北海道の雪上歩行

  1. 菊地@東京学芸大 2.19.2000 雪道などでの白杖歩行に関して、何か注意した方が良いことはありますでしょうか?
  2. 池田敬一 @富士通東北海道システム 2.20.2000
  3. 菊地@東京学芸大 2.20.2000
  4. 湯浅 2.20.2000

Subject: [jarvi:12054] Q:北海道での歩行について Date: Sat, 19 Feb 2000 08:23:47 +0900 From: "Riichiro Kikuchi"  菊地@東京学芸大です。  本日は、北海道にお住まいの方におうかがいしたいことがあり、投稿させてい ただきました。よろしくお願いいたします。  実は、2/27から北海道方面へ旅行することになったのですが、そのさい、雪道 などでの白杖歩行に関して、何か注意した方が良いことはありますでしょうか? 全盲だけでの旅行(一部ガイドヘルプをお願いした箇所もありますが)ですので、 単独歩行もしくは電車ごっこ(笑)になると思うのですが、いかがでしょうか。  単独歩行が予想される場所は、稚内・旭川・網走・帯広・然別湖などです。  ガイドブックなどを見ますと、「耳まで覆う帽子」や「靴に付ける滑りどめ」・ 「厚い手袋」などが必須だと書いてあるのですが、このような物で歩行に支障が 出る可能性はないでしょうか。  個人的な質問で恐縮ですが、どうかアドバイスの方、よろしくお願いいたしま す。 ページの最初に戻る
Subject: [jarvi:12064] RE:Q:北海道での歩行について Date: Sun, 20 Feb 2000 02:39:19 +0900 From: 池田 敬一 菊地@東京学芸大さん 富士通東北海道システムの池田です。 北海道旅行を予定されているそうですね。 こんな時期に遊びに来るとは、若者は元気でいいなあ。 さてさて、この時期の北海道での白杖歩行についてですが、 地域によってかなり状況が異なります。 旭川や稚内など、積雪の多い地域では、道幅がかなり狭くなっている所も多いかと思 います。 だれか、ガイドしてくれる人を見つけたら、ガイド者を先頭に立て、電車ごっこ(ご ぜさん歩きとも言う)が有効です。 どうしてもガイド者が見つからない場合は歩道脇に避けてある雪の土手、あるい雪の 壁に沿って歩くようにすれば、だいじょうぶだと思います。 大抵、人の通る所は道ができているので、そこから外れない限りはだいじょうぶで す。 ただ、道路を渡る際などは、車道と歩道の境が雪や氷に覆われていて杖や足では判別 できない所もありますので、注意が必要です。 また、車道に出た後も、わだちができていたり、アイスバーンがあったりしますの で、油断は禁物です。 ついでに、雪の多い所では周囲の音が吸収され、車の走る音など、聞こえにくくなり ますので、そのことも意識して歩く必要がありますね。 白杖の使い方ですが、雪のある所では普通に振っていると、どうしても先端が雪にさ さったり、ひっかかったりします。 私が札幌で生活していたころには、雪の時期には先端にゴムボールのようなパーツを 付けて使っていましたが、人によっては円盤上のもの(スキーのストックみたいな感 じ)や筒上のものを使うこともあるようです。 もし、何処かで手に入るようでしたら、ご用意されてはと思います。 まあ、何かつけてもそれほど効果がある訳ではないのでなきゃないでもいいんですが ね。 いずれにしろ、雪道での白杖使用は慣れてないとけっこう難しいです。 更に、新雪の積もっている所では白杖はほとんどつくことができませんので、ガード 姿勢をとってゆっくり移動する方がいいかも知れません。 新雪がある所と言うのは人が通ってない場所と言うことでもありますから、そんな所 にはまり込んだ時はできる限り速やかに回れ右(左でもいいですけど)をして、道の 確認できる所までもどりましょう。 帯広ですが、こちらは、12月から1月にかけてかなり雪が降りましたが、最近はあ まり降っていないので、積雪はそれほどではありません。 ただし、北側(日陰側)の歩道では、けっこう雪が残ってますし、ほとんどの道路で は、融けた雪が氷になって路上にへばりついているので常に足元には注意が必要で す。 特に建物から出た所や交差点等では、地元の人間でも転ぶことが多いので、気をつけ てください。 