2009 年度開講 認知心理学C 言語心理学

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第1回

履修上の注意

出席は取らない。そのかわり毎回メーリングリストにショートレポートを提出する 必要がある。本日23:59までに自分のメールアドレスを PL2009@ml.twcu.ac.jp 宛に 送信すること。携帯のメールアドレスは不可とする。かならず PC のメールアドレスを 登録すること。

評価は中間レポートと期末レポートの2回のレポートを評価の対象とする。 レポートは論文の形式になっている必要がある。

注意: 引用は正確に行うこと。剽窃は行ってはならない。剽窃が判明した場合には, この科目の単位を失うだけでなく,東京女子大学としての処分をすることになる。 今期の全ての単位を失うだけでなく,退学という事態も考えられる。剽窃はしてはならない。

毎回のショートレポートは,投稿されたレポートすべてに目を通すこと。自分が発言する 場合には,それまで投稿された全てレポートを踏まえて発言すること。

自己紹介に代えて

人間のもっとも著しい特徴は言語を持つことである。 認知科学とは,心理学,コンピュータ科学,言語学,哲学,神経科学の手法を総動員して,人間の知的活動の仕組みを探る学際的な学問である。この授業では,言語の認知科学について考える。

言語を生み出す本能

What is innateness? 生得性とは何だろうか

日本人の遺伝子が日本語を話せるようになる理由ではない。
では赤ちゃんは何をもって産まれてくるのであろうか。
あるいは何を持たないで産まれてくるのだろうか?

強力な学習能力があれば言語は獲得可能か?

LAD: Language Acqusition Device の仮定は必要か? 人は言語構造の設計図を持って誕生するのか?

生成文法論者は LAD が必要であるとし,認知科学者は不要であるとしている

参考文献言語を生みだす本能〈上,下〉 (NHKブックス) ピンカー (著), 椋田 直子 (訳)

ピンカーはこう書いている「言語は人間の脳のなかに確固とした地位を占めている。言語を使うという特殊で複雑な技能は,正式に教えられなくても子どものなかで自然発生的に発達する。私たちは言語の根底にある論理を意識することなく言語を操る。誰の言語も質的には同等であり,言語能力は,情報を処理したり知的に行動するといった一般的能力と一線を画している。」

チョムスキーは,言語に関する基本的事実を二つ指摘した。第一に,ある人間 の発する文はほぼすべて,単語をまったく新しい順に並べたもので,史上にそ の前例を見ない。したがって,言語が反応の総目録であるはずがない。脳のな かに,有限の単語リストから無限個の文を作り出す処方箋なりプログラムがあ るに違いない。このプログラムを(従来の教育上のあるいは名文を書く助けと しての「文法」と区別するために)心的文法と呼んでさしつかえなかろう。第 二に,子どもは,正式の指導を受けることなく,この種の複雑な文法を短期間 に身につけ,はじめて出会う新しい文の構造をも一貫したやり方で理解できる ようになる。したがって,子どもは生来,あらゆる言語に共通する文法の青写 真ともいうべきものを備えているに違いない。このいわば「普遍文法」によっ て子どもは,両親の発話から統語構造パターンを抽出する方法をしるのである。 (ピンカー25ページより)

一方で,臨界期の存在は言語獲得能力が生後急速に衰えてしまうものであることを含意しているように思われる。臨界期は何のために必要になるのだろうか?

臨界期が人間の生存にとって本質的に重要なものであるという視点に立って,人が認識し,思考し,概念を獲得していく過程で何が起こっているのかを概説せよ。

進化論に興味のある履修者は,人類が直立歩行したことと言語の関係を考察せよ。二本の手が自由になったことと言語の進化とは関係があるのか?

ショートレポート

2009年10月07日09:00を締め切りとする