日本神経回路学会 2013年度時限研究会 | |
神経回路網モデルの神経心理学への応用可能性を考える | |
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■第2 回研究会 開催場所:東京女子大学9号館9105教室 交通アクセス キャンパスマップ 開催日:2013年11月16日(土) 13:00-17:00 参加費:無料 申し込み手続き:参加人数を把握するために,asakawa@ieee.org 宛に参加希望の旨をお知らせください。
■第1 回研究会 開催日:2013年10月5日(土) 13:00-17:00 開催場所:大阪府立大学 大阪府立大学 I-site セミナールーム(S4)
<研究会テーマの趣旨と内容> 本研究会の趣旨は,神経心理学および認知神経心理学研究におけるツールとしてのニュー ラルネットワークに着目し,その可能性を探ることである。 認知神経心理学とは,認知科学や認知心理学のモデル論的考察から脳損傷患者の病状 理解をめざす分野である.典型的な認知神経心理学では,症状を観察する以前に正常のモ デルとして一般認知理論を背景とする理論的な枠組みを用意する。その際,認知心理学的 手法としてのタスクアナリシスを駆使し,情報処理ステップを可能な限り詳細に考察し, 処理の各ステップに関与すると考えられる課題を設定する。そして,当該の患者がその理 論的仮定のどの部分に障害を示しているかを確認し,その結果と脳損傷部位のMRI 画像 などとの照合が行われる。神経心理学的データは脳内の特定の部位と特定の認知機能との 関連付けに対して,比較的単純な対応関係を明らかにしてくれるが,複雑な相互作用をす る脳では,このような神経心理学的な考察だけでは十分とは言えない。一方,脳の構成論 的研究のツールである神経回路網研究は相互作用をする複雑なシステムとしての脳の振 る舞いと,そのシステムが損傷したときの効果との関係を推論する手段を提供している。 そのような推論の妥当性を機能論的に検証できる。神経回路網モデルは,脳の構成論的研 究を神経心理学に適用することを基本手法とするが,神経回路網モデルを破壊すること によって,さまざまな認知機能の障害をコンピュータ上に再現できる。人間の認知機能と 神経回路網モデルのプログラムとを同一視し,かつ,このプログラムを部分的に破壊する ことと脳損傷を同一視することとによって,近年の神経心理学は大きく変化してきた。人 間の認知機構を理解する上でも,あるいは実際の脳損傷患者の症状を理解するためにも, コンピュータを用いた人工脳損傷研究は重要だと考えられる。倫理上の制約から実際の人 間の脳を破壊して実験を行なうことは不可能だからである。神経回路網モデルによる神経 心理学的データの解釈は,実際の脳損傷患者を扱う神経心理学に対して強力な道具を提供 していると言える。 本時限研究会では,このような事実に鑑み,この分野の研究者間でのコミュニケーショ ンを促進し,もって,研究の活性化を意図するものである。 世話人:浅川伸一(東京女子大学)asakawa@ieee.org |