できれば、裏に滑り止めやスパイクの着いた靴を履いて来るのがいいかと思います が、それでも、滑る所は滑りますから、受け身の練習でもしておいた方がいいかも 知れませんね。 以前、東京の友人にこんな話をしたら、登山用のアイゼンを用意していこうかなんて まじに言いだしたので、そこまではいらないと大笑いしました。 防寒対策ですが、 10分以上、外を歩くつもりなら、耳を覆う帽子、あるいは、耳かけ(腹巻上のもの や、ヘッドホン上のものがあります)と厚手の手袋は必須ですね。 今、ほとんどのお店で冬もののバーゲンやってますから、こちらに来られてから調達 されてもいいでしょう。 帽子や耳かけをつけると、多少周囲の音は聞こえにくくなりますが、なれればそれほ ど影響はないと思います。オーバーやヤッケのフードをかぶるよりは、はるかに聴こ えやすいですよ。 まあ、耳たぶを失う覚悟があるのなら、あえてつけなくてもかまいませんが……。 特に然別にいかれるのなら、防寒具はしっかりそろえていってください。 さもないと、ホテルから一歩もでられなくなります。 この時期、あそこはめちゃめちゃ寒いです。 おそらく、あそこで平気で遊んでいられるのは、イヌイットかヤクート人ぐらいでしょう。 いろいろたいへんな目にも遭うかと思いますが、どうか、しっかりと北海道の冬を味 わっていってください。 楽しい旅になることをお祈りいたします。 それでは また。 ページの最初に戻る
Subject: [jarvi:12067] Re^2:Q:北海道での歩行について Date: Sun, 20 Feb 2000 05:09:36 +0900 From: "Riichiro Kikuchi"  菊地@東京学芸大です。  池田さん、さっそくのレスありがとうございました。  以下のメールへの返信です。 At 20 Feb 02:39 , 池田 敬一 wrote: >ただ、道路を渡る際などは、車道と歩道の境が雪や氷に覆われていて >杖や足では判別できない所もありますので、注意が必要です。 >また、車道に出た後も、わだちができていたり、アイスバーンがあったりしますので、 >油断は禁物です。 >ついでに、雪の多い所では周囲の音が吸収され、 >車の走る音など、聞こえにくくなりますので、そのことも意識して歩く必要が >ありますね。  これが一番恐いことですね。気を付けます。  以前、東京で大雪が降った時も、大通りに出たら、周りの音が聞こえなくなっ てしまったことがありました。 >白杖の使い方ですが、 >雪のある所では普通に振っていると、どうしても先端が雪にささったり、 >ひっかかったりします。 >私が札幌で生活していたころには、雪の時期には先端にゴムボールのようなパーツを >付けて使っていましたが、人によっては円盤上のもの(スキーのストックみたいな >感じ)や筒上のものを使うこともあるようです。 >もし、何処かで手に入るようでしたら、ご用意されてはと思います。  もしこのような物を手に入れたい場合は、どこに問い合わせれば良いのでしょ うか。それとも売っている物ではないんでしょうか。 >できれば、裏に滑り止めやスパイクの着いた靴を履いて来るのがいいかと思いますが、 >それでも、滑る所は滑りますから、受け身の練習でもしておいた方がいいかも >知れませんね。  受け身ですかあ。氷の上は痛そうだもんなあ。ヘルメットでもかぶりましょうか。 >以前、東京の友人にこんな話をしたら、登山用のアイゼンを用意していこうかなんて >まじに言いだしたので、そこまではいらないと大笑いしました。  うーん、でも知らないことって不安なんですよね。アイゼンも分かる気がしますね。 >防寒対策ですが、 >10分以上、外を歩くつもりなら、耳を覆う帽子、あるいは、耳かけ(腹巻上の >ものや、ヘッドホン上のものがあります)と厚手の手袋は必須ですね。 >今、ほとんどのお店で冬もののバーゲンやってますから、こちらに来られてから >調達されてもいいでしょう。  そうしたいと思います。札幌そごう辺りで買うことにします。 >帽子や耳かけをつけると、多少周囲の音は聞こえにくくなりますが、なれれば >それほど影響はないと思います。オーバーやヤッケのフードをかぶるよりは、はるかに >聴こえやすいですよ。 >まあ、耳たぶを失う覚悟があるのなら、あえてつけなくてもかまいませんが……。  耳たぶはあった方が良いですよね。