例えば、キーを操作した 時に音声ガイダンスで知らせる、着信者ごとに違う着信メロディが設定できる、バイ ブレータで着信を知らせる等、視覚的だけでなく、聴覚的にまた感覚的に分かるよう な機能を充実させる必要があると考えます。但し、このような機能は健常者にとって も使いやすいと思うので、障害者の方を意識しなくても使いやすさは向上すると思い ます。 A.当社ではデザイン研究所が中心になってバリアフリーの研究をおこなっておりま す。端末には機能として音声メモや音声識別を搭載しておりますが、バリアフリー端 末として位置付けるには不充分と認識します。今後、ユーザー層の広がりを念頭にお いてより使いやすい端末を開発し、視覚障害者や高齢者の方々にも使っていただける ようにして行く方向です。 A.上記1〜9の他にも通常の携帯電話としての使い勝手の中でいかに使いやすく見やす くするかが重要だと考えます。例えば視力が弱ってきているかたも大勢いらっしゃい ます。これらのかたがたにとって表示がいかに見やすいかは文字のサイズと表示コン トラストで左右されます。弊社では現在、高輝度バックライトと大きめかつ太い文字 フォントを使用することで視認性の向上を図っています。  また、根本的な操作のしやすさという面では、ソフト構造をツリー構造とすること で右で進んで左で戻るといったメンタルモデルを構築させ、初心者の方でも直感的に 操作できる操作性を実現しています。 Q6.その他 A.今後、ユーザー層の広がりを念頭においてより使いやすい端末を開発し、視覚障害 者や高齢者のかたがたにも使っていただけるようにして行く方向です。 A.多機能化の進む最近の電話機では、使わない機能も多いとユーザー様よりご指摘を いただきます。視覚障害者にとってどんなものが必要か、使いやすいのか具体的な意 見をいただければ幸いです。 A.他の例として、聴覚障害の皆様からのご意見で、PHSの文字通信が言葉のかわり になるというご提案をいただき、また様々な改善のご要望をいただき商品に反映した 実績がございます。金子様が調査される内容で、参考になるものがありましたら是非 ご提案いただきますよう、お願い申し上げます。 A.今後の携帯電話のコミュニケーションは技術の発達によって音声のみからテキスト やビジュアルを含めたものに移行しており、視覚に障害のあるかたの  コミュニケーションもよりサポートしやすくなっていくことと思います。  以上、メーカーからの回答でした。 ページの最初に戻る
Date: Mon, 06 Nov 2000 23:50:53 +0900 From: 福井 哲也 Subject: [jarvi:16049] 携帯電話に関する調査 川口市の福井です。 近畿大学の金子さんがなさった携帯電話に関する各社への調査に対する回答、大変興 味深く拝見いたしました。 全体としては、各社とも、バリアフリーということを無視してはやっていけないとい う認識はあるようで、その意味ではそこそこ明るい内容なのではないかというのが、 私の印象です。「視覚障害者も他の顧客と同等に携帯電話サービスを利用する権利が ある」というところまでの強い認識には至らないまでも、見えなくても/見えにくく てもなるべく使えるような製品にするべきだという姿勢は感じられます。 そこで、私は、次のコメントに注目しました。 −−−−−−−−引用ここから−−−−−−−− A.今後の携帯電話のコミュニケーションは技術の発達によって音声のみから  テキストやビジュアルを含めたものに移行しており、視覚に障害のある方の  コミュニケーションもよりサポートしやすくなっていくことと思います。 −−−−−−−−ここまで−−−−−−−− これは、具体的にどのようなことをイメージしてのコメントなのでしょうか。私など は、ひごろ正反対に感じているわけです。つまり、携帯電話が音声のみからテキスト やビジュアルなものへと変化してしまったために、視覚障害者のコミュニケーション がサポートしにくくなってしまったのではないかと。周囲がレベルアップしてしまっ たものだから、視覚障害者の所だけ穴があいたように取り残されてしまった、その直 接の原因は、なんといっても携帯電話が音声オンリーではなくなってしまったことに あると私は捉えているのです。 しかし、この回答はそうは言っていない。むしろ、技術の進歩でこれから良い方向へ 向かうと言っています。私の見方が狭いのか、それとも、そもそも観点がまったく違 うのか。 このくい違いをきちんと分析することは、“バリアフリー”の本質を考える上で私は 有効なような気がしているのですが……。 ページの最初に戻る
JARVI/ML Technical Digest Indexへ