基本情報
- P303:認知心理学C
- 科目区分: 心理学科
- 履修年次: 2,3,4
- 担当者: 浅川伸一
- 研究室: 9303
- 電話: 03-5382-6746(研究室直通)
- 開講期 後期 単位 2
- 題目:言語の認知科学
- 授業用メーリングリスト:PL2009@ml.twcu.ac.jp
授業の目標
内容: 言語は人間において特に発達した認知機能である。この言語を,認知科学 ではどのように扱ってきたのかを考える。まず,人工知能,言語学,発達心理 学,神経心理学,ニューラルネットワーク,認知科学等で言語がどのように扱 われてきたのかを概観し,その上で討論によって理解を深めることとしたい。
到達目標: 人間において高度に発達したコミュニケーション能力として言語を多 角的に検討することを目標とする。取り上げる話題は,神経心理学,ニューラ ルネットワーク,言語学,乳幼児の言語獲得,霊長類の道具使用とコミュニケー ション能力,などを取り上げ,それらを通じて言語とは何かについて考える材 料を提供する。
スケジュール
- 言語を生み出す本能
- 言語の機能局在(言語の神経心理学)
クイズ - 失読失書
- 文字認知,単語認知
- ANNSによる実習
- 生成文法理論
- 生成文法の展開
- 形式言語
- チューリングマシンの原理
- エルマンネットの応用可能性
- ミラーニューロンと自己組織化
教科書
特に指定しない。参考文献はその都度指示する。
参考書
- 認知心理学3言語(東京大学出版会), 大津由紀雄(編)
- おもしろ言語のラボラトリー(北大路書房)森敏昭(編)
- 言語進化とはなにか(大学教育出版)ピンカー,ハーフォード,マコーロヴァ,ノヴァク(共著)野村泰幸(訳)
- 言語を生みだす本能〈上,下〉 (NHKブックス) ピンカー (著), 椋田 直子 (訳)
- 言語の脳科学(中公新書), 酒井 邦嘉 (著)
- 言語と脳 (講談社学術文庫) (文庫),杉下 守弘 (著)
- 脳にいどむ言語学 (岩波科学ライブラリー) ,萩原 裕子 (著)
- 言語を獲得するコンピュータ(共立出版),錦見美貴子(著)
- 脳とことば言語の神経機構 (ブレインサイエンス・シリーズ),岩田 誠 (著)
- ヒトはなぜことばを使えるか脳と心のふしぎ 講談社現代新書, 山鳥 重 (著)
- ことばの学習のパラドックス(共立出版),今井むつみ(著)
- レキシコンの構築(岩波書店),今井むつみ,針生悦子(著)
- 言語と思考を生む脳(東京大学出版会),入來篤史(編)
- 言語と脳(新曜社),オブラー,ジュァロー(著),若林,割田(訳)
成績評価方法
毎回のレポートと議論を出席点の代わりとする。中間レポートと 期末レポートの2回のレポートを評価の対象とする。レポートは論文の形式に なっている必要がある。分量は 4000 字を超えない程度とする。成績評価基準 履修者全員参加のメーリングリストによる課題の提出はすべて提出のこと。そ の上で2回のレポートにより評価する。
評価基準
各分野 (人工知能,言語学,発達心理学,神経心理学,ニューラルネットワーク, 認知科学等)で言語がどのように扱われてきたのかについて, キーとなる概念を理解できているか, 理解した上でどこまで先行研究を把握できているか, どこまで内容を広げられるように整理されているかを評価する。
課題
- 第一回
認知心理学C履修者の皆様,浅川です
申し出のあった人のメールアドレスを登録してメーリングリストを作りました。
活用してください。
早速課題です。昨日の授業で予告した通り,「言語獲得における生得性とは何か」
についてレポートを書いてください。
メールの宛先はこのメーリングリスト PL2009@ml.twcu.ac.jp です。
メールの件名は「20090930-自分の学生番号」としかならず自分宛に
Cc: してください。これは後で,送った,送らない,というトラブル
を防止するためでもあります。ご協力をお願いします。
締め切りは10月7日9:00とします。