現在のところピアスの予定はありませんが、 気が変わるかもしれないし(ああ別に耳でなくてもいいのか)。 >特に然別にいかれるのなら、防寒具はしっかりそろえていってください。 >さもないと、ホテルから一歩もでられなくなります。 >この時期、あそこはめちゃめちゃ寒いです。 >おそらく、あそこで平気で遊んでいられるのは、イヌイットかヤクート人 >ぐらいでしょう。  うーん、今からふるえてきましたあ。だったら行くなよ、という声も聞こえて きそうですが、極限の体験というのもまた楽しということで(マゾヒスティック かな)。 >いろいろたいへんな目にも遭うかと思いますが、どうか、しっかりと北海道の冬を >味わっていってください。 >楽しい旅になることをお祈りいたします。  本当に詳しいアドバイスありがとうございました。  旅行中気が付いたことがありましたら、また書かせていただきます。  では、失礼いたします。 ページの最初に戻る
Subject: [jarvi:12074] RE: 北海道での歩行について Date: Sun, 20 Feb 2000 13:00:53 +0900 From: yuasa@mqd.biglobe.ne.jp  湯浅@雪の中を営業でウロウロです。  池田さんからすでにresがついてますので、私はその補足だけをば。 ・杖の先につけるオプション  杖の先につけるボール状のものですが、北海道盲導犬協会で扱っています。  確か日本ライトハウスから取り寄せる、と聞いた記憶があります。  東京でならライトハウスか日点用具部に問い合わせてみれば、入手できると思います。  ただし、池田さんが書かれてる通り、杖の先端が多少は雪にメリ込みにくくなる よ、程度の効果しかありませんので、無ければ無いでなんとかなります。 ・足まわりについて  数年前から、北海道ではスパイクタイヤが禁止になり、スタッドレスタイヤのみを 利用するようになっていますので、道路のスベリ方はハンパでなくなっています。  氷の上をキメの細かい布で丹念に磨きあげたような状態になっています。  最低でも靴の裏底がスベリ止め仕様になっているものが必要です。  で、歩く時も、歩幅はできるだけ小さく、スリ足のようにして歩かないと ステーン、といってしまいますのでご注意を。  この時期、下は氷ガチガチですので、コケ方間違うとすぐに骨折します。  と、少しおおゲサに脅しておいたりして。(笑) ・街中の歩行について  人が歩いている場所は、例え新雪が積もった後でも、そこだけは 踏みあとがしっかりとついてますから、そこさえハズさなければ大丈夫です。  ただ、やたら狭くなってますから、電車ゴッコが一番無難です。  歩道と車道の境目もはっきりしなくなっていますから、多少ウザったいかもしれま せんが、歩道を歩く時はできるだけ建物側に寄って歩くようにしといた方が良いです。  常に建物の壁を把握しておくという感じですね。  私もいまだに油断すると、車道の真ん中に出てしまっている時もありますので。  あと、手袋なんかも厚手のものをつけると、杖を持つ感覚がかなりボケてしまいま すから、これも注意が必要です。  私は結局、この感覚に馴染めなくて、どんな寒冷地でも手袋つけない野郎になって しまいました。  手だけはイヌイット並です。(笑)  旅程の最初の方で、時間が取れるなら、まずは体で覚えるということで そこいらの安全なところをウロついてみるのが一番良いかもしれません。  札幌から入るのならば、大通り公園あたりが安全かつ、典型的な 雪道になってますので結構おすすめです。  あ、そうそう、然別といえば、湖の氷の上にこの時期は露天風呂なんかを 作って遊んでいますが、ここだけは誰かにガイドを頼んだ方が良いです。  なんせ氷の上ですから、変なところにいって氷の下にドボン、なんてことになれば もう春までは氷漬けになっちまいますので。  あ、それから、これはあまり意味無いのかもしれませんが 紫外線をカットするサングラス、できればかけていた方が良いです。  雪の反射ってなかなかスゴいものがありますから、見えてる見えてないのは おいといて、目玉が雪焼けすることってよくありますから。  とりあえず、こんなものかなあ。  まだまだ春とはほど遠い北海道ですが、楽しんでいって 下さいね。
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