茨城県の博物館のトーキングサイン



  1. 藤原 晴美@横浜訓盲学院 11.23.1999
    茨城県自然博物館(が導入した「トーキングサイン・システム」(三菱プレシジョン
    製)のお披露目の日で、新システムのモニターをさせていただいたので報告致します。





Subject: [jarvi:10653] 茨城県の博物館のトーキングサイン
Date: Tue, 23 Nov 1999 16:23:55 +0900
From: h-fuji@mug.biglobe.ne.jp

 藤原 晴美@横浜訓盲学院 です。
 皆さん、こんにちは。

 私は11月21日に、茨城県自然博物館(*)へ行って来ました。
 当日は同館が導入した「トーキングサイン・システム」(三菱プレシジョン製)の
お披露目の日で、私たちは新システムのモニターをさせていただいたのでした。

(*) ミュージアム・パーク 茨城県自然博物館
 茨城県岩井市大字大崎 700
 TEL: 0297-38-2000

 まず受信機の説明をしますね。
 これは館の案内カウンターで来館者に貸し出されます。
 直方体で、私が見た同システムの受信機に比べると少々大型です。形や大きさ、重
さは、数年前の親子電話の子機を連想させます。
 左側面にはイヤホンジャックと音量調節のボタンがあります。
 右側面の下の方には ON/OFF スイッチがあります。 ON側に小さな凸点があって、
どちらになっているか触って確認できます。
 正面の上方に四角形のスピーカーがあり、その下に大小三つの丸いボタンがありま
す。ボタンの並び方は、人の両目と口を連想させます。フェイスマークですと、 (゜○゜)
 みたいになります。
 真ん中の大きいボタンを押しながら受信機を上下左右に少しずつ動かして、館内に
設置されている音声ラベルの方向や位置を捜査します。
 「第一展示場入り口です」
 「第二展示場出口です」
 「ミュージアムショップです」
などと応答が返ってきます。
 この ボタンの左上の小さなボタンは、詳細な説明を聞くために使います。(後述)
 右上の小さなボタンは、ポーズとリピート兼用です。一度押すと音声の説明が止ま
り(左のボタンで再開)、押し続けるとその説明を最初から聞くことができます。
 受信機には長いベルトが付いていて、手に持つことも、肩から斜めに掛けることも
できます。(これは両手が空いて便利です)
 イヤホンの使用も可能ですが、普通はスピーカーから直接音声ガイドを聞く方式に
なっています。

 受け付けのカウンター、展示場の出入口、トイレなどの各ポイント、一部
の展示物の案内は、従来のトーキングサインのシステムと同じ方式(音声ラ
ベルの赤外線を受ける)で行われています。その音質がとても聞き易いもの
になっていてびっくりしました。慣れてくると、雑音の入り肩の違いで、方
角だけでなく、目指す所が近くにあるかどうかがおおよそわかりました。ガ
リガリいっていた雑音が、音声ラベルに近づくとほとんど聞こえなくなるの
です

 茨城県自然博物館がこの度導入したシステムの特徴は、詳細な説明の音声
データをICカードに記録したということです。
 受信機の右側面の上の方に、ICカードを入れるスロットがあります。将来
的にはICカードを入れ替えることによって、外国語による解説や、子供向け
の優しい解説も用意できるようにしたいとの館の方のお話でした。
 手持ちの受信機を大きくしなければならなかった理由は、そのICカードを
読みとる機能を付加したためでもあるのだそうです。

 実際にどのように使うかですが、当日ご一緒させていただいたNさん、も
し違っていたら訂正して下さいね。

 トーキングサイン・システムを利用して展示場や展示物のそばまで行きま
す。音声ラベルにできるだけ接近する必要があるのですが、「○○です」と
言った後に、「ピッ」と短いビープ音がする所があります。
 音声ラベルはそれぞれ付番されていて、その番号のデータを受信機が読み
取ると「ピッ」とビープ音が鳴る。そしてICカード内の該当音声データを呼
び出しているのだそうです。
 そこで受信機の正面の左上にある小さなボタンを押すと、展示場や展示物
の詳細な説明をスピーカーから聞くことができます。
 もし詳細な説明が不要なら聞かなくてもいいし、もう一度繰り返して確か
めたいときは、「ポーズ|リピートボタン」を押せばいいのです。

 音声ガイドをスピーカーから流すということについて、博物館の方も、三
菱プレシジョンの方も、他の来館者が煩わしいと感じるのではないかと、最
初はずいぶん心配したそうです。
 しかし、いろいろな音量でテストしたところ、他の来館者の話し声や館内
の案内放送、音や音声が出る展示物の音に溶け込んで、あまり気にならない
ことがわかって「このままで行こう!」と決まったそうです。
 私も実際に試してみたのですが、体の前で位置や方向が確かめられる程度
に音を小さくしておくと、肩に掛けた受信機の声が、子どもたちの声に完全
にかき消されていました。
 耳掛け式のイヤホンのコードから解放されたことは、とてもありがたいで す。

 展示場や展示物の「詳細な解説」ですが、あまり長くありません。移動し
ながら、あるいは、ちょっと立ち止まって耳を傾けるとき、ほとんどストレ
スを感じません。
 私がなかなか良いなと思ったのは、その解説が親切すぎないことです。で
も、必要な情報はちゃんと入っています。
 建物の2階(実はここが入り口)に、マンモスの骨格標本が展示されてい
るのですが、ICカードの詳細解説には、マンモスの化石標本であることと、
この化石が内蒙古で産出したことが述べられています。私は2回聞いたので
すが、大きさや生息していた年代などの数字は含まれていませんでした。
 私はそれでいいと思っています。そのマンモスの化石を目の前にしたとき
、大きさや地質年代などの数字は、すべての人が必要な情報だとは思えない
からです。
 この博物館には、学芸員の方々のほかに「ミュージアム・コンパニオン」
と呼ばれるボランティアの方がたくさんいらっしゃいます。ボランティアの
方々は日頃から熱心に学習していて、来館者の質問に対応できるようになっ
ているとのこと。音声ガイドで不足している情報があったら、その人たちに
尋ねればいいのです。それをきっかけに「人と人とのコミュニケーション」
が生まれるのです。

 まだまだ少ないですが、一部の展示物(40億年前の岩石やサンゴの化石な
ど)には、点字の小さなプレートが貼ってありました。操作部のボタンに、
点字表示が付いている機械もありました。

 私が住んでいる所にもう少し近ければ、もっと頻繁に行けるのですが…。
 博物館の最寄りの私鉄の駅からのアクセスが非常に悪いのが残念です。路
線バスは日中は1,2時間に1本ほどの運転間隔しかなく、停留所で下車して
から徒歩15ふんほどかかります。
 でも、いい所ですよ。
 建物に隣接している"すがお沼"(漢字不明)には、コハクチョウが渡って
来ていて、来館した人を歓迎してくれるそうです。



ページの最初に戻る

JARVI/ML Technical Digest Indexへ