授業のページを作りました。
http://www.cis.twcu.ac.jp/~asakawa/PsychoLinguistics2009/index.html
です。授業で話した資料などを置いておきますので,活用してください。
- 第二回
認知心理学C履修者の皆様
本日分の課題をお送りします。
今日は失語症の分類を学びました。それでウェルニッケ・リヒトハイム図式によってうまく
説明ができることを紹介しました。その上で実際の患者さんの言語治療師によるリハビリ場
面での声を聞いていただきました。だから今日の課題は敢えて問います。「ウェルニッケ・
リヒトハイム図式の問題点があるとすれば何か,具体的例を挙げて批判せよ」です。
課題はメールングリスト宛に投稿し,かならず自分宛に Cc: してください。メールの件名は
「20091007-自分の学生番号」としてください。期限は 10 月 14 日午前 9:00 までとします。
がんばって考えてください。
それから逃げて行った友達を,楽勝科目になったからと言って誘ってあげてくださいねー。
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- 第三回
認知心理学C履修者の皆様
本日分の課題をお送りします。
スプリットブレインの患者がいるとして,実験機材も自由に使えるものとして,新たな実験を
考えよ。
課題はメールングリスト宛に投稿し,かならず自分宛に Cc: してください。メールの件名は
「20091014-自分の学生番号」としてください。期限は 10 月 21 日午前 9:00 までとします。
がんばって考えてくださいねー。
- 第四回
認知心理学C履修者の皆様
浅川です。本日分の課題をお送りします。
ロゴジェンモデル,二重経路モデル,IA(相互活性化)モデル,トライアングルモデルの中で
自分の考えにもっともマッチするモデルを一つ選び,選んだ理由を記せ。
以上です。
課題の宛先はいつものとおりメーリングリスト PL2009@ml.twcu.ac.jp です。メールの件名
は「20091021-自分の学生番号」とし,かならず自分宛に Cc: してください。
提出期限は 10月28日09:00 とします。
- 第五回
本日の課題は,今日実習したシミュレータを使っていろいろいじり倒してみることです。 その結果何が分かったかを簡潔にまとめて報告してください。以上です。
課題の提出先はいつものとおりメーリングリスト PL2009@ml.twcu.ac.jp です。 メールの件名は「20091028-自分の学生番号」とし,かならず自分宛に Cc: して ください。
提出期限は 11 月 4 日09:00 とします。 - 第六回
認知心理学C受講者の皆様 本日分の課題をお送りします。本日は生成文法の標準理論について学びました。 課題は標準理論が正しいとして,その考え方を調べるものです。 1. 疑問文を一つ作り,その深層構造を示せ。 2. 平叙文を一つ作り,その枝分かれ図(樹形図)を描け。グラフの形式は自由 で,メールに添付せよ。 以上です。例によって課題はメーリングリスト PL2009@ml.twcu.ac.jp に送って ください。メールの件名は「20091104-自分の学生番号」とし,かならず自分宛 に Cc: してください。締め切りはいつものとおり来週の今日(11月11日)09:00とし ます。コンピュータで樹形図を描くためのドロー系のソフトと呼ばれるプログラ ムの使い方に慣れていないと2番はちょっと大変です。でも頑張れば,ワードの Smartartグラフィックでも木は描くことはできます。サンプルを添付します。 ワードで作った構文解析木の例 - 第七回
本日分の課題をお送りします。次のいずれか一つを選び(全部答えてももちろんよい^^), 自分の意見を述べよ。
1. 生成文法(あるいは現代言語学)は科学的な方法と言えると思うか?
2. 普遍文法の主張の通り,世界中の言葉はすべて同じなのか?
3. 生成文法は文の意味を考えていると言って良いのか?
