脳の科学第5回課題


脳の科学履修者の皆様

浅川です。来週は学園祭の準備日に当たるため休講です。ですので次回は11月20日になります。 今回説明しきれなかった箇所の説明をしますので,次回今回の配布資料を持ってきてください。

では課題です。

今日は簡単にではあるが,不安障害,気分障害(うつ,躁うつ)の発生機序が脳内の神経伝達 物質,ノルアドレナリン,セロトニン,ドーパミン,アセチルコリンなどの分泌,代謝異常で あり,精神療法やカウンセリングしか治療法がなかった時代に比べて脳の理解が進み,治療法 が開発されてきたことを概観した。事実,これらの神経伝達物質は脳内の広範囲に放出され( 例えばセロトニンシステムの影響範囲は配布資料6ページの図4)その影響範囲は脳全般に及ぶ と考えられる。例えば,ベンゾチアゼピン系の抗不安剤は抑制性の神経伝達物質であるGABA の制御機構を変成させ,脳の神経活動の抑制が生じるとされる(配布資料5ページから6ページに かけて)。

一方で,フロイドの精神分析やスキナーの行動主義心理学などは,その社会的意義から文系の 学問に大きな影響を与えてきたことも確かである。では今後,文系の諸学問は,伝統的な精神 分析(精神疾患は意識と無意識との葛藤によって生じる,であるとか,幼児期の性的虐待が現 在の精神に影響を及ぼしているとか)の理論に立脚して論を進めるべきなのであろうか。 それとも脳の科学が明らかにしてきた精神疾患の脳内過程による新たな神経疾患像を取り入れ るべきなのであろうか。あるいは,両者の融合を計るべきなのか。思うところを述べよ。

いつものとおり,課題はメーリングリスト BrainScience2009@ml.twcu.ac.jp 宛に送ってくださ い。メールの件名は「20091106−自分の学生番号」とし,必ず自分宛にCc: してください。期限 は11月20日09:00とします。

今回の課題は,脳の科学というよりも,急速に進歩する脳の科学の知識の増大に対して,文系 の人たちが考えなければならない重要な課題です。各人の意見を聞かせてください。もちろん 理系の人にとっても,自分の立場を明確にしておくことは重要でしょう。

今日の授業の最初にもお話ししましたが,他人の意見をよく読んで,しかもそれを鵜呑みにす ることなく,自分の力で考え検討してみるという訓練が絶対に必要です。これは,大学生のう ちに身につけておかなければならない大切な習慣であり,一生の宝となります。この授業が, そういったきっかけになればうれしいです。