いつものとおり課題はメーリングリスト PL2009@ml.twcu.ac.jp 宛に送ってください。 メールの件名は「20091111-自分の学生番号」とし,必ず自分宛に Cc: してください。 期限は2009年11月18日09:00とします。 - 第8回
浅川です
本日の課題をお送りします。
以下のいずれか一つについて調べ,自分が理解したところを述べよ。
文章を大量に書く必要はない。あくまで自分がどう考えたかを簡潔に
(たとえば3行程度でも可)記述せよ。
その際,必ず出典を明示すること。
1. プッシュダウンオートマトン
2. 文脈規定型文法と文脈依存型文法との違い
3. チューリングマシンの計算能力について
4. 言語研究における形式言語の役割
いつものとおり解答はメーリングリスト宛 PL2009@ml.twcu.ac.jp
に送ってください。その際メールの件名は
「20091118-自分の学生番号」とし必ず自分宛に Cc: してください。
提出の目安は 11月25日09:00とします。 - 第 9 回
認知心理学C受講者の皆様
浅川です。本日11月25日分の課題をお送りします。 いつものとおり,解答はメーリングリスト PL2009@ml.twcu.ac.jp 宛に送っ てください。メールの件名は「20091125-自分の学生番号」とし,かならず 自分宛に Cc: してください。解答の目安は,来週の今日12月02日09:00とし ます。
生成文法では文の規則を以下のように定義した。 文:Sentence(S),名詞句:Noun Phrase(NP),動詞句:Verb Phrase(VP) 名詞:Noun(N),動詞:Verb(V),形容詞:Adjective(Adj),冠詞:Article(A) 副詞:Adverb(Adv) などとして,
S→NP VP
NP→A N
NP→Adj N
VP→V NP
VP→V AdvP
N →Tom, boy
のように表していた。ある統語範疇が別の統語範疇に分かれている規則を 表したものを句構造規則と呼んだ。
ところが今日学んだように,NP や VP などを非終端記号と呼び,それぞれ の具体的な単語を終端記号と読んで,その間の書き換え規則を定義すると, 自然言語(英語や日本語など)だけではなく,コンピュータのプログラミ ング言語を含むさまざまな文法が記述できることが分かった。
ところで,実際に人間に使われている自然言語とコンピュータのプログラ ミング言語を同列に扱って良いのか,という疑問は当然出てくる。 このように文法の概念を広げて考えることの意義について,各自思うとこ ろを記せ。
答えは,良い悪いという判断になってしまいがちですが,どちらが正解と いうことはありません。自分の考えを自由に述べてください。
以上です。
- 第9回
認知心理学C受講者の皆様
授業中にも触れましたが,本日の課題は,人口文豪を使って, 面白い表現,笑える表現,不思議な表現を探して,報告して ください。
解答はいつもの通りメーリングリストPL2009@ml.twcu.ac.jp 宛に送ってください。メールの件名は 「20091202−自分の学生番号」とし,必ず自分宛に Cc: する ようにお願いします。提出の目安はいつものとおり来週の今 日12月9日09:00です。
- 第10回
浅川です
本日分の課題をお送りします。
いつものとおり解答はメーリングリスト PL2009@ml.twcu.ac.jp に流して ください。メールの件名は「20091209-自分の学生番号」とし,かならず 自分に Cc: してください。解答の目安は12月16日午前09:00とします。言語獲得にまつわる二つの理論,生成文法理論とエルマンネットとで,そ れぞれの長所と思われる点を,一つ以上挙げ,その理由を記せ。以上です
- 第11回
浅川です
本日の課題はエルマンネットシミュレータでいろいろ遊んでみる。です。 遊んでできた結果を貼付けて送信してください。提出期限は年明け 1 月13日09:00とします。いつものとおりメーリングリスト PL2009@ml.twcu.ac.jp 宛に送ってください。その際,自分に Cc: して ください。メールの件名は「20091216-自分の学生番号」としてください
それから私から年賀状が欲しい人は,メールで住所を教えてくださいねー。
- 第12回
認知心理学C受講生の皆様
浅川です。本日分の課題をお送りします。
次の問いのうち,いずれか一方を選んで答えよ。
- ミラーニューロンを拡大解釈すると,どのような言語獲得モデルが考えられるか
- 自己組織化を拡大解釈すると,どのような言語獲得モデルが考えられるか
以上です。解答はいつものとおりメーリングリストPL2009@ml.twcu.ac.jp 宛に 流してください。その際,件名は「20100113-自分の学生番号」とし,必ず自分 宛に Cc: してください。解答の目安は2010年1月20日午前9時とします。